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過去記事・アーカイブ

過去の「最近の仕事、雑感」の記事や、人文学部社会行動論履修コースのブログに掲載していた記事のアーカイブです。社会行動論履修コースのブログに掲出した記事は、こちらからも読めます。
2011年度2009年度2008年度

2011年度の記事

2012年3月31日

東日本大震災以降、新聞に掲載されたインタビュー・コメントなどの一覧です(漏れているものもあるかもしれませんが・・・)。

・2011/3/26 「生活再建 見通し重要―「不満ない」人にも留意を(東日本大震災避難者アンケート)」 新潟日報
・2011/4/2 「原発再開 揺れる住民―宮城・女川」 新潟日報
・2011/4/15 「中越沖被災柏崎市民 32%「家計が悪化」、 町内会「必要」93%―新大調査」 新潟日報
・2011/4/17 「情報提供経路 多く整備を(県内避難者アンケート)」 読売新聞(新潟版)
・2011/4/30 「経済効果偏重から脱却―人とのつながりが活力に(復興への指針を聞く・中)」 新潟日報
・2011/5/11 「場所移った人に情報を(東日本大震災避難者アンケート 第2回)」 新潟日報
・2011/5/18 「避難所からの救急搬送者 県内2ヶ月で117人―高齢者6割」 新潟日報
・2011/6/10 「人口流出、加速の恐れ―集団移転に懸念の声(東日本大震災3ヶ月・ニュース特集)」 共同通信社配信
・2011/6/11 「複雑な支援制度―個々に応じた周知を(東日本大震災避難者アンケート 第3回)」 新潟日報
・2011/6/21 「復興基本法成立―「遅すぎ」「見える形で」」 新潟日報
・2011/9/10 「生活再建への課題―つながり構築 重層的支援を(東日本大震災避難者アンケート 第4回)」 新潟日報
・2011/11/10 「「中越・中越沖」教訓伝える―震災復興を後押し」 新潟日報
・2011/11/15 「震災復興の一助に―中越での体験談や避難者支援取り組み紹介」 毎日新聞(新潟版)
・2012/3/8 「避難者―古里の思い断ちがたく(震災1年 ③)」 読売新聞(新潟版)

2012年3月26日

佐渡学セミナー

佐渡市で開催された新潟大学人文学部と佐渡市教育委員会の連携協定事業「佐渡学セミナー」に参加してきました。同僚の堀健彦先生(人文地理学)とともに講演を担当し、夜は関係の方々と懇親を深めることができました(お世話いただいた佐渡市の皆さま、ありがとうございました)。
私の講演タイトルは「災害への地域の備え―近年の地震災害と佐渡」で、構成は下記の通りです。

1.はじめに
2.東日本大震災について―宮城県女川町の津波被害
3.佐渡の災害史と現状
 3-1 佐渡の災害史(近世以降)
3-2 防災への取り組み
4.中越地震・中越沖地震の経験から
 4-1 アンケート調査結果の紹介
 4-2 柏崎市松美町の事例
5.「災害に強い」地域づくりに向けて

まず、私の出身地でもある宮城県女川町の東日本大震災による被害状況を紹介した上で、佐渡市も過去には大きな津波被害を経験していること、その一方で災害への危機意識や備えには課題もあることを取り上げました。さらに、中越・中越沖地震の被災地で行ったアンケートや柏崎市松美町の事例をもとに「災害に強い」地域の条件について考え、それをふまえて、防災と地域づくりの好循環、防災の日常化、女性・若者・「よそ者」の視点といったことが鍵をにぎっていると強調して、まとめとしました。

ご参加いただいた市民の皆さまはとても熱心に聞いて下さり、質問もたくさん出ました。そのやりとりの中で、考えさせられたことがあります。佐渡市は離島ということもあり、人口減や高齢化が著しいところで(高齢化率36.8%)、この点だけ考えると災害に対しては脆弱であるといえます。
しかしその一方で、集落ごとに微妙に異なる鬼太鼓やおけさなどを継承してきた芸能の島でもあり、他では考えられないほど豊かな民俗文化が息づいている場所でもあります。こうした芸能の継承・発展への取り組みは、地域への関心を高め、世代や各種団体をつなぐものであり、まさに「結果的に災害にも強い地域づくり」に結びつくとあらためて感じました。

データだけでみると厳しい社会的条件のもとにある佐渡ですが、「旧い」ものを大切にしていくことが、新しい時代や社会を切り開くことにつながる可能性と魅力を感じています。機会をみて、また訪ねたいと思います。

2012年3月12日

3.11によせて

あの日から 1年が過ぎた。
何事もはかばかしく先に進んでおらず、被災地や避難先で多くの人が不安や苦痛を抱えたままである。

時間が経つにつれて、だんだんと初期の一体感が薄れ、格差や分断が目立つようになってきた。支援する側としては、この点にどう寄り添っていけるかが課題だろう。被災者にとって最もつらいのは、とくに身近な他者との関係が、否定的な方向に変わっていくことだと思うからである。本当に批判すべき相手は別にいることを、一緒に考えていかなければならないだろう。

これまで私は、「自分にできること」を少々限定的に考えてきた。 研究者として少し距離をおいて、被災の記憶を記録にとどめることを、自分の仕事としてきたのである(もちろん、現場で実際に具体的な個々の被災者を支援する活動の方が、100倍(いや、もっと)価値があることは、いうまでもない)。

しかし今回の被災地をみると、「研究者として」調査に徹するなどということは、当分できそうにない。東日本大震災に関していえば、冷静な経験の記録が可能になるのは、まだ先の話なのかもしれない。
「柄にもなく」ということかもしれないが、自分なりにもっと現場に寄り添う道を模索してゆきたい。

