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2009年3月 1日

自己紹介 【】

カント『純粋理性批判』第二版(Immanuel Kant, Kritik der reinen Vernunft, 2. Aufl., 1787)の題扉

城 戸 淳 (きど あつし)

専門は哲学・西洋近世哲学史です。イマヌエル・カントの哲学を中心にして、西洋近世の哲学とその歴史を研究しています。

カント研究については、『純粋理性批判』、とりわけその超越論的弁証論を読み解いて、カントの「批判哲学」を伝統的な形而上学や当時の哲学思想との対決のなかに位置づけることを研究課題としており、その成果は『理性の深淵──カント超越論的弁証論の研究』(知泉書館、2014年)として刊行されました。この研究は、今後は感性論や分析論へと戦線を移しつつ継続される予定です。

また、カントの倫理学に関しても、自分なりの問題関心からアプローチを試みている最中です。

哲学史的な研究としては、「デカルトからカントまで」を範囲として、17世紀の近世形而上学から、18世紀の啓蒙期の哲学をへて、19世紀初頭の「カントの時代」までのドラマを再構成することを目指しています。

哲学的なテーマとしては、自我や自己意識の問題、心の哲学、無限の思想史、自由と行為の問題、懐疑主義や観念論の本質、存在の根拠への問いなどに関心をもち、カントや近現代哲学史の研究を踏まえて思索を続けています。

おもな研究業績については以下の続きを参照してください。



単著

『理性の深淵──カント超越論的弁証論の研究』単著,知泉書館,2014年,xviii+292+44頁.

論文(共著書・共編著を含む)

「流れ去った無限と世界の起源 ── カントの第一アンチノミーについて」,東北大学哲学研究会編『思索』第31号,1998年,167~187頁.

「カントにおける「窃取」概念の変容 ── アンチノミー解決への形成過程」,日本哲学会編『哲学』第51号,2000年,210~219頁.

「カント的な自由主義と地球環境の倫理」,加藤尚武編『共生のリテラシー ── 環境の哲学と倫理』東北大学出版会,2001年,98~110頁.

「カントと無限の問題」,日本カント協会編『日本カント研究 2 カントと日本文化』理想社,2001年,83~100頁.

「現象と空間 ── カント超越論的感性論における窃取モデルの論理」,新潟大学人文学部『人文科学研究』第107輯,2001年,1~27頁.

「カントにおける自己意識の問題 ── 超越論的主観と統覚の総合的統一」,新潟大学人文学部『人文科学研究』第110輯,2002年,1~34頁.

「啓蒙時代における成年市民の概念 ── カント『啓蒙とはなにか』を読む」,共著『賢い大人になる50の方法』新潟大学現代社会文化研究科プロジェクト,2002年,83~98頁.

「情報化時代の読み書きのエチカ」,栗原隆編『知の地平 ── 大学におけるマルチリテラシーと応用倫理』東北大学出版会,2003年,27~45頁.

「カントの Cogito ergo sum 解釈 ── カントにおける自己意識の問題(2)」,新潟大学人文学部『人文科学研究』第116輯,2005年,23~47頁.

「〈科学〉と〈哲学〉」,栗原隆・濱口哲編『大学における共通知のありか』東北大学出版会,2005年,85~99頁.

共編著『哲学の問題群 ── もういちど考えてみること』麻生博之・城戸淳編,ナカニシヤ出版,2006年,このうち「人間とその生」(4~25頁),「自由と行為」(81~117頁),その他を執筆担当.

「誤謬推理論における理性批判と自己意識」,カント研究会/檜垣良成・御子柴善之編『現代カント研究 10 理性への問い』晃洋書房,2007年,32~53頁.

「カントの崇高論 ── 芸術終焉論の手前で/の後で」,栗原隆編『芸術の始まる時、尽きる時』東北大学出版会,2007年,373~399頁.

「カントの空間論・序説 ── 身体・開闢・感情」,栗原隆編『形と空間のなかの私』東北大学出版会,2008年,55~78頁.

「理性と普遍性 ── カントにおける道徳の根拠をめぐって」,『岩波講座 哲学 06 モラル/行為の哲学』(熊野純彦編),岩波書店,2008年,57~75頁.

