« 夏季公開研究会「空間と形に感応する身体」 | メイン | 人間学講座回想録(2) »

2009年9月 1日

人間学講座回想録(1) 【】

1984年5月に赴任した当時は、私を呼んでくれた渡辺正雄先生(科学思想史・故人)、講座主任の大野木哲先生(哲学史・故人)、猫好きでカネボウのオーデコロンのきつかった児嶋洋先生(現象学・故人)、若いころの宮沢賢治に風貌の似た深沢助雄先生(古代中世哲学)、話すときに「いや、まー」と言い出すことが多く、私のことを呼んでいるのかと誤解することの多かった佐藤徹郎先生(英米哲学、一昨年退官)、すぐにシャーロッキアンであることが判明した山崎幸雄先生(言語学)と私(助手)の七人が人間学講座を構成していた。学生は一学年に4人前後で、まだ存続していた専攻科の学生が資料室に夜遅くまで屯していた。初めてのコンパはよし半でおこなわれ、昭和30~40年代のフォークソングをやたらと唄っていた。終電で帰る学生がいないため、深更まで宴会は続き、その間、佐藤先生と山崎先生は必ず一度は熟睡した。助手の仕事は4年続いたが、思い出してみると仕事らしい仕事をしたことはなかった。一応図書の管理が主たる仕事だったが、人間学の先生方は他人に任せることに慣れていなかったらしく、自分のことは自分でされていた。したがって4年間まったく干渉されずに自由な時間を過ごすことができたわけだ。この年に富士通のオアシス(ワープロ専用機)が初めて講座に装備され、朝日出版の科学の名著シリーズの仕事は、覚えたての親指シフト方式でその原稿を仕上げた。(続く)