第4回の NiiPhiS は、昨年12月に新潟大学に着任された青柳かおる先生を講師にお招きし、二十数名の参加者を得て、イスラームの婚姻論というテーマで開催されました。
今回のセミナーでは、ガザーリー(イスラーム思想史上最大の思想家の一人)、イブン・アラビー(ガザーリー以降のスーフィズムを代表する思想家)、カラダーウィー(現在、アラブ諸国だけでなく世界中のムスリムに大きな影響を持っている法学者)という3人のイスラム思想家の婚姻論に焦点があてられました。
スーフィズムからみたガザーリーの婚姻論と思想的背景にある存在論との結びつきについてお話があった後、ガザーリーとイブン・アラビーの比較(スーフィズムの思想における比較)、ガザーリーとカラダーウィーの比較(古典時代と現代の比較)が行われ、イスラム思想史の発展と多様性について学ぶことができました。
(文責・新潟大学大学院現代社会文化研究科博士課程 浦上麻衣子)
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第4回 新潟哲学思想セミナー [NiiPhiS]
イスラームの婚姻論
──ガザーリー、イブン・アラビー、カラダーウィー
講師
青 柳 か お る (新潟大学准教授)
日時 2010年4月1日(木) 17:00~18:45
場所 新潟大学 人文社会学系棟 第一会議室 (B棟2階)
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宗教思想史を学ぶことは,特定の宗教を「信じる」ため,あるいは「より深く信じる」ためではなく,なぜ人は宗教を求め,神や仏,運命や宿命を信じるのか,その要因を探ることです。そのために,宗教の構造や型を探りながら,帰依している人の生き方や死に方に宗教がどのような影響を与えているかを学ぶのです。具体的な学習内容は,宗教思想を成り立たせている宗教文書を読むことに始まります。ただし,テキストを読むことでは終わりません。宗教思想を学ぶことは,自分がどのような価値観で生きているのか,何を目的としてどこに向かって生きるのか,そうした疑問を持つことによって支えられているように思うのです。なお,人間学履修コースでは,中国の宗教,儒教,道教,仏教を学ぶことを通して,中国思想史を研究することもできます。