「哲学 ── 観念論とはなんだったのか?」,栗原隆編『人文学の生まれるところ』東北大学出版会,2009年,31~49頁.

「神の現存在の宇宙論的証明に対するカントの批判について」,新潟大学人文学部『人文科学研究』第125輯、2009年,1~31頁.

「弁神論における幸福のエコノミー ── ライプニッツのオプティミズムからカントの最高善へ」,『エコノミー概念の倫理思想史的研究 研究成果報告書・補足論集』,2010年,44~56頁.

「カントにおける幸福のパラドクス ── 幸福主義批判と最高善とのあいだ」,日本カント協会『日本カント研究 11 カントと幸福論』理想社,2010年,7~23頁.

「想像力と共通感覚──カント哲学のコンテクスト」,栗原隆編『共感と感応──人間学の新たな地平』東北大学出版会,2011年,59~75頁.

「カント『純粋理性批判』I」,熊野純彦編『近代哲学の名著──デカルトからマルクスまでの24冊』中央公論新社,2011年,58~67頁.

「学問と理性──啓蒙主義からカントへ」,日本ヘーゲル学会編『ヘーゲル哲学研究』第17号,2011年,91~101頁.

「人間的自由の宇宙論的本質について──カントの第三アンチノミーにおける自由の問題」,新潟大学人文学部『人文科学研究』第130輯,2012年,1~32頁.

「回帰する問い──哲学の使命とその現在」,愛媛大学法文学部/新潟大学人文学部編『人文学の現在』創風社出版,2012年,10~29頁.

「カントと人格同一性の問題──第三誤謬推理のコンテクスト」,東北大学哲学研究会編『思索』第45号,2012年,367~388頁.

「現象の形式へ──カントの感性論の第二論証を読む」,栗原隆編『感情と表象の生まれるところ』ナカニシヤ出版,2013年,91~107頁.

「カントと心身問題」,栗原隆編『感性学──触れ合う心・感じる身体』東北大学出版会,2014年,151~169頁.

翻訳

イマヌエル・カント「哲学的エンチュクロペディー講義」,新潟大学大学院現代社会文化研究科共同研究プロジェクト「世界の視点をめぐる思想史的研究」研究報告書『世界の視点 ── 変革期の思想』2004年,1~65頁.

ピーター・バーク『知識の社会史 ── 知と情報はいかにして商品化したか』共訳,井山弘幸・城戸淳訳,新曜社,2004年,総408頁.

イマヌエル・カント「デュースブルク遺稿(一七七三~七五年)R 4674-4684(上)」『世界の視点 知のトポス』第1号,2006年,1~22頁.

イマヌエル・カント「デュースブルク遺稿(一七七三~七五年)R 4674-4684(下)」『世界の視点 知のトポス』第2号,2007年,3~24頁.

「ゲッティンゲン書評(ガルヴェ/フェーダーによるカント『純粋理性批判』の書評)」『世界の視点 知のトポス』第3号,2008年,1~14頁.

「イマヌエル・カント 観念論をめぐって ── 一七八〇年代の遺稿から(R 5642, 5653-5655)」『世界の視点 知のトポス』第6号,2010年,1~22頁.

「ピストリウス「シュルツェ著『カント『純粋理性批判』解説』書評」(上)」,新潟大学大学院現代社会文化研究科『世界の視点 知のトポス』第7号,2012年,1~28頁.

「ピストリウス「シュルツェ著『カント『純粋理性批判』解説』書評」(下)」,新潟大学大学院現代社会文化研究科『世界の視点 知のトポス』第9号,2014年,1~32頁.

書評・解説・その他

「できることとすべきこと」,『『先端医療の倫理(仮題)』作成の試み』(新潟大学プロジェクト研究成果報告書),2002年3月,54~62頁.

「地球的なヒューマン・エコロジー──目的論と美的判断へ」,『人間会議』2003年冬号,212~215頁.

「山根雄一郎著『〈根源的獲得〉の哲学──カント批判哲学への新視角』」(書評),日本カント協会編『日本カント研究7 ドイツ哲学の意義と展望』理想社,2006年9月,169~172頁.

「形而上学」,「形相/質料」,「啓蒙(啓蒙思想)」,「実存主義」,デジタル版イミダス(imidas)2012,集英社,2012年2月

(2014年4月10日改訂)