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宗教思想史 アーカイブ


2010年4月 5日

第4回新潟哲学思想セミナーが開催されました  【イベントの記録】

4th.NiiPhiS

第4回の NiiPhiS は、昨年12月に新潟大学に着任された青柳かおる先生を講師にお招きし、二十数名の参加者を得て、イスラームの婚姻論というテーマで開催されました。

青柳かおる氏.JPG

今回のセミナーでは、ガザーリー(イスラーム思想史上最大の思想家の一人)、イブン・アラビー(ガザーリー以降のスーフィズムを代表する思想家)、カラダーウィー(現在、アラブ諸国だけでなく世界中のムスリムに大きな影響を持っている法学者)という3人のイスラム思想家の婚姻論に焦点があてられました。

スーフィズムからみたガザーリーの婚姻論と思想的背景にある存在論との結びつきについてお話があった後、ガザーリーとイブン・アラビーの比較(スーフィズムの思想における比較)、ガザーリーとカラダーウィーの比較(古典時代と現代の比較)が行われ、イスラム思想史の発展と多様性について学ぶことができました。

(文責・新潟大学大学院現代社会文化研究科博士課程 浦上麻衣子)

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2010年4月 1日

イスラームの婚姻論──ガザーリー、イブン・アラビー、カラダーウィー  【お知らせ】

青柳かおる訳注・解説『現代に生きるイスラームの婚姻論』 第4回 新潟哲学思想セミナー [NiiPhiS]

イスラームの婚姻論
──ガザーリー、イブン・アラビー、カラダーウィー


講師 青 柳 か お る (新潟大学准教授)

日時 2010年4月1日(木) 17:00~18:45
場所 新潟大学 人文社会学系棟 第一会議室 (B棟2階)

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2009年12月16日

自己紹介  【青柳 かおる】

青柳かおる (あおやぎ かおる)
専門はイスラーム思想史です。約900年前の思想家ガザーリー(1111年没)を中心に、アラビア語の一次資料を読みながら、古典時代のイスラーム神学・哲学・神秘主義(スーフィズム)の思想史を研究しています。ガザーリーは、最も重要な古典イスラーム思想家の一人であり、現代のイスラーム教徒にも大きな影響を与えています。
ガザーリーの主著『宗教諸学の再興』の中の「婚姻作法の書」を翻訳し、マッキー(998年没)、イブン・アラビー(1241年没)といったガザーリー前後の思想家の婚姻、女性、性に関する議論と比較しています。最近は、以上の古典研究を踏まえて、現代のイスラーム法学者のカラダーウィーの著書とも比較しています。ガザーリーの思想、とくにセクシュアリティー(性行為、生殖、婚姻、女性、ジェンダー、性愛観、生命倫理などのさまざまな性に関する問題)の議論を分析し、現代のムスリムによる性の議論、性に対する考え方と比較することにより、古典思想の現代における影響、意義を考察しています。
さらに、古典時代と現代が結び付くテーマとして、生命倫理の問題を研究しています。古今のスーフィズム文献、医学書、コーラン注釈書、法学文献、ファトワー集などの幅広い文献を渉猟し、古典時代から現代までのイスラームの生命倫理の変遷を文献学的に明らかにしたいと考えています。
おもな研究業績については以下の続きを参照してください。

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2009年3月 1日

宗教思想史とは  【宗教思想史】

宗教思想史を学ぶことは,特定の宗教を「信じる」ため,あるいは「より深く信じる」ためではなく,なぜ人は宗教を求め,神や仏,運命や宿命を信じるのか,その要因を探ることです。そのために,宗教の構造や型を探りながら,帰依している人の生き方や死に方に宗教がどのような影響を与えているかを学ぶのです。具体的な学習内容は,宗教思想を成り立たせている宗教文書を読むことに始まります。ただし,テキストを読むことでは終わりません。宗教思想を学ぶことは,自分がどのような価値観で生きているのか,何を目的としてどこに向かって生きるのか,そうした疑問を持つことによって支えられているように思うのです。なお,人間学履修コースでは,中国の宗教,儒教,道教,仏教を学ぶことを通して,中国思想史を研究することもできます。