2012年3月8日

佐渡調査

2月末に、佐渡市で災害に関する聞き取り調査をしてきました。
佐渡市役所では、自主防災組織の結成状況や、町内会等の防災への取り組み、女性参画の状況などについて、お話しをうかがいました。高齢化や集落の人口減少が進む中で、他の多くの自治体と同様に、難しい課題を抱えているようです。
また、昨年の東日本大震災による広域避難者の受け入れと支援の様子についても、詳しく教えていただきました。佐渡は観光地なので、ホテルや旅館などの宿泊施設も多く、こうした施設を利用して避難者を積極的に受け入れてきました。現在もアパート等で、100名近くの方が暮らしています。避難生活が長期化する中で、息の長い支援が求められています。

防災コミュニティづくりや避難者支援に行政の力が必要なのはいうまでもありませんが、NPOをはじめとした民間の役割も重要です。佐渡市でもいくつかのNPOが積極的に支援を行っています。今回は相談窓口を開設するなどして、避難生活の不安解消に取り組んできたNPO法人「佐渡の福祉ゆい」にもお邪魔して、活動の様子を聞かせていただきました。
このNPOは、「住み慣れた地域で安心して子育てができ、老いることができ、暮らし続けることができる社会の実現」を目標に掲げ、教育・福祉・医療といった問題に取り組んできました。安心して地域で暮らしていくためには、それに加えて防災・減災を視野に入れる必要も出てきます。こうして、地域をベースとしてさまざまな領域を「つなぐ」活動が繰り広げられてきました。避難者への支援も、その延長線上に位置づけられています。

過疎化・少子高齢化が進む佐渡で顕在化しつつある問題は、今後日本社会が否応でも直面せざるを得ない課題だと思います。災害からの復興を考える際にも、福祉などを含んだ地域社会全体のことを考えなければならないと痛感してきました。その意味でこのNPOの活動は、現在の被災地にとっても重要な示唆を含むものだと思います。
今回学んだことは、3月24日の「佐渡学セミナー」という催しの中で紹介させていただくつもりです。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

2012年1月31日

献本御礼
著者からご恵送いただきました。

1.横田理博『ウェーバーの倫理思想―比較宗教社会学に込められた倫理観』(未來社、2011年)

「ウェーバー研究史においてこれまで論じられることのなかった『心意倫理』『同胞愛』『神義論』『ルサンティマン』への考察を通じて近代化のもたらした歪みを明らかにし、グローバル化する社会における宗教と倫理のあるべき関係を示す」ことを主題とした本です。
とくに、ヴェーバーのテキストから該当事例を丹念に収集して概念の意味を確定していく作業や、思想史の中でヴェーバーを位置づけていく姿勢が、とても勉強になりました。また、緻密な論理性の一方で、底流にある「温かいまなざし」も感じ取ることができ、私自身が倫理的な反省を促されたりしました。
こうしたお仕事に接すると、ヴェーバーに地道に取り組まねばとあらためて思います。

2.山下祐介『限界集落の真実―過疎の村は消えるか?』(ちくま新書、2012年)

高齢化が進み、いずれ消滅に至るとされる「限界集落」がずいぶん話題になりましたが、危機を煽る報道の割に実際に消滅したむらはほとんどありません。本書はこの事実を明らかにしつつ、震災後の状況も念頭においてあるべき(周辺発の)集落再生の道を探っています。
この本を読むと、中央から見るか、地方から見るかでものの見え方がまったく異なることがよく分かります。私自身は、ずっと「地方」にいることもあって、著者の主張にはたいへん共感をおぼえます。むしろ地方から東京を見ると、「異常さ」や危うさを感じざるを得ません(震災後、その感がいっそう強まりました)。
最近あらためて、日本の家や村について(タイムスパンを少し長くとって)考える必要性を感じていたところでしたので、その意味でも本書の議論は腑に落ちました。

2011年12月29日

菅野正先生・細谷昂先生インタビュー

師走に入ってから、農村社会学の泰斗である菅野正先生と細谷昂先生に、それぞれお話をうかがう機会がありました。福井大学の伊藤勇さんの企画で、『稲作農業の展開と村落構造』『東北農民の思想と行動』(いずれも御茶の水書房)に結実する共同研究の経緯や内実について直接お聞きするというものです。
いろいろと学ぶことの多いインタビューでしたが、個人的にはとくに次のような点が興味深かったです。

・「家と村」のアクチュアリティ。現代の(たとえば震災後の)日本社会を考える上でも、依然として重要な視点であるとあらためて感じました。
・歴史的な重層性と生産を中心とした生活の多面性をふまえたモノグラフの意義。社会を把握する上での一般性、普遍性の問題について、再考を迫るものと思います。
・人間の行動を把握する際の意識・思想の重要性(たとえば農本主義)。人間の行動は、(ヴェーバーのいうように)利害関心や合理性だけでとらえきることはできないこと。
・体制の論理と農民の生活論理との矛盾を「つなぐ」(橋渡しする、抵抗する、妥協する)個々の人格性や集団の役割。

課題と対象、研究者の能力とチームワークが「はまった」時に、すぐれた研究成果が生み出されるということが、リアリティをもって腑に落ちる体験でした。ひるがえって、(先生方の水準には達しようもないことを前提として)自分には何ができるのか、限られた時間と乏しい能力の中で、どのような課題と対象に向き合っていけばよいのか、深く深く考えさせられた年末です。

2011年12月10日

「災害におけるジェンダーとマイノリティ」

12月17日に東北大学で開催される標記のシンポジウムで報告します。

マイノリティ研究部門シンポジウム 「災害におけるジェンダーとマイノリティ」
(東北大学大学院文学研究科グローバルCOEプログラム「社会階層と不平等教育研究拠点」)

