« 卒業論文構想発表会お疲れさまでした | メイン | 人間学の縁日 »

2016年6月30日

誰でもあって誰でもない主体──ハイデガー『存在と時間』におけるダス・マン(ひと、世人)再読 【お知らせ】

FotorCreated.jpg

第21回 新潟哲学思想セミナー(NiiPhiS)

誰でもあって誰でもない主体 
ハイデガー『存在と時間』における
ダス・マン(ひと、世人)再読


講師 池田 喬(明治大学文学部准教授) 


日時 2016年7月22日(金) 18:15~19:45
場所 新潟大学 五十嵐キャンパス
   総合教育研究棟 D-301(旧地域国際交流促進室)

 ハイデガーの『存在と時間』には、誰でもあって誰でもない得体の知れないダス・マンが日常性の主人だという印象的な議論がある。講演者の理解では、この議論は、「規範と責任」という道徳の根本現象は「順応と逸脱」という非道徳的(a-moral)で自然な現象に基づくのであり、その限り道徳はそれ自体では基礎付けられない、という挑発的主張を含む。この主張は、ただし、道徳に対する懐疑論とも無縁であり、むしろ、私たちの道徳生活に現実的なイメージを与える、規範や責任の自然な概念(natural concept)の獲得に貢献する。このことを、アイヒマン事例とヘンリー・ソローの森の生活を手がかりに示したい。


41YDNJ6fBeL._SX368_BO1,204,203,200_.jpg 第21回の新潟哲学思想セミナーは、講師に池田喬氏をお迎えします。池田氏は現象学を専門に研究されており、『存在と時間』をはじめとするハイデガーの哲学を、現代行為論や倫理学、障害当事者研究など実践的・応用的な観点から論じています。今回のセミナーでは、ハイデガー『存在と時間』に出てくる〈誰でもあって誰でもない主体〉について池田氏にご講演いただき、人間の存在と道徳性についてあらためて問い直し、参加者も交えて議論を深めていきたいと思います。多くのみなさまのご来場をお待ちしております。

 

   

◎ 講師プロフィール:池田喬(いけだ・たかし)1977年生まれ。明治大学文学部准教授。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。博士(文学)。専門は、ハイデガーを中心とする現象学派の哲学。英語圏の現代行為論・倫理学と現象学の関係、日本の障害当事者研究と現象学の関係についても考察している。著書に『ハイデガー 存在と行為』(単著、創文社、2011年)、『当事者研究の研究』(共著、医学書院、2013年)、『始まりのハイデガー』(共編著、晃洋書房、2015年)他。


◎ 新潟哲学思想セミナー(Niigata Philosophy Seminar:通称 NiiPhiS[ニーフィス])とは 
2009年に新潟大学を中心に立ちあがった公開セミナーです。新潟における知の交流の場となるよう、毎回、精力的にご活躍の講師をお招きして、哲学・思想にまつわる諸問題に積極的に取り組んでいきます。参加費、予約等は不要です。どなたでもご自由にご参加ください。

主催:新潟哲学思想セミナー(世話人=古田徹也・宮﨑裕助)
共催:科学研究費補助金「人間の「脆さ」に着目した状況依存的かつ相互依存的な行為者概念の学際的研究」/新潟大学人文学部哲学・人間学研究会

お問い合せは古田まで
 mail2image.png

→ポスターはこちら