- 本田由紀,内藤朝雄,後藤和智,2006,『「ニート」って言うな!』, 光文社新書
出席者の一人も言っていますが、たいへんよくできたレジュメでした。形式は完璧です。もう少し時間をかけて内容的に不十分な点を補完していけば、大学院ゼミでも通用するでしょう(文献が院ゼミにしては簡単すぎるということはありますが)。著者が簡単にしか触れていないトピックについて独自に調べてあるし、著者が引用している資料にも引用元にあたって検討してあり、感心しました。まあその分、結構受け答えにつまっていたのが残念ですが・・・この経験を次の機会に活かしてほしいです。
司会者も、難しい話になりがちな空気(これは私に責任の一端があるわけですが・・・)を、みんなが答えやすい方向に導いてくれて、発言しやすい雰囲気ができたと思います。
ところで、勉強してて文句言われない、むしろ褒められるのは、学生のうちだけですよ! ああ羨ましい・・・
以下、出席者のコメント。
- やりたいことは遊び勉強含めて多くあるので、お金と時間が自由に使えるのならニートになりたい。
- 「職業的意義」の高い教育が大学ができるか不安になったけど、自分で職業体験などでスキルを身につけていきたい。
- 今回、多く議論の中にもでてきた「職業的意義」についてこれからのためにもよく考えておかなければいけないと思いました。しかし、難しい内容だったので議論やレジュメを理解するのに精一杯でした。
- やっぱり、自分が飽きっぽい性格というのもあるけど、ずっと遊びもしくはずっと仕事というのは無理だと思います。つまらないことをやっているからこそ遊びがより楽しくなるわけで、そう考えると労働は必要だと思います。
- これまでも薄々マスコミの報道は誘導的だと思っていたが、本書を読んで更に嫌気がさした。平等な社会を考えるのは難しいと思った。
- 私の身近にゲーム・インターネット・引きこもりのニートがいるのですが、本当に見ていて腹立たしいです。私はニートにはなりたくないです。
- しっかり本を読んで練られたレジュメだと思いました。受け答えで多少ろうばいしていたようでしたが、作者の主張の整理や、それに対する反論(疑問?)も明確だと思いました。お疲れ様でした。
- 僕は個人的には専門高校や専門学校に進学したいという気持ちが強かったので本書にあるように増やしたらいいと思います。そもそも大学に必ず行かなければならないという強迫概念が社会に多いのも専門高校が少ない理由なんだろうなと思う。(ニートに関係なくてすいません)
- 今回は、「職業的意義」や「リベラリズム」など、概念的な言葉が多く現れて、表面的な理解では、議論に参加できないことを痛感しました。
- 全体的にむずかしかった・・・すごい。教育者の教育においても、小学生に教えるからといってそれ以上の深い知識が必要であると同時に教育に必要な教育も大切である。けど両立がむずかしいし・・・というような2つの意見がむかしから(今も)なされている点から、一概に職に必要な教科~とは定義できないのだなとしみじみ思った。ドイツの矛盾が今でもよく分からない・・・。
- 確かに、「ニート」に対して、いいイメージは無かったけれど、皆の意見を聞いた時、自分の好きなことをしたいということで、働こうと思わない人もいるのだろうなあと思うようになった。大学では、自分の将来につながるように、自分から、様々なことに興味関心をもって学んでいきたいと思った。
- そもそも働くことの何が大事なのでしょうか? 働くことはお金や楽しみを得るためであり、それは生きる手段なのかなと思います。遊んでいても生きる手段が確保されているなら働く必要はないのでは・・・?
- 一年前まではニート予備軍だったので、今回の話題はちょっと耳に痛い部分がありました。でも、日本も職業的な訓練や体験をするようにしていくのは必要だと思いました。
- 報告者の感想 初めてのレジュメで、浅く考えていた部分がいっぱいあって反省した。質問された時に答えられなかったので、もっといろいろ考えてくればよかった。指摘してくれてありがとうございます! そして先生たくさんフォローありがとうございました。
- 司会者の感想 議論をもっていく方向が定まっていなくて、沈黙の時間を作ってしまったり、先生に助けていただいたりと多々至らない点があってすみませんでした。私的にこの本を読んでも「ニート」に対するネガティブなイメージはとれませんでした。緊張しました・・・。