いただきもの。社会学思想史やコミュニケーション論を専門としている菅野仁さんの新著です。友だちとの関係について、考え込んだり悩んだりしている若い人に向けたメッセージになっています。
本書では、「人と人との「距離感覚」をみがいて、上手に〈つながり〉を築けるようになるための」さまざまな方法が、やさしく説得力をもって書かれています。それを知ることによって、無駄な緊張から解放されたり、友だちとの関係をこれまでよりも素敵なものとして味わうことができるようになるでしょう。
菅野さんは、ジンメルという社会学者の理論をずっと研究する一方で、教育学部で学生を教えてきました。そんな理論的志向と「現場」感覚の両面が結びつくことで、その辺にある凡百の「生き方本」とは異なった魅力ある内容になっていると思います。本書を読むと、これまでとは少し違う自分が発見できるかもしれません。
菅野仁著『友だち幻想―人と人の〈つながり〉を考える』(ちくまプリマー新書、2008年、720円)
目次
第1章 人は一人では生きられない?
第2章 幸せも苦しみも他者がもたらす
第3章 共同性の幻想―なぜ「友だち」のことで悩みは尽きないのか
第4章 「ルール関係」と「フィーリング共有関係」
第5章 熱心さゆえの教育幻想
第6章 家族との関係と、大人になること
第7章 「傷つきやすい私」と友だち幻想
第8章 言葉によって自分を作り変える