- 斎藤環,2006,『戦闘美少女の精神分析』,ちくま文庫
さあ、最終回です。しかも2本撮りの2本目というやつですね(?)。テンションもちょっとアレな感じに・・・
わからないところは無視しろ! わかるところだけ自分なりに広げろ! それだけが発見への道だ! (発見のない報告なんて迷惑なだけだ!)というのがこのゼミの「教え」なわけですが、今回の報告者は、本書のうち、精神分析なところは全部切り捨ててくれました。うん、賢明な判断です。
で、報告者は、自分のアニメ視聴行動の特徴を、また自分がアニメ(やアニメキャラやアニソン)に向けている嗜好を、ある程度細かく記述してくれました。おそらく報告者本人は、(外見上はそれほどアニメ好きそうに見えない)自分のアニメ好きを暴露することでの盛り上げ機能を結構狙っていたのだと思いますが、そしてその狙いはなかなかうまくいったわけですが、その記述の中には様々な発見と、さらなる問いのための基礎が、いくつも含まれていました。
頻繁に、長時間にわたって観るという報告者が、アニメ視聴に使っているメディアは、テレビではなくパソコンだ、というところが特に重要でしょう。もちろんパソコンでDVDを再生しているのではなく、有料のストリーミングを観ているわけでもなく、様々な動画共有サイトに(違法に)アップされてあるアニメを無料で観ている。だからこそ、自分の好きなときに長時間、何話でも観ることができるわけです。これは、数年前まではまったく存在しなかった視聴形態です。もちろん対象本も想定していません。また、それと関連することとして、アニメをニコ動のMADで二次的に(そしてそこにつけられたコメントも含めるなら三次的に)楽しむというのも、非常に最近の現象です。
嗜好については、私自身の嗜好に関する事実関係はあえて語りませんが(笑)、報告者がアニメキャラは性的志向の対象にはならず、それゆえそれに特化した18禁アニメは全然観ないというのは、まあ後者の方はともかくとして結構違和感です。ちなみに報告者は男性です。うーん、あれですかね、代替メディアの数とアクセシビリティの向上とかが関わっているんですかね・・・などと、ちょっとヤバい方向に行きそうなのでこのくらいに。
そうした細かい事実の積み重ねの価値に較べて、オタクかどうか、という点は、ちょっと大雑把すぎて、これが議論の主軸になっていったのはちょっと残念感があります。ただ逆にいうと、オタクかどうかがあまり意味をもたない世の中になってきたのかなという感じもあります(自分が中高生の頃はそれは死活問題でした・・・)。
あ、大事なことを書き忘れるところでした。えー、今日の司会者は現役コスプレイヤーでした。写真が回りました。新潟にもいるんですね・・・というか東京でも遭ったことないです・・・。まあ、それも含め、司会者自身がいろいろ資料を提供してくれて盛り上がったというか、栄養過多になったというか・・・(笑)
以下、出席者のコメント。
- 今日は報告者は勿論のこと、司会者も報告者並に話を盛り上げていたと思います。アニメ等の世界にも様々な考察点があるのだなあと思いました。皆さんありがとうございました!
- すごかったです。○○君はたぶんおたくだと思います。
- おたくとかファンとか、個人的にはどうでもいいです。好きなら好きで別にいいと思います。特にマイナスイメージもないです。○○君はオタクでも、オタクでなくてもいいです。○○君は○○君です。
- とても楽しかったです。出てくるアニメとかゲームとか全然分かりませんでした。おたくの基準はよく分からないのですが、今日の報告者は・・・ファン・・・??ですかね・・・?? 先生、前期・後期と一年間ありがとうございました。
- 面白かったです。○○君はファンですね。
- コスプレを本当にしてる人をはじめて見ておどろきました(いい意味で)。
- この中では俺はかなりオタクだということが分かった。自分の恥部のような部分を惜しげもなくさらすところは凄いと思った。
- 「好き」というのと「恋」の定義というか良くわからないので、最後の方はよくわかりませんでした。
- オタクではないと思う。節度を守り、自分を冷静に見ることが、話しているときでもできればオタクではないと思う。二次元に入りっぱなしにならなければオタクでないと思います。
- 自分の恥ずかしい部分や目を背けている部分をさらされた気がして、痛い、と思いました。ただ、一般に「オタク」と呼ばれるようなアニメやマンガ・ゲームが好きな人達は社会が平和でなければ生まれないので、(ある意味)歓迎されるものだと思います。
- たいへんおもしろかったです。特に色んな人の話が聞けて・・・。
- 本の内容はどこへ?(笑) 元気な司会で良いと思います。元気なだけでなく意見の整理も上手だと思いました。
- 報告者の感想 色んな人の「コア」な話が聞けて良かったです。おたくはいい文化だと思いますが、他人を不快にさせるおたくにはなりたくないですね。自分をひけらかすということは恥ずかしかったですが、今は達成感でいっぱいです。楽しい演習をありがとうございました。
- 司会者の感想 テーマがテーマだったので、司会がでしゃばりすぎました。報告の出番を減らしてしまって申し訳なかったです。今日はお疲れ様でした。