【開催趣旨】
 人々の生活に影響をもたらす災害は、家族の形態や社会階層という社会的・経済的状況によって生ずる被害が異なり、災害の発生時や復興過程において、ジェンダーや子供・高齢者・障害者といったマイノリティの有り様も、平時と比べてより可視化され、社会格差が顕著に露呈します。社会問題としての災害の実態とその原因および発生構造を解明し、問題解決方法を追究する必要があります。
 そこで、本シンポジウムでは、歴史学・社会学・社会福祉学の研究者をお迎えして、日本の近世(江戸時代)から現代の災害におけるジェンダーとマイノリティの具体的様相を分析し、歴史社会学的視座からその構造と変容を考察することで、日本社会の様相を明らかにし、問題解決に向けて議論します。
 シンポジウム終了後には懇親会を開催いたします。東日本大震災の被災状況や復興状況についての生の声を聞く機会や、学術交流の場として、是非ご活用下さい。

・日時:2011年12月17日(土)13:00-17:30
・場所:東北大学文科系総合研究棟(教育学研究科)2階206教室
・報告者
 菊池勇夫(宮城学院女子大学学芸学部教授)
    「近世東北の飢饉死をめぐる状況もしくは事情」
 白石睦弥(弘前大学特別研究員)
    「近世・近代における地震・津波災害とジェンダー」
 松井克浩(新潟大学人文学部教授)
    「現代の地震災害とジェンダー ―変わらない役割/超える試み―」
 江原勝幸(静岡県立大学短期大学部准教授)
    「震災における要援護者の地域支え合い支援を考える」

2011年11月28日

「ヴェーバー法理論・比較法文化研究会」

一橋大学佐野書院で開催された、標記研究会に参加・報告してきました。ヴェーバーに関心をもつ法学・歴史学・社会学の研究者が集う研究会で、今回で4回目となります。

プログラムは下記の通りでした。
・荒川敏彦(千葉商科大学)「マックス・ヴェーバーにおける『儒教と道教』の生成と構成」
・松井克浩(新潟大学)「ヴェーバーの支配社会学における法と諒解」
・三宅弘(弁護士・獨協大学)「日本、韓国、中国の情報公開法制定過程の比較にみる東アジア共通法基盤形成の可能性―ウェーバー法理論をふまえて」

荒川報告は、ヴェーバーによる『儒教と道教』の改訂作業を跡づけ、関心の移動を浮き彫りにする本格的なものでした。私の報告は、ヴェーバーの支配社会論と菅野正先生の農村社会学のお仕事を「諒解」概念でつないで考えてみる、という主題でした。三宅報告は、ご自身がかかわってこられた情報公開法の制定・改正過程を中国・韓国との比較を含めて紹介・検討するという、きわめて具体的・現実的なものでした。

私の報告はボワッとしたものでしたが、他のお二人のご報告やフロアとの活発なやりとりは、法と社会の関係を考える際の示唆に満ちていました。このごろお留守になっているヴェーバー研究にまじめに取り組んでいこうと決意を新たにするとともに、学問の楽しさと学問を介した交流の面白さをあらためて感じることのできる機会となりました。

2011年11月4日

『震災・復興の社会学』

このたび、下記の著書を出版しました。新潟県中越地震・中越沖地震の被災地で、ここ3年ほどの間におこなった調査研究のまとめです。本年3月の東日本大震災の被災地に、新潟の経験をつないでいくことも意識しました。よろしくお願いします。

松井克浩著『震災・復興の社会学――2つの「中越」から「東日本」へ』リベルタ出版
¥2,200(税込2,310円)/46判/上製/256頁/11年11月刊/ISBN978-4-903724-29-4

以下は、出版社ホームページの紹介文と目次です。
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04年、07年と短期間に2度も大震災に見舞われた新潟県・・・その被災者たちの生の声を聞きつつ、人々とコミュニティが遭遇した体験を再構成。地域コミュニティ、ボランティア、ジェンダー、市民活動等の視角から捉え返す「人と人のつながり」は、東日本大震災被災地の復旧・復興にも貴重な示唆を与える。「つらい体験である災害は、同時に地域のつながりを結び直し、よりよい社会を切り開くきっかけとなる可能性を秘めている」(終章より)

目次
序章 震災経験の継承
1章 被災集落再生への歩み
 ・「山の暮らし」の行方~山古志の再生~
 ・集落の集団移転~小千谷市十二平集落~
2章 災害とジェンダー~変わらない役割/超える試み~
 ・中越地震とジェンダー~「女性の視点」をどう生かすか~
 ・中越沖地震とジェンダー~つながりの結び目として~
3章 被災生活と地域のつながり~2つのアンケート調査から~
 ・体験は生かされたか
   ~「中越沖地震後の生活についてのアンケート」~
 ・中越沖地震からの「復興」と地域生活に関するアンケート
4章 防災コミュニティの可能性
 ・コミュニティとボランティアの連携~柏崎市比角地区~
 ・新たなネットワークへ~災害と市民活動~
5章 経験をつなぐ~東日本大震災と新潟~
 ・避難者を迎えて/避難者の語りから
終章 「つながり」の再生

2011年10月14日

「まちなか大学」

13日夜に、長岡駅前にオープンした「まちなかキャンパス長岡」の「まちなか大学」で、講義を一コマ担当してきました。講座の名称は「災害における人の力を考える~家族・仲間を守るために」で、私の担当分のタイトルは「復興に向けた第一歩~避難・避難所生活」です。
講義の構成は下記の通りでした。
 1.中越地震と避難生活
 2.中越沖地震と避難生活
 3.広域避難者の受け入れ
前半では、地震後の避難生活におけるコミュニティの意義や課題、地域の防災体制の課題などを取り上げ、後半では、東日本大震災による広域避難者を迎え入れた際に、中越地震などの被災経験が生きている、という事例を取り上げました。コミュニティのあり方が横糸、震災経験の継承が縦糸という設定です。
参加者のほとんどが中越地震後に避難生活を体験していたこともあって、身近な問題として受けとめていただき、活発な議論になりました。自主防災組織における女性の役割、広域避難者を迎えた避難所での班長会議の様子などが話題になり、私自身、とても勉強になりました。聴講して下さった皆さまに感謝いたします。
さりげなく私の近著の宣伝をしようと思っていたのに、会場でのやりとりに夢中になったため言い忘れました(田悟さん、ごめんなさい)。それが少しだけ心残りでしたが。


