今学期の3~4年生向け演習ではフランスの記号学者ロラン・バルトの写真論とアメリカの美術史家ジョナサン・クレーリーの視覚文化論を読んでいるのですが、毎回の発表担当者には、文献の要約に加えて、なにか一つ作品を選び、文献で学んだことに関連づけながら自由に分析してもらうことにしています。で、学生がこれまでに持ってきたものを羅列してみると以下の通り(抜けているものがあるかもしれませんが)。
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ドラクラワの『海老のある静物』
フェルメール『窓辺で手紙を読む少女』(2バージョン)
シャルダン『赤エイのある静物』
リサ・フィッティパルディ『バレリーナ』
Sigur Rós、MV
The Beatles, Lucy in the Sky (MV)
東京事変『閃光少女』(MV)
ターナー『影と闇:洪水の夕べ』
文献で扱われている作品を素直にもってきたものから、一見して「関係あるのか?」と首をかしげたくなる異分野のものまで、様々ですね(ちなみに、いかにも授業担当教員の趣味っぽいものが一つ含まれていますが、別に強要したわけではありません)。写真に詳しい人もいれば、音楽に詳しい人もおり、どちらもそれほどでもない人もいる、そういう環境で、事前の知識があろうがあるまいが、とにかくその場で作品を見て、考え、発言し、議論していくわけですから、素人の無謀な即興演奏のアンサンブルとでもいうべきスリルがあります。そんななかで、誰よりもあたふたと右往左往しているのは、ほかでもない私自身かもしれませんが、それでも、議論のなかで学生からきらりと光る言葉が聞けたりすると、快感です。もちろん、あまり盛り上がらずにがっかりするときもあるわけですが。
クレーリーも一段落して、後半は学生のガチの自由発表。いったいどうなってしまうことやら。