新潟大学人文学部
地域映像アーカイブプロジェクト
展示会 in パリ
新潟大学人文学部プロジェクト
新潟発・日本の発見 映像と記憶のアルケオロジー 1865~2011
2011年3月11日の東北関東大震災において、被災者が流された自宅に帰り、最初に探したものが自分たちの親や子どもなどの家族を写した写真であったことは、映像というメディアの社会的役割、意味を明らかにするものがあります。近代に入り、写真や映画、ビデオなどの映像が誕生して以来、映像は日々の生活のなかのコミュニケーションともなり、われわれの社会的記憶をも構成するものとなってきました。現在、写され残された膨大な映像は、われわれの生活や文化そのものの痕跡であり、心の底にあるものをも明らかにする、一つの文化遺産となり、自己のあるいは社会のアイデンティティの表徴そのものとなってきています。
2007年の新潟県中越沖地震の事態を踏まえ、2008年度より「地域映像アーカイブ」プロジェクトは、新潟という一つの地域を通して、人びとの生活の中に入り込んでいる映像を発掘し、保存、デジタル化をすることを通して、人びとの心のあり方、その生活と文化を再発見してきました。また、それだけでなく、デジタル化した映像を、社会にあるさまざまな教育・研究機関である小学校、中学校、高等学校、あるいは博物館、資料館、美術館、図書館などと連携し、教育的に利用できるようなシステムを構築することを目指し、さまざまな展覧上映イベントを行なってきています。
今回の展覧上映イベントでは、マス・メディア化した映像を、もう一度、地域という一つの眼から捉え直し、生活に根ざした自らのアイデンティティと文化そのものとして、構成し、展示上映します。新潟という一つの地域、事例を通した、新たに発見された日本の文化そのものの世界への発信であり、パリ日本館という場所を舞台にした、失われようとしている映像と日本の文化の現実の提示を試みるものであります。