2009年度の記事

2009年11月09日

シンポジウムのご案内

今月末に『比較歴史社会学へのいざない―マックス・ヴェーバーを知の交流点として』の出版を記念したシンポジウムが早稲田大学で開催されます。同書の「批判と反省」および「比較歴史社会学の試み―日本と中国」の2部構成です。関心のある方がいらっしゃいましたら、どうぞ。

『比較歴史社会学へのいざない―マックス・ヴェーバーを知の交流点として』(勁草書房)出版記念シンポジウム「比較歴史社会学の試み―日本と中国」

このたび、昨年6月に奈良女子大学において、同大学のCOE事業(古代日本形成の特質解明の研究教育拠点)の一環として行われたシンポジウム「マックス・ヴェーバーにおける歴史学と社会学」の記録が、折原浩、小路田泰直、水林彪他著『比較歴史社会学へのいざない―マックス・ヴェーバーを知の交流点として』として、勁草書房から出版されました。つきましてはわれわれは、そこでの問題提起を踏まえ、同時に比較歴史社会学なる知をさらに深めるべく、次のようなシンポジウムを企画しました。奮ってご参加いただければ幸いです。

 日時 2009年11月28日(土) 午前10時~午後3時頃
 場所 早稲田大学国際会議場(総合学術情報センター) 共同研究室(7)
   〒169-0051 新宿区西早稲田 1-20-14
    http://www.waseda.jp/jp/campus/waseda.html 地図⑱の建物
 内容 第1部(午前10時~12時)
     『比較歴史社会学へのいざない』について・批判と反省
       批評者 松井克浩(新潟大学・社会学)
            菊 幸一(筑波大学・スポーツ社会学)
    第2部(午後1時~午後3時頃)
     比較歴史社会学の試み―日本と中国
       話題提供者 折原 浩(社会学)
              八ケ代美佳(奈良女子大学・歴史学)
 連絡先 奈良女子大学古代学学術研究センター(0742-20-3779)  
     早稲田大学人間科学学術院山本登志哉研究室(HAE00142@nifty.ne.jp)

2009年08月21日

小路田泰直ほか『比較歴史社会学へのいざない』

昨年6月に奈良女子大学で行われたシンポジウム「マックス・ヴェーバーにおける歴史学と社会学」の記録が本になりました。私は討論とコメントでちょこっと顔を出すだけですが。
事務仕事に埋もれる前の、楽しかった奈良の2日間を思い出します(遠い目……)。

小路田泰直 著者代表
『比較歴史社会学へのいざない――マックス・ヴェーバーを知の交流点として』
勁草書房 2009年8月刊 四六判・384ページ 定価3,885円(本体価格3,700円)

内容説明
社会学とは「予見せんがために見る」(コント)ためにはじまった歴史研究への基礎的予備学である。行動科学化より歴史学との対話を。
比較歴史社会学(折原浩)/『天皇制史論』および「『支配のLegitimitat』概念」再考(水林彪)/マックス・ヴェーバー社会学の歴史学的考察(小路田泰直)および討論・コメントを通じて、多様な社会学、多様な歴史学をより大きな比較歴史社会学の一環に位置づける試論へ。法則科学化よりも歴史を踏まえた未来予知の学としての社会学を。

目次
はじめに(小路田泰直)
比較歴史社会学――マックス・ヴェーバーにおける方法定礎と理論展開(折原浩)
『天皇制史論』および「『支配のLegitimitat』概念再考」補論(水林彪)
マックス・ヴェーバー社会学の歴史学的考察(小路田泰直)
討論およびコメント
小路田泰直(司会)・折原浩・水林彪・雀部幸隆・植田信廣・松井克浩・小関素明・大久保徹也
コメント ウェーバー社会学における「支配」の基軸的意義(雀部幸隆)
コメント ヴェーバーの「正当性-諒解」――支配の歴史社会学へ向けて(松井克浩)
コメント 人間社会のネガティブリアリズムの看破と超克――ウェーバーは権力の発生をどう考えていたか(小関素明)
書評 折原浩『マックス・ヴェーバーにとって社会学とは何か――歴史研究への基礎的予備学』(勁草書房、2007年)を読む(雀部幸隆)

2009年07月08日

柏崎調査09

このところ毎週のように、新潟県中越沖地震の被災地である柏崎市にお邪魔して聞き取り調査を行っています。昨年の暮れに出た『防災の社会学』という本の中で、とりあえずの中間報告を発表したのですが、今年はより詳しいモノグラフを目指した調査を継続中です。主にお話をうかがっているのは、地震の際に被災者の支援を効果的に行うことができたコミュニティや町内会です。いざというときに力を発揮した地域を対象として、災害に強い地域の秘密を探ろうという試みです。

