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2009年5月

2009年5月22日

最近読んだ本

 最近読んで面白かった本を紹介します。
 出たばかりの本では、櫻井義秀『霊と金』と仲正昌樹『今こそアーレントを読み直す』、前に出たもので浜矩子『グローバル恐慌』、友野典男『行動経済学』、市川伸一『考えることの科学』です。いずれもたいへん勉強になりました。

2009年5月21日

人文総合演習A 第5回


今回は10ページの大作でした。内容も、著者の議論の流れに沿いつつも、報告者独自の立場である「自律としての自由」論を基礎に、各段階での自由の観念を批判的に検討していくという、きわめてオーソドックスでありながら、プロの学者でもなかなかきちんとやれている人のいない方法論にのっとった、かなり高水準のものでした。実際、そういう意味では、議論の水準も目標設定も、対象文献を大きく超えていたといってしまっていいでしょう。

また、「本書全体を通しての自由の変遷」を、「実際の現象としての自由/理想としての自由」に分けて再度図式的に整理し直してくれたことで、対象文献を読んだだけでは免れない、なんか分かったような分からんようなもやもや感は一掃されました。

報告者は、(もちろん前提知識なく)カントの自由論と、現代政治・道徳哲学におけるコミュニタリアニズムの自律論に、非常に近い直観的発想を持っていて、まあなんというか素朴にすごなあと思いました(笑)。さらに緻密に議論を展開するために、ぜひこれらの議論をフォローしてみてほしい、と思います。

さて司会者ですが、下記のコメントにもあるように、たいへん素晴らしい司会ぶりを見せてくれました。ネタの振り方、指名のタイミング、想定外の流れになったときの戻し方など、まあその、絶妙というか、私自身あれよりうまくやれと言われてもできるかどうか自信がありません・・・ 司会がうまいと、他の出席者も安心して発言できる・・・というわけで、また私がしゃべりすぎてしまったのが申し訳ないです(笑)。


以下、出席者のコメント。

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2009年5月14日

人文総合演習A 第4回


今回の報告は、雇用、社会保険、公的扶助という三層のセーフティネットがすこすこだという著者の議論を受けて、まずは各層における問題の原因と解決策を、短期的合理性と長期的合理性の齟齬という観点から整理し直し、その上で特に、生活保護のマイナスイメージ問題を取り上げて、ある種の「自己責任」的な(というか自業自得的な)、また不正な受給者に対しては厳しい態度をとることでマイナスイメージの軽減を図るという案を呈示し、しかしやはり最終的には人権の保障を責務とする国の責任を強調する、という感じでした。

合理性の問題にしても、責任の問題にしても、あれかこれかの二分法的単純思考ではどうにもならない微妙な論点です。事例に即して、試行錯誤的に適切な回答を探っていくしかないわけですが、今回の報告はその一例となったのではないでしょうか。

司会者も、報告後に自分なりのまとめを示したり、なかなかうまいタイミングで話を振ったりして、事前の工夫がしのばれました。(もうすこし声を大きくしたらなお良かったかなー)

いつも思うことですが、事前の打ち合わせのときに、本番ではこんな感じかなと予想していたのを、みんな上回ってくれます。教員の指導などよりも、本番で前に座って90分を任せられるという経験こそが、個々の能力を引き出すのであるよな、と感慨にふけるところ。(まあ、そういうアーキテクチャを設計しているのは俺なんだけどな!という、あのその(以下略))

なお、今回は他ゼミの受講生が一人、(単位も出ないのに!)うちに出席してくれました(コマが違うので可能)。なかなか挑発的な議論を吹っ掛けてくれて、呼び水になりました。こういう人の参加は、(対象書籍を読んでいるということを条件として)つねに歓迎します。


以下、出席者のコメント。

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2009年5月 9日

論文の探し方・先行研究の検討の仕方

論文の探し方と先行研究の検討の仕方について以下紹介します。

次のサイトを開く。http://ci.nii.ac.jp/
探したい研究論文に関するキーワードを入力する。
所蔵を確認する。ダウンロードできるものは入手して読む。
図書館に所蔵されている本や雑誌は借用する。社会学の図書室にある雑誌は当日のみ借りだせるので借りてコピーをとる。

先行研究の本や論文を読み要約を作成する。要約を積み上げてはじめてようやく先行研究を書くことができる。先行研究を批判的に検討して課題を定める。

2009年5月 1日

人文総合演習A 第3回


まずは、報告者・司会者の二人は、互いの名前もまだ把握しきれていない、どうも感じがわからない中でのトップバッター、お疲れ様でした。終わったあとで司会者が「悔しいです」とこぼしていましたが、その感想が出ることこそ、演習の醍醐味でしょう。一般に、報告者よりも司会者の方が大変だし、感じる責任も大きいものです。

まあ、ついでなんで、この二人には人柱になってもらって(笑)、次回以降に改善すべき点をいくつか指摘しておきましょう。

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