- 井上章一,2008,『日本に古代はあったのか』,角川選書
今日は、一足早く冬休みに入った人が数人いましたね。怪しからん! ただ議論は結構盛り上がりました。
日本に古代はなかった、日本の歴史は最初から中世として始まる、という著者に対して、報告者は真っ向勝負を挑みます。いや、やっぱり日本史は古代から始めるべきだと。報告者の考えは、要するに、支配者の属性の推移によって時代区分をすべきであり、それでいくとやはり武士の擡頭によって中世の始まりとすべきであると。
しかしやはり、なぜ政治体制のあり方を(他の様々な領域における変化を差し置いて)時代区分の基準としなければならないのか、なぜ天皇時代、武士時代等と報告者の主張する時代区分をそのまま時代の名称にするのではなく、古代・中世・近代という西洋史由来の分類を用いなければならないのか、等々の疑問はおさえられませんね。
とはいえ、そういう批判を受けつつ、時代区分というものが、現在の視点から過去に切れ目を入れることで(「その時歴史が動いた!」)、過去の出来事の集まりの中に秩序を見出し(そうやって見出された秩序が「歴史」と呼ばれるわけです)、そうすることで(ある種の)理解が可能になる(ことで別の種類の理解が排除される)という仕組みは、なんとなく感得できたのではないでしょうか。
司会者は、たいへん工夫していましたね。まとめ方もよかったし、鎌倉で採った(刀の原料になる)という砂鉄をもってきてくれたり、楽しめました。あんな大量の砂鉄は初めて見ました(小学校の砂場でU型磁石にくっつけたのしか見たことなかった)。
以下、出席者のコメント。
- 世界システム論の考え方がおもしろいと思いました。
- 今日はまったく話にならないと思っていましたが、意外と話がでました。ヨーロッパの古代と日本の古代の共通点はなんなのでしょう。
- 歴史について議論するのは難しいと思いました。司会者と発表者は退屈にならない様に色々頑張ってたと思います。
- 今日は全然発言できなかった。内容の浅い発言ばかり。がんばって発言します。
- 歴史というのは娯楽であり、今楽しめればよいと思うので、時代区分は私的にはわかりやすければよいと思いました。
- 時代区分について、教科書がくわしくまとめていない理由がわかったような気がします。
- 報告者は日本史のことに詳しくてすごいなと思いました。もう少し勉強しておけばよかったです。
- ほとんど歴史については分からないまま議論に参加してしまったので、前もって少しは勉強しておけば良かった。報告者、司会者の方、お疲れさまでした。
- 確かに様々な歴史区分があってもいいなと思いました。ただ、政治権力というのは多くの事柄(土地制度とか)につながりうるから、教科書等で採用されているのではないかと思いました。文化で分けるのは、政治権力に次ぐ大きな分け方だと思います。
- 報告者の感想 世界史の知識が入ってくると、答えられなくなって申し訳なかったです。レジュメが難しくて議論の波に乗れなかった人も多かったかと思います。90分という時間がすごく短くて、個人的には楽しかったです。今日はありがとうございました。
- 司会者の感想 すいませんでした。みんなが話せるようにできませんで・・・