今のところ分かっていることは、「顔の見える関係」が存在する地域は、たとえ特別な備えがなくても災害に強い、ということです。とくに、地域に根を下ろした女性リーダーたちが、この「顔の見える関係」を活かして地域の災害対応を主導していった事実は、私にとってとても興味深いものでした。彼女たちは、長年コミュニティセンターの主事をつとめ、地域の人びとの「顔はほとんど知っている」ということです。こうした知識や人脈を活かしてふだんから数多くのコミュニティ活動を仕掛け、地域を活性化させてきました。2007年夏の中越沖地震への対応は、まさにその延長線上でなされたのです。
さらに、ボランティアとコミュニティの関係も一つのテーマとして取り上げたいと思っています。柏崎市のあるコミュニティでは、県外からの専門ボランティア・経験ボランティアを積極的に受け入れ、彼らは地域の災害復旧に大きな役割を果たしました。とくにコミュニティセンターの中にボランティア・コーディネーターを置いて、現場に近いところで地域のニーズをくみ上げボランティアとのマッチングを行ったのです。その際も地域をよく知るリーダー(こちらは男性ですが)が、さまざまな人びとをつないでいく重要な役割を果たしました。地域の方、ボランティアの方の双方にお話をうかがいながら、ボランティアが地域で機能する条件について考えてみたいと思います。
もう一つ興味を引かれているのは、聞き取りをお願いしている地域の人びとが、さまざまな経験をけっして一過性のものとはしていない、ということです。今回の地震をはじめとして何か大きな出来事があると、地域で議論や学習の場を設けたり、経験を記録に残す作業を繰り返しています。震災のようなネガティブな出来事であっても、それを忘れようと努めるのではなく、この経験が地域にとっての財産になるように知恵を出し合っていることがとても印象的でした。
それにしても、フィールドでいろいろな方のお話を聞いて強く感じることは、信念をもって現場で動いている人の言葉がもつ深さや重さ、輝きです(このように感じるのは、ふだん大学界隈で取り交わされている言葉の空疎さのせいかもしれませんが……)。多くの方々に何度も貴重な時間を割いていただくことは心苦しいのですが、私なりにきちんとした記録を残すことを通じて、少しでも現場にお返しできればと思います。今後ともおつきあいいただけますよう、よろしくお願いします。

2009年04月14日

栗原隆編『人文学の生まれるところ』

毎春恒例(?)の栗原隆先生編集のテキスト『人文学の生まれるところ』(東北大学出版会)が刊行されました。社会行動論履修コース関係では、杉原名穂子先生が「ジェンダー論―ジェンダーが照射する女性と男性、そして社会」と題する章を、私が「社会学―私たちは、なぜ変な「思いこみ」にとらわれるのか?」という章を執筆しています。よろしく、よろしく。

栗原隆編『人文学の生まれるところ』2009年3月27日発行
税込価格2,100円 A5判 366頁 ISBN978-4-86163-118-4 C1000

 心理学・社会学・倫理学といった人文学に包括される17の分野を、従来の哲・史・文ではなく、「第Ⅰ部 身体を軸に」「第Ⅱ部 交わりを織り成し」「第Ⅲ部 物語を紡いで生きる」という新たなカテゴリーに分類。「ヒトの心は進化したのか」「私たちはなぜ“思いこみ”にとらわれるのか」「私たちは本当のことを語らねばならないのか」など、それぞれの分野で中心的な、あるいは典型的な問いから始まる探求の道筋を示す。その道筋は、人文学という一つの学問の全容を展望する「知の喜び」へと通じている。

《目 次》
第Ⅰ部 身体を軸に
1 人間学―私たちの身体は自分のものか?・・栗原隆
2 哲学―観念論とはなんだったのか?・・城戸淳
3 心理学―ヒトの心の進化を考える・・鈴木光太郎
4 ロシア文化論―言葉の身体性とヴィジュアル・ポエトリー・・鈴木正美
5 表象文化論―イメージ/テクスト/身体の夢・・番場俊

第Ⅱ部 交わりを織り成し
6 社会学―私たちは、なぜ変な「思いこみ」にとらわれるのか?・・松井克浩
7 ジェンダー論―ジェンダーが照射する女性と男性、そして社会・・杉原名穂子
8 アジア文化論―アジアへの懸け橋・・白石典之
9 民俗学―祭りを見る心・・池田哲夫
10 アメリカ文化論―アメリカとは何か・・高橋康浩
11 情報メディア論―子どものケータイ問題とメディアの社会的構築・・北村順生

第Ⅲ部 物語を紡いで生きる
12 倫理学―私たちは、本当のことを語らなければならないのか?・・栗原隆
13 科学思想史―科学者の虚像と実像・・井山弘幸
14 日本文学―江戸時代の「男はつらいよ」・・広部俊也
15 英米文学―なぜいまどき文学なのか・・平野幸彦
16 映像文化論―ホラー映画『女優霊』と原初の映像・・石田美紀
17 信仰ー信仰をいただいて生きる・・三宅聖子


2008年度の記事

2009年03月31日

桑取調査

学内の「ソーシャル・キャピタル研究会」による3ヶ所目の調査地として、上越市西部の中山間地にある桑取谷を訪ねてきました。ここは「かみえちご山里ファン倶楽部」というNPOがさまざまな活動を展開している地域で、このNPOメンバーの方々のお話を主にお聞きし、活動の現場も案内していただきました。

