卒論評価終了
4年生の卒業論文発表会&口頭試問、そしてそれにひきつづく教員たちの卒論成績会議は、疑いもなく、文コミの一年のなかでももっとも印象深い行事のひとつです。前者に関して言えば今年もいろいろで、笑いあり(意外なようですが、俎板の上の鯉であるはずの発表者自身もふくめて、皆がつい笑ってしまう場面がけっこうあります)、涙あり(今年は、せいぜい、うっすら程度)、質問責めにあった学生の逆ギレがあり(傍で見ていてちょっと同情)、意見の相違からくる教員間のひそかな闘いがあり(教員たち自身は隠しているつもりのですが、学生にはけっこうばれているようです)、驚きがあり(ポジティヴなものとネガティヴなもの両方)、優しさがあり(私自身はたいへん優しかったと自負しています)、幻滅があり(否定しようがありません)、それをのりこえた師弟愛がある(二人のI先生の愛の深さにはだれもが感嘆したのではないでしょうか)といった具合でした。
そして成績会議。文コミでは一つの卒論を必ず複数の教員が採点することになっていますが、先生方の評価がおおむね一致する場合(これが大多数)はいいとして、毎年必ず、バトルが繰り広げられるケースが1、2あります(差支えがあるので今年のことは書きませんが、昨年は私がその主役でした)。いわばネタにされた学生は気の毒ですが、教員の側からみれば、普段の社交的な壁を突き破って、それぞれの学問観や価値観の違いがあらわになる、貴重な場でもあります。少々昔の話になりますが、文字通り怒号がとびかうこともあったような、、、4年生が卒論の評価を知らされるのは晴れがましい卒業式の席で、卒論の成績などはほとんど気にもしないでしょうし、なにより学問の評価基準は一つだと信じているでしょうから、なかなか想像しづらいかもしれませんが、人間について人間が書いたものを人間が評価するとは、おそらく、そうした差異の認識のための機会なのでしょう。
ちなみに、卒論を書き終えたばかりの4年生が、自分の卒論を反省しつつ、レポートにこんなことを書いていました。固有名を伏せて無断引用します(ちなみに「***」とは当該学生の卒論のテーマ)。「***は、私にとって大変魅力的であり、解きがたい問題であり、それゆえに救われたというほかない」。
現3年生も、一年後に、こんなかっこい言葉が言えるようになるといいですね。