
中俣正義は、敗戦後、1947年に復員したのち亡くなる1985年までの約40年間にわたって、新潟という地域を、使命感を持って広範囲かつ継続的に、写真撮影を手段に人びとの生活と文化を記録し続けました。現在、その残された写真は、われわれの社会的記憶を構成する貴重な映像として、一つの文化遺産として、脚光を浴びつつあります。中俣正義の作品は、その優れた内容によって、多方面の人びと、あるいは写真専門家に高く評価されてきました。新潟大学人文学部の研究プロジェクト「地域映像アーカイブ」では、ご遺族のご了解を得て、その写真をネガフィルムから全てデジタル化し、公開するべく着々と準備を進めて参ることになりました。

また、中俣正義は県の観光課に所属し、その経験と優れたカメラアイを発揮して約40本近い16mm映画を制作していました。その映像を現在所蔵している県立生涯学習推進センターと調査を行い、発掘し、映画もまたデジタル化し、公開する予定でいます。今回、中俣正義の映画に焦点をあて、はじめて一般に公開されることになった県観光課の映画を上映するだけでなく、地域の映像アーカイブの可能性と問題についても議論をします。
なお、5月27日から6月13日まで、県立図書館・県立生涯学習推進センターのエントランス・ホールにて、県立文書館に所蔵されていた県観光課作成の全紙サイズの写真パネル20枚も特別展示致します。
- 映画『雪国の生活』(30分)
- 中俣正義、人と写真(木原尚:木原フォトス代表)
- 中俣正義と県観光課の映像の所蔵状況(安田毅:県立生涯学習推進センター副参事)
- 映画『佐渡1957』(20分)
- 発見された中俣正義と県観光課の映画(原田健一:新潟大学教授)
- 地域にとってアーカイブはどうあるべきか―新潟日報の取り組みについて―(親松茂:新潟日報経営管理本部副本部長)
- 映像のアーカイブはいかにして可能か(金子隆一:東京都写真美術館専門調査員)
- 映像アーカイブはどう展開されるべきなのか
司会:石井仁志 討論者:金子隆一・原田健一・水島久光(東海大学教授)