今年の冬は、村の古老も経験がないほどの少雪だったそうですが、お邪魔した3月中旬の時点でほぼ雪は消えており、例年なら通行止めになっている道路も通ることができました。
桑取谷は、桑取川の谷間に点在する25の集落からなり、人口は全体でおよそ2,500名を数えます(先日、NHKの大河ドラマ「天地人」にも登場していました)。この桑取谷を活動の場とするNPO「かみえちご山里ファン倶楽部」は、2002年設立で、とくに地域の伝統文化・行事・技術などの掘り起こしと活用に力を入れています。また、上越市から「地球環境学校」、「くわどり市民の森」の管理運営を受託し、こちらも活動の柱になっています。
このNPOに特徴的なことは、出身地や専門分野を異にする常勤の若いスタッフが8名もいることです。環境や農業、里山の文化などに関心をもつ若者がNPOに集まり、地域に深い敬意と愛着をもちながら熱心に活動していることがとても印象的でした。
NPOのリーダーである関原氏は、これらの若いスタッフに「正義面をしない」ことを求め、ムラ人と都市住民の中間で「宙吊り」になって両者を媒介する「紐(ひも)」になって欲しいとおっしゃっていました。考えてみると、これはなかなか難しい要求です。たいていの場合、人は自分が正しいと思いたいものだし、愛着を感じるとそこにどっぷりとつかりたくなるものです。「宙吊り」の状態に居続けることによってこそ、視野狭窄を防げるのだというお考えでした。
関原氏のお話の中でもう一つ印象的だったことは、地域や自治のサイズにかかわる問題です。一つの集落よりも大きく合併前の旧町村よりも小さい(明治期の小学校区ぐらいの)サイズを関原氏は「クニ」と呼び、このクニをコミュニティの基本単位とすべきだということでした。たしかにこのサイズだと、身体的にも地域のリアリティを感じつつ、ある程度顔の見える関係を築くことができるし、単一の集落よりも多様性をもちながら外部とつながっていく可能性もありそうです。
ただし集落(ムラ)はそれぞれの歴史的な背景や特性をもっているので、それが結びついてクニになることは、それほど簡単ではありません。関原氏は、しがらみのないNPOのスタッフに、ムラをつないでコミュニティを結い直す「紐」の役割も期待していました。こうして形成されたクニが、外部(都会)とつながりつつ、独自の経済を営んでいくことが構想されています。広域合併が進む中で、暮らしや自治の単位をどのようなサイズで考えるかということは重要な問題ですが、桑取谷の試みは一つのヒントになると感じました。
夜には、NPOの活動において重要な役割を果たしている地域の人びとにも来ていただき、盛大な交流会が催されました。スローフードのおいしい手料理もいただきつつ、夜更けまでにぎやかに過ごすことができました。NPOが機能していくためには、スタッフの熱意とともに、こうした地域の方々のサポートも不可欠だと思います。私自身は時差ボケとふだんからのボケが入り交じってぼんやりした状態でしたが、多様な根をもつ多くの人のお話をうかがうことができて、とても楽しく、勉強にもなりました。
お世話いただいた「かみえちご山里ファン倶楽部」の皆さま、本当にありがとうございました。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

2009年02月24日

防災セミナー

3月に仙台で行われる防災セミナーで講演をします。内容は、先月刊行された吉原直樹編『防災の社会学』に所収の拙稿「防災コミュニティと町内会」から、新潟県中越地震・中越沖地震の事例を紹介するものです。パワーポイントのスライドを作るのが大変だ……

事務局からの案内を貼り付けておきます。

  東北大学防災セミナー
  テーマ「まちづくりの転換と防災コミュニティ」

日時/平成21年3月4日(水) 午後6時より
場所/東北大学片平キャンパス 桜ホール

主催/東北大学防災科学研究拠点グループ
共催/日本防災士会宮城県支部
後援/宮城県
講演/新潟大学教授 松井克浩氏
      「防災コミュニティと町内会」
    東京大学名誉教授 似田貝香門氏
      「防災の思想-まちづくりと都市計画の転換にむけて」
入場無料 事前の申し込みは不要です
問合せ先/東北アジア研究センター事務室(022-795-6009)

2009年01月28日

吉原直樹編『防災の社会学』

防災コミュニティをテーマとした共著が刊行されました。「シリーズ・防災を考える」の第1巻です。出版社による説明はこんな感じです。「社会学の視角から防災を「まちづくり」と捉え、行政によるタテのリスク管理を、地域市民によるヨコのリスク管理と組み合わせ、どうセーフティネットを構築していくか、防災にかかわる諸主体やセクターの現状から解明する」。
私の担当章では、中越地震・中越沖地震の対象地でおこなった調査をふまえ、コミュニティ・町内会に焦点をあてて論述しました。とくに、結果的に災害に強かったコミュニティにはどのような特徴があるのか、という点が中心です。よろしく、よろしく。

吉原直樹編『防災の社会学―防災コミュニティの社会設計に向けて』東信堂(2008年12月刊)、3,200円

第1章 防災の思想(似田貝香門)
第2章 防災をめぐるローカル・ノレッジ(後藤一蔵)
第3章 防災コミュニティと町内会(松井克浩)
第4章 災害ボランティアと支えあいのしくみづくり(西山志保)
第5章 被災者の生活再建の社会過程(今野裕昭)
第6章 災害弱者の支援と自立(永井彰)
第7章 防災ガバナンスの可能性と課題(吉原直樹)
第8章 防災と防犯の間(菱山宏輔・吉原直樹)
補論 〈災害の社会学〉関連文献解題(板倉有紀)

2008年12月28日

高根調査

前回に引き続き、学内の「ソーシャル・キャピタル研究会」のメンバーで、村上市(旧朝日村)高根集落の「高根フロンティアクラブ」に聞き取り調査に行ってきました。集落の中でも比較的若手の住民が組織を立ち上げ、多くのイベントや交流事業、廃校を再生した食堂経営などに取り組んでいる事例です。意欲的な活動を可能にしている条件を探りたいというのが、調査の主な目的でした。

高根は、旧朝日村の奥まったところに位置する、186戸の比較的大きな集落です。棚田と広大な共有林が広がり、豊かな森と食文化に恵まれた地域でもあります。近年は、いずこも同じ少子高齢化が進行していますが、村上市街地への通勤圏でもあり、世帯数はそれほど減少していません。
「高根フロンティアクラブ」は、集落の活性化を目指して10年ほど前に結成されました。青年団は「卒業」したけど集落の中枢を担うには年が若い、といった世代の人びとがメンバーです。この集落には、このように「思い立った」人たちが組織をぽこっと作り、周囲もそれを何となく受け入れるという「気風」があるようです。また、(今回われわれもお邪魔した)「都岐沙羅パートナーズセンター」といったいわゆる中間支援団体や、さまざまな「外部」の組織・個人に対して、ひじょうに「開かれて」いる点も特徴だと感じました。そのあたりの詳しい経緯は、これから調べてみたいと思います。中心メンバーの方の「肩の力の抜けた」感も印象的でした。
宿泊先の農家民宿「ざいごもん」や廃校(旧高根小学校)を利用した食堂「IRORI」でいただいた、集落食糧自給率の恐ろしく高い食事は、たいへん「贅沢」な感じがしました。校舎の一室で醸造されている、どぶろく「雲上」(くものうえ)もとても美味でした。それにしても、「廃校」という空間には、時間と記憶が折り重なった得も言われぬ雰囲気があります(他の地域でもそうですが)。閉校時に最後の在校生が歌ったという校歌を聞きながら、ここで学び、今でも地域に住み続ける人びと、あるいは地域を離れていった何世代もの人びとが、この空間に抱く特別な「思い」に想像をめぐらせました。
調査にご協力いただいた皆さま、ありがとうございました。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

