裂開する世界図絵
ー近代ヨーロッパの〈庭園〉表象における欲望・創出・媒介ー
「世界図絵」はここでは言葉と事物の蒐集と分類に駆られた人類知を指す。近代への転換期、いかなる変容がそこに見られたのか。その事例の一つとして〈庭園〉表象の新たな創出や、この人工的な場に多様に重ねられた夢想や欲望を読み解きつつ、世界表象の新たな近代的相貌を俯瞰する。
- 日時:3月10日 14:00-18:00
- 場所:人社系棟第一会議室
- プログラム:
- 14:00-14:50 安西信一(美学・東京大学)
- 場所:人社系棟第一会議室
- 「コッテージ・ガーデン――内向するイングリッシュネス」
- 15:00-15:50 佐藤淳二(仏文学、思想および表象理論・北海道大学)
- 「庭と欲望:ルソー『新エロイーズ』の風景」
- 16:15-17:05 鷲見洋一(仏文学・慶応義塾大学名誉教授・中部大学)
- 「直接性から間接性へ――表象領域の変容と転換」
- 17:20-18:00 全体討議・質疑応答
【講師紹介】
- 安西信一先生:
- 専門は近・現代の美学芸術学。特に十八世紀から十九世紀のイギリス美学、風景論、庭園論、さらに最近の環境美学。単に美しく快いだけに見える庭園や風景の背景に、どのような思想的・政治的・経済的背景があったのかを、近代市民社会や近代美学の成立と絡めて研究している。さらにそれが、現在の世界の「審美化」の現象や、日常生活の美学とどう関係するか。最近では、そうした観点から、たとえばJ-PopのPV(MV)にも注目している。
主著『風形式庭園の美学』(東大出版会、2000)、『Genderand Landscape』(共著:Routledge、2005)、『芸術環境を育てるために』(共著:角川学芸出版、2010)など。
なお、ジャズ・フルート奏者としても、都内各所でプロとして活動中(音楽関係中心のブログ:http://ameblo.jp/laboriosus/ )。 - 佐藤淳二先生:
- フランス語圏の思想と文学(特に18世紀以降の近代と自己意識の諸問題)を研究。ルソーとディドロを中心に論じてきましたが、これを文化論に拡張すべく、文学理論やイマージュ理論(非認知理論)と取り組んでいます。アルチュセール周辺の映像理論の研究から、演劇的思想と映画的思想の差異を論じることを目下のテーマにしています。
訳書に中川久定・ヨヘンシュローバハ編『18世紀における他者のイメージ』(共訳)、河合文化教育研究所(2004年)、ルイ・アルチュセール『愛と文体フランカへの手紙』全6巻(共訳)、藤原書店(2004年)、共著書に『啓蒙の運命』、京都大学出版会(2011年) - 鷲見洋一先生:
- 慶応義塾大学アートセンター所長を経て、現在は日本アート・ドキュメンテーション学会長。著書に『『百科全書』と世界図絵』(岩波書店、2009)など。「近代の水源=「啓蒙」の忘れられたダイナミックスを再生する。メディアの革命とコスモスの崩壊に面した転換期。世界像を更新しようとする人間性の不思議を追い、テクストと図像と映像のコラボレーションで描く、失われた「啓蒙」の物語。」(同著から)