2013年2月 6日

「最後の」文コミ卒論発表会

人文学部のホームページでも告知されていますが、改組後「メディア・表現文化学主専攻プログラム」と名称を変えた、旧「文化コミュニケーション履修コース」の最後の卒業論文発表会&口頭試問が、次の日程でおこなわれます。

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文化コミュニケーション履修コース
平成24年度 卒業論文発表会&口頭試問

2月12日(火)9:30-15:30
@総合教育研究棟B棟5階プレゼンR


9:30 同人音楽論
日本における韓流ブーム
10:00 清水玲子論
若者の間におけるサブカルチャーの変遷
女性ファッション誌とその読者
ラーメンズ論
11:00 『美少女戦士セーラームーン』からみる戦う美少女アニメ
木皿泉論
本格昔話からみる日本昔話の語り口
女子映画における小林聡美

12:00-13:00 昼休み

13:00 メディアとしての装い
プロジェクトに仮託した存在――西川貴教論
松竹映画史における山田洋次作品の意義
セレブリティーズと写真
14:00 コバルト文庫と少女小説
ニコニコ動画における実況プレイ動画
サイバー空間の仮想世界と現代人の関係
アメリカ青春映画論
15:00 上橋菜穗子〈守り人〉シリーズ研究
現代は少年犯罪をどのように語ってきたのか

* 旧カリキュラム「文化コミュニケーション」の卒論発表会ですが、内容は密接に関連していますので、新カリキュラム「メディア・表現文化学」の3年生もぜひ出席してください。
** 公開ですので、大学に関係があってもなくても、年齢を問わず、ご参加いただけます。ご遠慮なくどうぞ。
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最後だからといってとくに気負うこともなく、しかし静かな緊張感をみなぎらせながら、参りましょう。

2012年7月24日

最後の文コミ卒論構想発表会と、「魅力」という使用を避けるべき語の両義性について

事後報告になってしまいましたが、旧カリキュラムとしては最後の文コミ卒論構想発表会がおこなわれました。当日になって若干の変更もありましたが、プログラムはおおむね以下の通り。

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文化コミュニケーション履修コース
平成24年度 卒業論文構想発表会
7月21日(土)9:30-16:00 @人文社会科学系棟 B226教室

9:30 メディアの中の核兵器
日本における韓流ブーム
10:00 清水玲子論
F.ショパンについて
現代サブカルチャーの形態
ファッション雑誌が提示するイメージと読者の読み方
11:00 ラーメンズにおけるコントの手法
『美少女戦士セーラームーン』からみる戦う美少女アニメ(仮)
木皿泉論
J-POPの歌詞にみる「自分」
12:00-13:00 昼休み
13:00 (未定)
『かもめ食堂』シリーズにおける小林聡美
日本のポピュラー音楽におけるアーティスト像
プロジェクト名に仮託した存在――西川貴教を中心に(仮)
14:00 松竹映画史における山田洋次作品の意義
写真におけるセレブたち
14:30-14:45 休憩
少女小説の変遷 80年代以降のコバルト文庫を中心に
15:00 ニコニコ動画における実況プレイ動画
電子メディアの変遷
1960‐70年代アメリカ映画の「青春」
上橋菜穂子〈守り人〉シリーズ研究
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終わってみて、さあどうであったかというと、別に、最後だからといって特に変わったこともなかったわけですが(名称は変わっても、ほぼ同じことをこれからもつづけていくことになるでしょう)、あえていえば、今年印象に残ったのは、「「魅力」って言うけど、それって、どうよ?」ではじまり、「やっぱり「魅力」系の論文はまずいんじゃない?」で終わったということ、――質疑応答のなかで、しばしば(なかば戯れにではありますが)、論文を書こうとする際の「魅力」という語の危険と魅力がクローズアップされたこと、でしょうか。

ざっくりいうと、「「●●●の魅力を明らかにする」というのは、論文の構想として、間違っているのではないか?」という疑念ですね。

参考文献をいくら読もうと、方法論的、手続き的にどのような工夫をしようと、「●●●の魅力とはなにか」という問いから出発するかぎり、「●●●はすばらしい」という結論(およびその変奏)から外れることはありえない。「魅力」に対する問いを立てるかぎり、「●●●はすばらしい」は暗黙の前提であって、結論ははじめから決まっており、けっして覆されることはない。解答をあらかじめ前提とするような論文が、いい論文になるはずはないのは当然ですね。しかし、ある対象に対する問いが、それがもつ「魅力」からはじまることも、また疑いえない。人は「魅力」を感じないものに向かって、そもそも問いを発しようとはしないからです。対象に魅入られ、対象に誘惑されるということがなければ、なにもはじまらない。

まとめると、

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「魅力」は、論文において、たしかに「使用を避けるべき語」であるが、
「魅力」は、それがなければいかなる思考もはじまらない、必要不可欠の前提でもある。
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ではどうしたらよいか? 