2008年12月03日

安塚調査

学内の「ソーシャル・キャピタル研究会」のメンバーで、上越市安塚区の「NPO雪のふるさと安塚」に聞き取り調査に行ってきました。全戸参加型NPOというたいへん珍しい形態をもつ組織(実際は旧安塚町の8割程度の世帯が加入)で、多くの意義と役割、そしていくつかの課題も抱えていると感じました。

豪雪地帯という厳しい自然条件、地理的条件のもとで過疎化・高齢化が進行してきた旧安塚町は、一方でそうした不利な条件を逆手にとった地域活性化の試みによって、全国的にその名を知られた存在でした。「雪国文化村構想」や「雪だるま財団」「雪だるま物産館」の設立など地域の人びとの知恵と工夫で注目を集めてきた安塚が、広域市町村合併を経てどのように変化していくのか。日本の中山間地の今後を考える上でも、たいへん示唆に富んだ事例だといえます。
「NPO雪のふるさと安塚」は、安塚町の経験を継承し、合併後の地域づくりを担うことを目的として設立されました。旧町時代からの多くのイベント・行事を引き継ぐとともに、高齢者を対象とした有償ボランティア(病院の送迎、家事援助、除雪)やケーブルテレビの番組制作などに取り組んでいます。また「地域で何かしたい」と考える人が相談に訪れ、種々のノウハウを提供してもらうプラットフォームの役割も担っているようです。
NPOという組織形態がそもそももっている理念と、全戸参加型(ぐるみ型)という枠組みとの間でどのようにバランスを取っていくかが課題のひとつだと思います。多くの会員の方がそれぞれなりの仕方で会の活動にかかわり、それを通じて参加の意味が再認識されていけば、地域の活性化に向けても大きな力となるでしょう。
宿泊先の「田舎屋」さんは、廃校になった小学校の校舎を改築して旅館にしたものです。40戸からなる山奥の沼木地区が運営を担っていて、食事には近所の農家でとれた米・野菜や山菜・きのこ、自家製の漬け物などがふんだんに使われています(とてもおいしかった!)。「越後田舎体験」プログラムでの宿泊も多く、地域の観光・交流拠点ともなっています。
山間地の集落に通じる急勾配の坂道や斜面に広がる棚田、潰れたまま取り残された廃屋などを目にして、冬場の生活の厳しさも(少しだけですが)感じ取ることができました。
調査にご協力いただいた安塚の皆さま、ありがとうございました。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

2008年10月06日

集中講義

先月下旬、東北大学で集中講義をしてきました。しばらく前に岩手大学で担当して以来、久しぶりの集中講義でしたが、今回は自分の研究ネタだけで15コマ(弱)を埋めるべく努力してみました。

その結果、ヴェーバーの学説に関する細かい解釈を紹介した後で、巻町の住民投票について取り上げ、最後は中越地震の話とあまり脈絡のない展開になりました。理論と実証を往復することの面白さのようなものが、少しでも感じてもらえるとよいのですが。おつきあい下さった学生・院生の皆さん、ありがとう。授業とは別に研究会で報告する機会もあり、たくさんの質問や意見が出て、こちらも大変勉強になりました。

短期間ですが、ふだんとは違う場所で暮らし仕事をするというのは、気分転換にもなるし、自分を見つめ直すことにもなるのでありがたいものです。毎晩、勤勉に飲み歩きもしましたし。2学期の授業は初心にかえってまじめに取り組もうと、(この時期はいつもかもしれませんが)軽く決意しています。

2008年08月04日

「キミも新大生!」

高校生をキャンパスに招いて、大学の講義を体験してもらう催し物(標記のタイトル)で、一コマ担当しました。猛暑の中、参加してくれた高校生の皆さま、お疲れさまでした。

この夏は、高校生対象の模擬授業の担当がこれで3回目になります。1回目はやや固い感じでしたが(新潟清心女子高の皆さま、申し訳ありません)、だんだん調子が出てきました。
一コマの授業でできるだけ関心をもってもらうために、若者意識やコミュニケーションといった比較的柔らかくて身近な素材を用いて話を組み立てています。いま身の回りにある狭い世界を絶対視すると息苦しいけれども、視野を広げ、うまく距離をおいて(対象化して)見つめ直せば楽になる、といったような話です。そのためには、本を読むことや大学で学ぶことが結構有効なのだと強調してきました。
なかなか反応のよい生徒さんたちで、こちらとしては話しやすかったけど、うまく伝わったでしょうか。少しでも、大学での勉強に興味や期待をもってくれるとうれしいのですが。

2008年06月18日

柏崎調査

昨年の新潟県中越沖地震で被災した柏崎市で、聞き取り調査をおこなってきました。

松美町内会、松波・北条・荒浜の各コミュニティセンターなどにお邪魔して、地震時の町内会や自主防災組織の動き、日常のコミュニティ活動などについてお話をうかがいました。
それぞれ中心市街地、山沿い、海沿いと地理的な違いがあり、コミュニティの雰囲気や性格もバラエティに富んでいるという印象を受けました。ただ共通しているのは、地震災害という厳しい経験をバネにして、地域のつながりやあり方を見つめ直し、より暮らしやすい場所に作り替えていこうという機運です。
折しも大きな地震が続いていますが、今後に活かしていけるように、貴重な経験を記録していきたいと思います。お忙しい中、ご協力いただいた関係者の皆さま、本当にありがとうございました。

