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安塚調査

学内の「ソーシャル・キャピタル研究会」のメンバーで、上越市安塚区の「NPO雪のふるさと安塚」に聞き取り調査に行ってきました。全戸参加型NPOというたいへん珍しい形態をもつ組織(実際は旧安塚町の8割程度の世帯が加入)で、多くの意義と役割、そしていくつかの課題も抱えていると感じました。

豪雪地帯という厳しい自然条件、地理的条件のもとで過疎化・高齢化が進行してきた旧安塚町は、一方でそうした不利な条件を逆手にとった地域活性化の試みによって、全国的にその名を知られた存在でした。「雪国文化村構想」や「雪だるま財団」「雪だるま物産館」の設立など地域の人びとの知恵と工夫で注目を集めてきた安塚が、広域市町村合併を経てどのように変化していくのか。日本の中山間地の今後を考える上でも、たいへん示唆に富んだ事例だといえます。
「NPO雪のふるさと安塚」は、安塚町の経験を継承し、合併後の地域づくりを担うことを目的として設立されました。旧町時代からの多くのイベント・行事を引き継ぐとともに、高齢者を対象とした有償ボランティア(病院の送迎、家事援助、除雪)やケーブルテレビの番組制作などに取り組んでいます。また「地域で何かしたい」と考える人が相談に訪れ、種々のノウハウを提供してもらうプラットフォームの役割も担っているようです。
NPOという組織形態がそもそももっている理念と、全戸参加型(ぐるみ型)という枠組みとの間でどのようにバランスを取っていくかが課題のひとつだと思います。多くの会員の方がそれぞれなりの仕方で会の活動にかかわり、それを通じて参加の意味が再認識されていけば、地域の活性化に向けても大きな力となるでしょう。
宿泊先の「田舎屋」さんは、廃校になった小学校の校舎を改築して旅館にしたものです。40戸からなる山奥の沼木地区が運営を担っていて、食事には近所の農家でとれた米・野菜や山菜・きのこ、自家製の漬け物などがふんだんに使われています(とてもおいしかった!)。「越後田舎体験」プログラムでの宿泊も多く、地域の観光・交流拠点ともなっています。
山間地の集落に通じる急勾配の坂道や斜面に広がる棚田、潰れたまま取り残された廃屋などを目にして、冬場の生活の厳しさも(少しだけですが)感じ取ることができました。
調査にご協力いただいた安塚の皆さま、ありがとうございました。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

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