難しいですね。でもそれが「考える」ということなのでしょう。

2012年3月22日

また3月が

また3月が来て、明日はもう卒業式ですね。

「考える人になる」と祈るように歌っていた人(バンド)がありましたが(このくらいのごく短い引用なら、ブログでしても大丈夫そうです)、ひとそれぞれの仕方で「考える人になる」のが、いかに大事で、いかに困難なことか――みなさんにとっても、そして私自身にとっても。文コミはそのために、多少なりとも役立つことができたでしょうか。

ご卒業おめでとうございます。

2012年2月 3日

平成23年度卒業論文発表会&口頭試問

文化コミュニケーション履修コース(改組後の新しい名称では、メディア・表現文化学主専攻プログラム)の平成23年度卒業論文発表会&口頭試問が次の日程でおこなわれます。今年は長丁場です。

2012年2月9日(木) 9:30-17:30 @人文社会学系棟2階第一会議室
9:30
巨大ロボットアニメ史におけるガンダムシリーズ~富野由悠季がもたらした変化と発展~
ロシア・アニメーション研究
10:00
新海誠作品における「切なさ」と物語構造・風景との関係性
ファッションイラストレーションという形態
桜庭一樹と「少女」のフィクション
映画作家ティム・バートンの自画像
11:00
ゼロ年代におけるインディーズ・ミュージック論
村上春樹の作品における「歴史」と物語
自己を語るヒト
現代音楽における「沈黙」への問い
12:00-13:00 休憩
13:00
ロリータファッションにおける自己と〈お洋服〉の関係性
乙女ゲームにおける恋愛表現
ハリウッド映画とタバコの関係
『宝島』論
14:00
ニコニコ動画がつくる仮想空間
東京ディズニーリゾートにおける演出
東野圭吾『白夜行』 -「夜」を中心とした考察-
現代日本のテレビにおける動物の姿~バラエティ番組を中心に~
15:00
『火の鳥』における生命と時間
『ONE PIECE』における〈泣き〉
15:30-15:45 休憩
テレビゲームによる歴史への介入
16:00
SMAP論 -日本の男性アイドル史の中で-
草創期の『こどものとも』の歴史的意義
宮崎駿作品における「変身」
宮崎駿監督作品における固体と流動体
17:00
有川浩論 ―その文体をめぐって―
山口百恵論

2012年2月10日(金) 9:30-12:30 @総合教育研究棟B棟5階プレゼンルーム
9:30
現代の食卓
三國志演義における劉備の「善」と曹操の「悪」
10:00
橋口亮輔作品にみる女性の表象
現代日本における広告の変遷
ゆずという二人組
雑誌『Zipper』と少女文化
11:00
『キノの旅』論
ラーメンズ論
初音ミク消費体系
水城せとな作品における生と性
12:00
ミヒャエル・ハネケ作品論
アメリカン・カートゥーンアニメーションの分析

* 1日目と2日目で会場が違います。注意してください。
** 原則として3年生も全員必修です。一年後は自分のことなので、必ず出席してください。
*** どなたでも――文コミやメディア・表現文化主専攻プログラムに関係があってもなくても――ご参加いただけます。ご遠慮なく。

2011年9月28日

「超域文化論」および「メディア・表現文化実習B」合同作品発表会のご案内

文コミ固有の授業というわけではありませんが、以前このブログでもご紹介した授業の発表会が開かれます。参加自由ですので、お暇な方はぜひどうぞ。

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■日時:2011年9月30日(金)16:30-18:45
■場所:新潟大学(五十嵐キャンパス)
  総合教育研究棟B棟3階「B351」教室
http://www.niigata-u.ac.jp/top/access_ikarashi.html

■スケジュール
○第1部 16:30-18:00
「超域文化論」作品発表
  「サウンドトラック」(担当講師:高橋幸世)
この授業では、まず詩を題材にグループ毎に音のない短い映像を作り、次にその映像を交換して別の人が音をつけ、映像と音が密接に絡み合った「オーディオ-ビジュアル作品」を完成させます。いわば<連歌>のように、言葉から視覚へ、視覚から聴覚へとイメージを受け渡し、膨らませ、変化させていく作業です。発表会では、このようなプロセスを経て出来上がった作品の上映を行い、映像作品における聴覚の役割について考えます。

