- 若桑みどり,2003,『お姫様とジェンダー』,ちくま新書
報告は、女子が自分の外見を気にするのは、いつか現れるはずの王子様に見つけてもらえるため、という他力本願志向(シンデレラ・コンプレックス)の表れ、という著者の議論に対する直観的な違和感に基づき、自分の経験を反省しつつ、より複雑な分類を呈示してくれました。つまり、女性に限っても、外見を気にする相手にも様々あり、気にする外見にも様々あり、外見で気にする効果にも様々あり、とても著者がいうような単純な現象ではないのだということを示したわけです。さらに、香山リカの議論を引きつつ、シンデレラ・コンプレックスに限っても、男女問わず、また恋愛以外の領域(就職など)でも見られるということを示してくれました。
著者の議論に違和感を覚えた場合、著者が自分の直観に制約されて過剰に単純な議論にしてしまっている可能性があります。そういうときには、それに違和感を覚える自分の直観を反省して分析していき、著者の議論を一部に含むようなより一般的で複雑な議論を組み立てることが有効です。今回の報告はまさにその形式でしたね。構成も、分類がわかりやすくよくできていたと思います。
コメントに出てくる「ラピュタコンプレックス」というのは、「ある日、少女が空から降ってきた」を待つ男子のメンタリティについて、私が適当にでっち上げた言葉です。この現象自体についてはその方面でたぶんさんざん論じられて別の名前がついているのではないかと思います。
司会はがんばってる感が伝わってきてよかったですよ(笑)。ちょっと計画に縛られてる感じがしないでもなかったですが、でも展開を計画しておくことは大切です。
以下、出席者のコメント。
- 流れを読んですぐに頭の中で自分の考えがまとまるようにしたい。待ってないでどんどん発言するよう努力する。
- やっぱり途中で、最優先すべき議論からはなれてしまうものだなあ、と思いました。
- 今日の議論は非常におもしろかった。司会者がすごくがんばっていた! やはり司会は大変だなと思った。
- すごいたのしかったです。やっぱりアニメ・テレビの影響を受けてるなーと今回の話し合いで発見しました。
- 今日はなかなか有意義な授業だったと思います。対立は作られたし、話も盛り上がったので。
- 議論についていけてませんでした。次回は、ちゃんと議論についていきたいと思います。とても面白かったです。報告者・司会者の方、お疲れさまでした。
- 思ったことをすぐ口に出すべきではないと思った。流れを見る!! 新しい話題・新しいテーマに走るのではなく、人の発言に反応して、関連つけて発言する技術を磨きたいと思った。
- 議論をもっと具体的にすべきだと思った。途中わけがわからなくなってしまった。先が見えなくなってしまった。どういう風にすればうまくジェンダーに関する議論に持っていけるのかすごく知りたいです。
- 男と女はいろいろ違うのでジェンダーがあるのは不思議なことではないと思いますが、男だから、女だからという理由で規制されたりするときにだけ問題になるんじゃないかなと思います。
- 先生が言ってた「ラピュタ・コンプレックス」はあるかもなぁ・・・(あったかもなぁ・・・)と思いました。
- ラピュタコンプレックスでないにしろ何かしら影響は受けていると思います。個人的には主に周囲の反応を気にしていますが、その周囲の基準はラピュタコンプレックスによるものかもしれないと思うと・・・何だかわからないですね。
- 報告者の感想 「シンデレラ・コンプレックス」といい「ラピュタ・コンプレックス」といい、男・女共に『待っている』部分はあるのかもしれない・・・と思いました。今までと毛色のちがう議論で、皆さんもやり辛かったと思います。レジュメも不完全な感じで、くやしい感じが残ります。・・・すみませんでした。
- 司会者の感想 自分の思い通りに議論が難しくて、人の意見を自分の中でまとめるのも難しかったです。