« 『知のトポス』第7号刊行 | メイン | 卒業論文 構想発表会 »

2012年5月12日

【新刊】『世界の感覚と生の気分』 【お知らせ】

4779506263   栗原 隆 編
  『世界の感覚と生の気分』
  
  ナカニシヤ出版
  A5判・310頁
  税込定価 3990円
  ISBN978-4-7795-0626-0
  2012年3月28日発行
  出版社紹介ページ

 【本書の紹介文】
 われわれが合理的な知を奉じる中で看過してきた
 共感・気分・雰囲気など、「感性的なもの」による世界の捉え直しを、
 哲学・美学・心理学という多方面から探究。
 世界の豊かさや生の実感の回復を目指す哲学的人間学。

私たちの人間学講座からは、編者の栗原隆先生をはじめ、宮﨑裕助が執筆陣に加わり、前スタッフの山内志朗先生のほか、新潟大学人文学部では、細田あや子先生、福島治先生、白井述先生が寄稿されています。以下は「目次」です。


 まえがき

 I 醸し出される趣き

 第一章 情念論小史──心身問題を中心にして......加藤尚武
  1 はじめに
  2 魂は物体よりも先にあった──プラトン
  3 「パトス=情熱」以前
  4 知の永遠の起動因
  5 アリストテレスからデカルトへ
  6 理性は能動的(自発的)で自律の原理、感性は受動的で他律の原理
  7 観測と理解
  8 デイヴィドソンの非法則的一元論

 第二章 情趣と味わい......山内志朗
  1 はじめに
  2 味覚と趣味
  3 味覚の空間性
  4 人間的空間の構成と味覚

 第三章 気分と兆候──モンテーニュにおける「無為」をめぐって......大西克智
  1 はじめに
  2 「無為であること」と《闘うこと》
  3 「判断」の方へ──「隠し部屋」において「首座」を占めるもの
  4 兆候を捉まえる、あるいは「自由に漂う注意力」

 II つながる思い

 第四章 共通知としての「良心」──その始まりと神の問題......座小田豊
  1 はじめに
  2 人間と神の同一性と差異
  3 「懐疑」と「良心」──「始まり」を求めて
  4 おわりに──「良心」は「共感」の「始まり」である

 第五章 描かれた中国磁器──静物画に見るオランダという表象......尾崎彰宏
  1 はじめに
  2 歪められた東洋
  3 東洋の徴
  4 カルフのなかの東洋

 第六章 ヨーロッパ風景画の雰囲気と文化風土......伊坂青司
  1 はじめに──風景画と雰囲気
  2 ヨーロッパ風景画の系譜と変容
  3 シェリングの風景画論
  4 ドイツ・ロマン主義の風景画

 III 生の気分

 第七章 世代と気分──ヘーゲルの哲学的人間学における世代論を手がかりに......栗原隆
  1 はじめに
  2 レンブラントに見る生の気分
  3 青年は荒野をめざす
  4 感覚のなかにすべてがある
  5 結語に代えて──感応の脈路

 第八章 生の諸相......細田あや子
  1 はじめに
  2 人生をいくつかの時期に分ける
  3 「人生の諸時期」の図像
  4 「人生の階段」図
  5 ブルターニュ地方の「続き絵」──心の成長
  6 おわりに

 第九章 「気分」から探る乳児の世界......白井述
  1 はじめに
  2 目は口ほどにものを言う
  3 乳児の「気分」を操作する
  4 結びに

 IV 世界の感覚

 第十章 酒宴の表象──ゼーバルト・ベーハム『ケルミス大版画』の分析......元木幸一
  1 大酒呑みのゲルマン人
  2 『ケルミス大版画』の酒場光景
  3 同時代版画の飲酒イメージ
  4 ニュルンベルクの飲酒習慣と批判
  5 おわりに

 第十一章 自己と他者の曖昧な境界......福島治
  1 認知される自己と他者
  2 動機づけられた自己の拡張
  3 不明瞭な自己の特権的情報

 第十二章 美的情動のアンビヴァレンス──カント、シラー、美学イデオロギー批判......宮﨑裕助
  1 なぜ「情感的なもの」が問題なのか
  2 美的国家論の成立
  3 美学イデオロギーの問い
  4 結語──不可能な情動の政治にむけて

 第十三章 自然の心──アニミズムは環境危機から世界を救うか......佐藤透
  1 問題の所在
  2 アニミズム(原義)復権の可能性
  3 一心論と行為
  4 結び──心論の意義

 あとがき