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2014年4月 2日

『理性の深淵──カント超越論的弁証論の研究』 【お知らせ】

『理性の深淵』このたび城戸淳著『理性の深淵──カント超越論的弁証論の研究』(知泉書館、2014年)が新潟大学人文学部研究叢書10として刊行されました(ISBN 978-4-86285-181-9、xviii+292+44頁、6000円+税)。長年にわたるカント『純粋理性批判』の超越論的弁証論にかかわる研究を同題の博士論文(東北大学、2013年)として集成したのに続き、これに若干の補訂を加えて叢書の一冊に加えていただきました。以下に細目次を紹介します。

『理性の深淵──カント超越論的弁証論の研究』目次

凡例
 略号表

序 論
  1 超越論的弁証論における理性の深淵
  2 方法と課題

第一章 「取り違え」概念の展開──発展史の一断面
  1 取り違えの形而上学的誤謬──『就職論文』
  2 取り違えの二つの型と新たな還元──一七七〇年代
  3 感性論における取り違えモデルの展開
  4 観念論と空間──第四誤謬推理
  5 弁証論における超越論的取り違え
  6 超越論的観念論のゆくえ

第二章 超越論的弁証論と理性──沈黙の十年間
  1 対立と懐疑──一七七二年ヘルツ宛書簡とその周辺
  2 超越論的演繹と統覚──デュースブルク遺稿とその周辺
  3 規則対立から理性推理へ──超越論的弁証論の形成
  4 「理性」概念の成立
  5 「原理の能力」としての理性
  おわりに──『純粋理性批判』へ

第三章 理性批判と自己意識──誤謬推理論の改稿をめぐって
  1 「私は考える」と統覚──第一版の誤謬推理論(1)
  2 カテゴリーの超越論的対象──第一版の誤謬推理論(2)
  3 論理的機能における自己意識──第二版の誤謬推理論(1)
  4 自己意識の総合モデル──第二版の演繹論
  5 統制的理念としての私──第二版の誤謬推理論(2)

第四章 人格と時間──第三誤謬推理のコンテクスト
  1 第三誤謬推理
  2 合理的心理学の「人格」概念
  3 疑似記憶と時間の超越論的実在性
  4 ロックとカント──超越論的な思考の系譜
  おわりに──私の魂の両極的な本性について

第五章 カントのCogito ergo sum解釈
  1 超越論的主観の現実性──第一版の誤謬推理論まで
  2 叡知者と現象──演繹論の二分法
  3 「ある現存在の感情」──『プロレゴメナ』
  4 経験的命題としての「私は考える」──第二版の誤謬推理論(1)
  5 「未規定的な経験的直観」──第二版の誤謬推理論(2)
  おわりに 108

第六章 流れさった無限と世界の起源──第一アンチノミー
  1 無限のヤヌス的な本性──定立の証明
  2 流れさった無限──証明の問題史(1)
  3 永遠から──証明の問題史(2)
  4 空虚な時間──反定立の証明
  5 起源への問い
  6 批判的解決──超越論的観念論へ

第七章 無限と崇高
  1 形而上学的無限と数学的無限
  2 無限性の超越論的概念
  3 与えられた無限量としての空間・時間
  4 崇高──『判断力批判』の無限論
  5 無際限への遡源

第八章 人間的自由の宇宙論的本質について──第三アンチノミー
  1 定立・反定立の証明と註解
  2 二性格説による解決とその問題点
  3 第三アンチノミー解決の宇宙論的=神学的な背景
  4 性格を選択する叡知的な行ない
  5 パースペクティヴの実践的転回
  6 宇宙論的自由と超越論的観念論
  おわりに

第九章 存在の深淵へ──神の現存在の宇宙論的証明
  1 人間理性の自然な歩み
  2 宇宙論的証明
  3 弁証論的理性の転回
  4 宇宙論から存在論へ
  5 超越論的実在論──汎通的規定としての実存在
  6 存在論的ユートピアの解体──必然性をめぐって
  おわりに──「人間理性にとっての真の深淵」

結 語
  1 超越論的弁証論の位置と意義
  2 理性批判と超越論的観念論

あとがき
 註
 索引