休憩

○第2部 18:15-18:45
「メディア・表現文化実習B」作品発表
  「ドキュメンタリー映像」(担当講師:大内斎之)
 統一テーマは「志(こころざし)」。参加者は3つのグループに分かれ、各グループごとに自分たちの身近にいる人たちの「志」について取材します。その結果は、最終的に5分程度のドキュメンタリー映像作品にまとめます。

2011年9月 7日

齋藤ゼミ、演劇公演のお知らせ

 また、この季節がやって参りました。
 恒例の齋藤ゼミの演劇公演です。一部では、演劇ゼミと呼ばれているようです。

 題名 「グリム兄弟~メルヘンと共に~」
 日時 2011年9月17日(土) 午後7時
       9月18日(日) 午後2時
 場所 シアターent.(寺尾公演前バス停から徒歩2分)
 場所が分からない方は、下記の劇場の案内(交通案内のページ)でご覧下さい。
http://www.catacombe.net/ent/index.html
 料金 500円

 グリム兄弟の生涯をいくつかの場面に分け、メルヘンの登場人物(動物)もからめて描きます。ご来場お待ちしています。

2011年7月13日

平成23年度文コミ卒業論文構想発表会のお知らせ

せっかくの熱い(暑い?)書き込みを下げてしまうことになりますが、今年も、文化コミュニケーション履修コース(新カリキュラムではメディア・表現文化学主専攻プログラム)の卒論構想発表会のお知らせです。

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文化コミュニケーション履修コース
平成23年度 卒業論文構想発表会


7月16日(土) 9:30-17:00 @総合教育研究棟D棟1階大会議室(A棟エレベーターの左脇奥)
9:30 新海誠論
日本のファッション雑誌におけるファッションイラストレーションの位置付け
10:00 桜庭一樹作品における「武器」
橋口亮輔作品における女性
村上春樹作品における歴史の獲得と喪失
犯罪者の語り
11:00 現代音楽における沈黙-武満徹、ジョン・ケージを中心に-
『ONE PIECE』における<泣き>の構造分析
ハーレムを求める女性たち―乙女ゲーム『薄桜鬼』を中心に
ニコニコ動画におけるユーザーの関係及びコミュニケーションのあり方
12:00-13:00 休憩
13:00 東京ディズニーリゾートにおける舞台演出(仮)
ティム・バートン作品における俳優の身体
東野圭吾『白夜行』と『幻夜』-2つの「夜」を中心とした比較・考察
『火の鳥』における手塚治虫の人間観(生命観)(仮)
14:00 現代の主婦 現代の食
ラーメンズ論(仮)
テレビゲームによる歴史への介入―『戦国BASARA』を中心に
『東のエデン』論
15:00-15:15 休憩
15:15 ロリータファッションにおける少女と衣服の関係
戦後日本における絵本観の変容
装飾する少女たち-雑誌『Zipper』を中心に
16:00 少女漫画における恋愛対象としてのメガネ男子
三国志演義における劉備の「善」、曹操の「悪」
人格化する動物
2000年代のガンダム論

7月23日(土) 9:30-13:00 @総合教育研究棟F374
9:30 宮崎駿作品における液状化の表現
有川浩論
10:00 山口百恵はなぜ伝説なのか―1970年代-80年代アイドルにおける彼女の特異性―
海洋冒険小説論
現代日本における広告と情報利用の変容
ゆずにおけるジェンダー~男2人組歌手という形態から~
11:00 動物への変身 ~『紅の豚』と西洋の童話、日本の説話との比較~(仮)
『キノの旅』論
初音ミク論
ミヒャエル・ハネケ論
12:00 アメリカのカートゥーンアニメーションの表現
モスクワのゲニウス・ロキを探る

* 1日目と2日目で会場が違います。注意してください。
** 発表者は各自レジュメ(ハンドアウト)のコピーを60部用意して持参してください。
*** 原則として3年生も全員必修です。一年後は自分のことなので、必ず出席してください。
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逆ハーレムから武満徹まで、NLからBLを通ってメガネ男子まで、ラーメンズから三国志まで、教員たちの教養の程度をあざ笑うかのようなテーマが並んでいます。こりゃまた大変だ、、、参加は自由です。1年生や2年生もふるってどうぞ。

2011年6月28日

節電

 久しぶりに、毒をはきたくなったので、どこにしようかと探していて、ここを思いついた。1年ぶりくらいの投稿!
 世は、官民を挙げての節電で大騒ぎだ。
 個人的には、反原発を旨としているので(思い切って公開してしまったが)、今までも、太陽光発電のパネルを屋根に設置したり(もとを取れるかどうかは度外視して)、いろいろと考えてきた。しかし、アンバランスなところもあって、電気をつけっぱなしで寝たり、電子レンジでパンを焼いたり、あれっ?という行為もいろいろとやってきた。

