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2012年11月16日

●報告:愛媛大学法人文学部との学術交流講演会(2012)

去る11月12日(月)午後4時30分より新潟大学総合教育研究棟1階大会議室で人文学部と愛媛大学法文学部との交流協定に基づく学術講演会を開催いたしました。

講演者および演題

加藤好文先生「戦争記念碑が語り継ぐアメリカ-記憶の中のベトナム戦争」
コメンテーター:松本彰教授
藤田勝久先生「始皇帝と里耶秦簡-秦帝国の南方社会」
コメンテーター:關尾史郎教授

加藤先生はご講演を第二次世界大戦下での日系アメリカ人収容施設の記念碑から始められ、ベトナム戦争記念碑、さらには文学に描かれたベトナム戦争の記憶について論じられました。多国籍国家であるアメリカにとって記念碑が国民のアイデンティティを保証する重要な役割を果たしているなか、ベトナム戦争犠牲者に対する記念碑が唯一「大義なき戦い」の記念碑としてアメリカの記念碑の歴史のなかで苦渋に満ちた、「治癒の過程」を希求していることを記念碑とともにBobbie Ann Masonの長編小説"In Country" (1985)の中に探るという大変興味深いご講演でした。

藤田先生は、悪逆で有名な秦の始皇帝の時代を、里耶において発見された簡牘資料から再構成されるという野心的な試みを紹介されました。それにより秦の始皇帝の時代には今まで考えられていた以上に行政・情報システムが発達していたと同時に、その運用の性急さと厳格さが秦帝国の滅亡を早めた可能性を示唆されるスリリングなご講演でした。

コメンテーターの両先生の補足により加藤先生、藤田先生のご講演の理解がさらに深まりました。

来場者数も50名ほどにも登り活気にあふれた講演会となりました。加藤先生、藤田先生に感謝申し上げるとともに人文学部の松本先生、關尾先生、そして参加された方々に厚く御礼申し上げる次第です。

次回は来年度愛媛大学で学術講演会が開催される予定です。

(文責:S.K.)