2008年06月11日

あをによし

奈良女子大学で行われたシンポジウム「マックス・ヴェーバーにおける歴史学と社会学」に参加してきました。

折原浩(社会学)、水林彪(日本法制史)、小路田泰直(日本近代史)の各先生の報告を受けて、活発な質疑が交わされました。これまで考えたこともない角度からのお話もあり、視界が開けたような気がします。専門分野を異にする研究者が、共通の関心をもちつつ議論することは生産的で刺激的でした。社会学にとっては、歴史学や法学とのつながりが重要なのだとあらためて感じました。ヴェーバーの時代には、それがあたりまえだったのでしょうが。小路田先生はじめ関係の先生方、ありがとうございました。
鹿のメッセージを聞き取ることはできなかったけど……

2008年05月10日

栗原隆編『形と空間のなかの私』

栗原隆先生編集の『形と空間のなかの私』(東北大学出版会)が刊行されました。「哲学、建築、美術、文学、心理学、社会学といった分野から、人間にとっての「空間」の意義を総合的に解明する」というテーマの本で、私も「「暮らし」の社会空間」という章を担当しています。よろしく、よろしく。

内容はこんな感じです。

栗原隆編『形と空間のなかの私』東北大学出版会(2008年4月刊行)、2,100円

《目 次》
序に代えて 無限の空間(佐藤徹郎)
第1部 認知を介した空間と私
 1.視覚芸術と視覚障害(加藤尚武)
 2.形と空間の知覚(鈴木光太郎)
 3.カントの空間論・序説(城戸淳)
 4.「無限」の形象化と心の襞(座小田豊)
第2部 空間を介して生きる私
 5.生きられる空間、もしくは世間という体(栗原隆)
 6.「暮らし」の社会空間(松井克浩)
 7.ムラ境の空間と民俗(飯島康夫)
 8.メディア空間と地域イメージの表象(北村順生)
 9.時空間と笑いについての断章(井山弘幸)
 10.透けていく空間の重層性と〈仮想境界面〉の「張力」(矢萩喜従郎)
第3部 芸術を介して内面化される空間
 11.十七世紀オランダ風俗画にみる「妻の鑑」(尾崎彰宏)
 12.宗教建築の空間(細田あや子)
 13.文学的空間と巡礼の旅(堀竜一)
 14.浮世絵に形象化された江戸という空間の魅力(廣部俊也)
 15.物語映画における「私」の位置(石田美紀)
 16.絵画の始まりと終わり、そして顔の出現と消滅について(番場俊)

2008年03月29日

『中越地震の記憶―人の絆と復興への道』

中越地震をテーマにした著書を刊行しました。2004年の地震発生から3年ほどの間におこなった、被災者・被災コミュニティの調査をまとめたものです。多様な地震体験の記憶を記録にとどめようとしました。どうぞよろしく。

松井克浩著『中越地震の記憶―人の絆と復興への道』(高志書院、2008年、1,800円)

目次
序 章 被災体験の記録と伝達
 本書の課題と構成
 阪神・淡路大震災とコミュニティ
第一章 被災地の声―「被災生活アンケート」より
 調査の概要と地震被害の状況
 被災者のニーズの変化と支援の実際
 情報・行政・コミュニティ
 被災体験をふまえた提言と問題点
 むすび―情報とコミュニティの重要性
第二章 被災生活とコミュニティ―小千谷市町内会調査より
 小千谷市の地震被害
 町内会が中心となった避難所運営
 避難場所の分散と町内会
 コミュニティ単位の避難生活
 むすび―人間関係という資産
第三章 被災と再生の物語―旧山古志村仮設住宅調査より
 対象地と調査の概要
 避難生活の展開
 山古志への思い
 「山の暮らし」の再生
 むすび―記憶・場所・アイデンティティ
第四章 「復興」とは何か―「小千谷市復興アンケート」より
 三年目の不安
 「復興」への課題
 むすび―「復興」への道のり
終 章 被災体験の意味
 体験の継承と課題
 コミュニティの可能性と課題

2008年03月29日

菅野仁『友だち幻想―人と人との〈つながり〉を考える』

いただきもの。社会学思想史やコミュニケーション論を専門としている菅野仁さんの新著です。友だちとの関係について、考え込んだり悩んだりしている若い人に向けたメッセージになっています。

本書では、「人と人との「距離感覚」をみがいて、上手に〈つながり〉を築けるようになるための」さまざまな方法が、やさしく説得力をもって書かれています。それを知ることによって、無駄な緊張から解放されたり、友だちとの関係をこれまでよりも素敵なものとして味わうことができるようになるでしょう。
菅野さんは、ジンメルという社会学者の理論をずっと研究する一方で、教育学部で学生を教えてきました。そんな理論的志向と「現場」感覚の両面が結びつくことで、その辺にある凡百の「生き方本」とは異なった魅力ある内容になっていると思います。本書を読むと、これまでとは少し違う自分が発見できるかもしれません。

菅野仁著『友だち幻想―人と人の〈つながり〉を考える』(ちくまプリマー新書、2008年、720円)

目次
第1章 人は一人では生きられない?
第2章 幸せも苦しみも他者がもたらす
第3章 共同性の幻想―なぜ「友だち」のことで悩みは尽きないのか
第4章 「ルール関係」と「フィーリング共有関係」
第5章 熱心さゆえの教育幻想
第6章 家族との関係と、大人になること
第7章 「傷つきやすい私」と友だち幻想
第8章 言葉によって自分を作り変える

2008年02月23日

中越沖地震の調査報告書

新潟県中越沖地震の被災者を対象としたアンケート調査の報告書を刊行しました。
タイトルは『新潟県中越沖地震 体験は活かされたか』(新潟県消費者協会・新潟大学人文学部松井研究室)です。
ご希望の方は新潟県消費者協会までファックスあるいはEメールでお申し込み下さい(FAX:025-281-5558,E-mail: n-shokyo@happytown.ocn.ne.jp,1部400円)。

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