 さて、大学の節電キャンペーン(正式名称は「新潟大学節電実行計画」)はこんな具合だ。
 事務室、教員会議室、会議室、学生研究室は空調設備を原則として使用しない。
 短時間パソコンを使用しない場合、小まめにディスプレーを消す。
 不要な照明の消灯を徹底する。
 クールビズの実践を徹底する。
 電気ポット、コーヒーメーカ、電気給湯器を使用しない。

 もっとたくさんあるのだが、気のついたものを挙げた。実は、私は暑さに強いのであまり困るものはない。エレベーターが止まっても、最近、運動不足を補うために階段を利用しているので、これも困らない。せいぜい、会議のときに眠くなるので、その前に飲んでいた熱いコーヒーが飲めなくなりそうなのが心配なだけだ。その度に、喫茶店に走るか?

 何も悪いことはない。では、どういう毒をはきたいのか? それは、これらは「大学が自ら率先して取り組む」と書いてあるものの、あきらかに、政府が音頭を取っているのにのっかているのが嫌なのだ。いや、やること自体は悪くない。不愉快なのは、今まで、節電なんていうことは一言も言わなかった人間が、こういう風潮になるや、先頭に立って指導するのが不愉快なのだ。

 9月を休みにしたいがためにエアコンに頼って試験を7月末とか8月に持ってきた人間がよく言うよ、という感じか。暑いから、くだけた格好をしている人間を叱った人が、今度は、夏にきちんとした格好をしていると、「クールビズにしろ」とまた、説教するんだろうなという予想か。エアコンを必要としない格好は人それぞれなのに、外見についてあれこれ言うんだろう。

 そして、官民挙げて節電に成功して、さらに原発が動きだした暁には、「皆さん、よくがんばりました。さあ、電気を使いましょう」となるんだろうなと想像がつく。

 もし、本当に、地球環境に配慮して、生き方を考えようということなら、「自家用車は控えて、乗り合いで通勤しよう」とか「徒歩通勤はどうでしょう」とかも入ってくるはずだろう。「キャンパスライフスタイルを見直して実施してきた節電」という文句が通達にはあるのだが、やはり、あくまで現状の発電の状況に見合った経済的な観点からの節電なのだと思ってしまう。

 あまり毒は含まれていなかったかな?

2011年5月27日

集中講義「超域文化論」(サウンドトラック制作)のお知らせ

文コミの専門科目というわけではありませんが、文コミとも関係が深いので、宣伝です。

カナダ、バンクーバー在住のアーティスト、高橋幸世さんの集中講義「超域文化論」
(サウンドトラック制作)の日程が決まりました。この授業では高橋先生の指導のも
とにオーディオ・ビジュアル作品を制作します。アートの現在に触れることのできる
貴重な機会です。ぜひ履修をおすすめします。

110H3482 超域文化論
期間:9/26(月)~9/30(金)
定員 15名
対象学部等 人文学部3年生以上を優先して、他学部3~4年生。

高橋幸世さんのプロフィールについては以下を参照。ビデオ作品の抜粋も見られます。
URL:http://www.sachiyo.org/index.html

受講希望者は平成23年6月10日(金)17時までに、人文学部学務係のカウンター
にあるレターケースに聴講票を提出してください。

2011年3月22日

地震から十日がたって

大きな地震があり、津波があり、原発の事故がありました。情勢はまだ予断を許しません。
新潟大学では、3月23日に予定されていた卒業式も、4月5日に予定されていた入学式も中止になりました。

この間、未曾有の災禍に心を痛めつつも、日々の仕事のこと、晴れやかに巣立っていくべき卒業生のこと、希望に満ちて入学してくるべき新入生のことなどをつらつら考えては、「腑に落ちる」言葉を探していました。

多かれ少なかれ、文コミで学んでいる/学んだみなさんも、同じではなかったかと推測しています。

そんななか、いくつか心に響く言葉に出会ったので、ここにメモします。

松原隆一郎「つぶやきに耳をすます」(2011年3月21日)
http://www.asahi.com/special/10005/TKY201103210143.html

高橋源一郎「震災で卒業式をできなかった学生への祝辞」 (2011年3月20-21日)
http://togetter.com/li/114133

何もできませんが、私も、明日の人文学部学位記授与式で「少々、着飾っ」た皆さんにお会いできるのを楽しみにしております。