- 竹内薫,2006,『99・9%は仮説――思いこみで判断しないための考え方』,光文社新書
最終回です。
今回報告は、文体も内容もけっこう軽い対象書に比して、かなり量も多いし稠密な内容でした。反証主義の話から、いまはやりのニセ科学批判、さらには社会的な領域における相対主義と寛容主義の話へと、論点てんこもりでした。これにスジをつけるのはなかなか難しく、細い道をなんとか見つけ出さないといけません。打ち合わせ段階の議論ではぎりぎりつながりそうだったのですが、やはり文章にすると完璧にはいかないですね。経験からいうと、各節にあと2~3行あるかないかで、全体の見通しやすさが変わってくることがあります。あとは、自分の使う言葉に自分が最終責任を負う姿勢が大切です。
最後に総括した際に言い忘れましたが(いや言い忘れたことはたくさんあるんですがw)、学問的な研究発表というのは(そしてこれは学問に限らず)、何年生になっても、院生になっても、プロの学者になっても、基本的にこの演習と同じ形式で行われます。つまり次の段階はありません。演習を通して、報告者、司会者として気をつけるべきことはもちろんのこと、どんな質問が有益か、どんな読み方をすれば質問がしやすいか、文献を読まずに参加するとどうなるか、読んでなくてもいけるのはどの辺までか、少しわかったかと思いますが、そのわかり方は、先輩、院生、私のような下っ端教員、もっとちゃんとした教員、全国的(or世界的)に有名な大先生、と較べても、基本的に程度の差でしかありません(それは私を見てればわかるかと思いますがw)。要は、こういう機会を活かして経験を積み重ねていくしかないということです。
ということで、受講生の皆さんの大学生としての出発点によきオリエンテーションとなれたと、とりあえず自己満足して、今期の講義を締めくくりたいと思います。皆さんありがとうございました。
以下、出席者のコメント
- 哲学的な議論みたいになっていき、わからなくなったので途中から聞くだけになってしまった。どういう風になっても自分の意見をしっかり持たないといけないと思った。
- レジュメの内容が難しかったので本をしっかり読んでいない自分の不勉強さが不甲斐なかった。本を読んでなんとなく「?」と思う部分があったので今一度読みなおしてあやふやな部分をはっきりさせたい。この演習を受けてよかったと思います。先生ありがとうございました。
- ちょっと主張がころころ変わっていた気がしました。自分には難かしく、あまり発言できなくて済みませんでした。でもこの授業はとても楽しく刺激になりました!!
- 最後にふさわしく積極的な討論になったと思うのでよかった。この授業をとって本当に為になった。
- 発表者が関連する本などを読んで調べてあるのは良いことだと思いましたが、考えがまとまってない気がしました。でもつっこみどころがあった方が議論が発展するので良かったと思います。楽しい演習で良かったです。
- 難しい議論がたっぷりつまっていて、ついていくのが大変でした。自分の意見を言う時に、ごちゃごちゃになってしまってすみませんでした。寛容と相対の宗教における違いは・・・何だったのでしょうか・・・(汗)
- 今回のレジュメは内容が盛りだくさんで、盛りだくさんであるからこその問題点(疑問点)が多かったと思う。今日の演習は少し人数が欠けていましたが、できればもっと沢山の意見が聞きたかったです。(「議論に触れることが人を成長させる」そうなので!)
- なんだか難しかった・・・頭が回らなかったです。私は「絶対」はあまり信じていませんが、何か「絶対」的なものが見つかることを願ったりもします。最初はこの授業しんどくてしょうがありませんでしたが、終わると達成感でいっぱいですね!本当にいい経験ができました。みなさんありがとうございました。
- ちょっと質問したいところがあったのですが、質問しそびれてしまいました。自分と他人を区別するのは個性や外見ということですが、ほとんど同じ人間(クローンなど)の場合、どう区別するのでしょうか。何かしら区別する手段はあると思うのですが、うまくまとめられませんでした。そもそもクローンには後天的な記憶がないので、個性が一緒にならないのですが。
- 人の話をきき、議論していくことは大切だということが書いてある今回のレジュメは、議論をすることも目標であるこの人文総合演習の最後をかざるよい内容だったと思います。
- 報告者の感想 調査・考察不足が多くて、あまりいい議論にならなかった気が・・・。人の言っていることを理解できるようになる。話をズラさない。を目標に今後もがんばっていきたい。誤字脱字が多すぎた。想定外すぎた。
- 司会者の感想 司会者としての・・・というよりはおそらく教員としての介入が強すぎたですね。すみません。