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NiiPhiS アーカイブ


2010年4月 5日

第4回新潟哲学思想セミナーが開催されました  【イベントの記録】

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第4回の NiiPhiS は、昨年12月に新潟大学に着任された青柳かおる先生を講師にお招きし、二十数名の参加者を得て、イスラームの婚姻論というテーマで開催されました。

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今回のセミナーでは、ガザーリー(イスラーム思想史上最大の思想家の一人)、イブン・アラビー(ガザーリー以降のスーフィズムを代表する思想家)、カラダーウィー(現在、アラブ諸国だけでなく世界中のムスリムに大きな影響を持っている法学者)という3人のイスラム思想家の婚姻論に焦点があてられました。

スーフィズムからみたガザーリーの婚姻論と思想的背景にある存在論との結びつきについてお話があった後、ガザーリーとイブン・アラビーの比較(スーフィズムの思想における比較)、ガザーリーとカラダーウィーの比較(古典時代と現代の比較)が行われ、イスラム思想史の発展と多様性について学ぶことができました。

(文責・新潟大学大学院現代社会文化研究科博士課程 浦上麻衣子)

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2010年4月 1日

イスラームの婚姻論──ガザーリー、イブン・アラビー、カラダーウィー  【お知らせ】

青柳かおる訳注・解説『現代に生きるイスラームの婚姻論』 第4回 新潟哲学思想セミナー [NiiPhiS]

イスラームの婚姻論
──ガザーリー、イブン・アラビー、カラダーウィー


講師 青 柳 か お る (新潟大学准教授)

日時 2010年4月1日(木) 17:00~18:45
場所 新潟大学 人文社会学系棟 第一会議室 (B棟2階)

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2009年12月12日

第3回新潟哲学思想セミナーが開催されました。  【イベントの記録】

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 11月27日は、講師に竹峰義和さんをお招きして、第3回新潟哲学思想セミナー「ハリウッドの精神からの全体主義の誕生 アドルノ『文化産業』論をめぐって」が開催されました。新潟大学の学生と教員を中心として、20名以上が参加いたしました。


 竹峰さんは、アドルノ研究者として一昨年著書を公刊されましたが、今回は、そのアドルノの「文化産業」論についてです。お話は、まず、アドルノの主著であり、有名な『啓蒙弁証法』で述べられているアドルノの「文化産業」論の入門的な紹介でした。竹峰さんによると、アドルノは、自然を人間に合わせた形で理解するという神話はすでに啓蒙である一方で、啓蒙は神話に退化するのであって、その退化の帰結のひとつがファシズムであると考えた。そして、アドルノは「文化産業」がファシズムと同じシステムをもっていることを問題にします。そのためアドルノは、「文化産業」が担っている大衆文化である映画などを批判することになったということです。竹峰さんのお話は、非常にわかりやすく、アドルノについてほとんど知らなかった私にも、アドルノの「文化産業」論の概略をつかむことができました。

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 竹峰さんは、こうした入門的なお話の上で、アドルノが単に大衆文化を批判しただけではなくて、実際に大衆文化によく接していたという事実や、大衆文化がただ単にファシズムと親和的であるだけでなくファシズムへの抵抗の契機になることができると考えてもいたという点についても話されました。私は、アドルノといえば大衆文化をこき下ろし、いわゆる高級芸術を擁護した人だというありがちなイメージをもっていたので、今回のお話は非常に興味深いものでした。また、アドルノの「文化産業」論は、あえて誇張として描かれたものではないかという指摘もなされました。
(文責=新潟大学現代社会文化研究科修士課程: 赤塚建太)

2009年11月27日

ハリウッドの精神からの全体主義の誕生──アドルノ「文化産業」論をめぐって  【お知らせ】

adorno006.jpg 第3回 新潟哲学思想セミナー〔NiiPhiS〕

ハリウッドの精神からの全体主義の誕生
──アドルノ「文化産業」論をめぐって

講師: 竹峰 義和(日本大学法学部)

日時:2009年11月27日(金)18:15~20:00
場所:新潟大学 五十嵐キャンパス
   人文社会科学系棟 F - 161

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2009年7月23日

第2回新潟哲学思想セミナーが開催されました。  【イベントの記録】

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21日は、講師に熊野純彦さんをお招きして、第2回新潟哲学思想セミナー「回帰するパラドクス──第二アンチノミー証明・考」が開催されました。新潟大学の学生を中心に、20名以上の参加者によるセミナーとなりました。

 今回の熊野さんのお話は、カント『純粋理性批判』の「超越論的弁証論」のなかで、これまで比較的顧みられてこなかった第二アンチノミーの議論に光を当てるものでした。
IMG_04542.jpg  第二アンチノミーは、世界には単純なものと合成されたものが存在するか否かをめぐるものですが、熊野さんは、このアンチノミーに至るカントの複雑な議論を明快に整理した後、一見、難解で専門的なこのアンチノミー論の背後には、古代ギリシア以来の「一なるもの」と「多なるもの」についての伝統的な問いに対するカントなりの対決がある点を指摘され、それが、エレア学派の無限分割のパラドックスやライプニッツのモナドロジーへの新たな取り組みへと通じているというとても興味深いお話でした。
 セミナー自体は、たんなる講義調ではなく、熊野さんが、カントの難解なドイツ語を丁寧に解きほぐすという演習スタイルで行われ、参加者の皆さんは、臨場感に満ちた哲学の「現場」を十二分に味わうことができたのではないかと思います。
 参加された皆さん、そして熊野さん、どうもありがとうございました。

2009年7月21日

回帰するパラドクス──第二アンチノミー証明・考  【お知らせ】

『カント──世界の限界を経験することは可能か』 第2回 新潟哲学思想セミナー〔NiiPhiS〕

回帰するパラドクス
 ──第二アンチノミー証明・考

講師: 熊野 純彦(東京大学教授)

日時:2009年7月21日(火) 18:00~19:30
場所:新潟大学 人文社会学系棟
   第一会議室(B-221)

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2009年6月27日

第1回新潟哲学思想セミナーが開催されました  【イベントの記録】

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昨日は、講師に早尾貴紀さんをお招きして、第1回新潟哲学思想セミナー「ディアスポラの思想は「国民国家」に何を提起するのか」が開催され、20名ちかい参加者によるセミナーとなりました。

早尾貴紀氏

早尾さんは、昨年刊行された『ユダヤとイスラエルのあいだ』の議論を踏まえて、アーレント、ブーバー、サイード、ボヤーリン兄弟などの思想を紹介しつつ、さらに、新たなディアスポラ主義をめぐるご自身の精力的なお仕事の一端をお話しされました。
【→『ディアスポラから世界を読む──離散を架橋するために』刊行記念シンポジウム

大学院生やフロアの方々からは、国家の成立、大学の課題、ユダヤと「女性」性、パレスチナ・イスラエル問題の特殊性と普遍性、ディアスポラ思想の可能性などなど、多岐にわたる質問が出て、活発な討論が行なわれ、刺激的な時間を共有することができました。


新潟哲学思想セミナーは、今後とも、多彩な講師をお招きし、知の交流の場として発展させていきたいと考えています。ご支援のほど、よろしくお願い申しあげます。

2009年6月26日

ディアスポラの思想は「国民国家」に何を提起するのか  【お知らせ】

sc0009bba3_1.jpg 第1回 新潟哲学思想セミナー

ディアスポラの思想は
「国民国家」に何を提起するのか


講師:早尾貴紀 (東京大学UTCP研究員)

日時:2009年6月26日(金)18:15─20:00
場所:新潟大学人文社会学系棟
   第一会議室(B-221)

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