魚野川で泳遊する子供たち。

新潟大学人文学部プロジェクト

地域映像アーカイブの創生に向けて

  • 2009年11月7日(土) 13:30 〜 南魚沼市民会館  TEL:025-777-3118
  • 2009年11月22(日) 14:00 〜 新潟市民映画館 シネ・ウインド  TEL:025-777-3118
  • 2009年11月23日(月祝) 13:00 〜 新潟市民映画館 シネ・ウインド  TEL:025-777-3118
  • 2009年12月19日(土) 13:30 〜 新潟県立生涯学習センター  TEL:025-284-6110
  • 参 加: 一般公開・無料
    (電話・FAX・Emailなどによる事前の申込みをお願いいたします)
  • プログラム・申込表ダウンロード→[PDF](5.55MB)

新潟の地には、押入れや蔵の中に大切に仕舞われている古い資料、とりわけ写真やフィルムが多く生き残っています。新潟大学は、このような地域の映像文化遺産の調査・発掘、保全・保管と閲覧を目的とした仕組みやルールづくりの拠点、すなわち「地域映像アーカイブ」の拠点を目指しています。

ところで、地域でつくられている映像を発掘し、デジタル化しアーカイブ化するという作業は、一見すると、過去の映像を大切に保存するだけのように考えられがちですが、必ずしもそれだけではありません。実は日常生活に散在しながら、隠れてしまっている映像を再発見することで、メディアが流す大量の映像によって作られてしまっている私たちの記憶をもう一度ふるいにかけ、自分たちの生活や文化を見直し、新たな感覚や気持ちや感情を地域のなかで再創造する試みなのです。

われわれが住む「新潟」という地域、文化の魅力を、使い古された今までのイメージからではなく、わたしたちの曾祖父や祖父から大事にしてきた約150年前の写真や、70年も80年も前の動く映像から見えてくる、当時の人びとの独特のしぐさや姿、習慣、生活を、今現在の立場から、もう一度考え直し、デジタル化して蓄積し再構成して、自分たちの伝えていく文化として、子どもやさらにその子どもたちへと手渡しいく作業なのです。また、この作業は同時に、デジタル化しネットワーク化することで、新潟という地域とその文化を、世界へと発信していく作業となるものなのです。

幸いなことに、今年2月7日、新潟市にある県民会館小ホールで、「地域映像の力——新潟からの情報発信とアーカイブ構築をめざして」と題しておこなった、展覧・上映イベントは、地域映像に関心をもつ専門家のみならず、多くの市民から参加を得て、盛況のうちに終わることができました。この「地域映像アーカイブ」の研究プロジェクトは、必ずしも地域の貴重な映像を集め保存するためだけのものではありません。地域の多くの方々や、多くの関連機関と連携し、関係する多くの機関が各々で自立してアーカイブを展開できるように、映像の保存とデジタル化、デジタルコンテンツの発信、および共有方法などについて支援し、お互いに助け合い、生き生きとした地域文化の蓄積と発信をできるようなシステムを構築するためのものなのです。

今年度の展覧・上映イベントは、六日町の映像文化遺産を守る会、「水と土の芸術祭」実行委員会、ならびに市民映画館シネ・ウインド、新潟県立生涯学習センター、新潟県立文書館、新潟市歴史文化課など多くの関連機関との協力のもと調査をおこない、未公開の六日町の映像コレクションの更なる紹介だけでなく、1930年代の新潟島の人びとの姿と町のようすを写す、新たに発見された斎藤家の映像や、栗林羊一氏の映像を中心にご紹介します。また、12月には新潟県の映像アーカイブの最初の試みであった視聴覚ライブラリーの作品とその歴史についてもご紹介したいと思っています。

是非とも、皆さまに今回の展覧・上映イベントにご参加いただき、こうした地域の映像文化遺産の価値を知っていただき、更なるご協力をお願いできればと思っています。

平 成 21年 9月
新潟大学 人文学部 原 田 健 一

地域映像アーカイブ題字

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