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2013年6月15日

ヴェルマーにおける参加者の視点  【NiiPhiS】

N14 第14回 新潟哲学思想セミナー(NiiPhiS)

著書書影 ヴェルマーにおける参加者の視点

講師 松本 大理(山形大学講師)

日時 2013年6月15日(土) 15:00~17:30
場所 新潟大学 五十嵐キャンパス
   人文社会科学系棟 第1会議室 (B棟2階)

アーペルやフランクフルト学派の第2世代のハーバーマスは、コミュニケーションの遂行論的な合理性のうえに道徳的規範を根拠づけるという討議倫理学の構想によって、現代思想に転回点をもたらし、広範な影響を与えた。フランクフルト学派の第2.5世代ともいえるアルブレヒト・ヴェルマー(Albrecht Wellmer)は、カントにまでさかのぼりつつ、討議倫理学をさらに可謬主義的な観点から批判することで、新たな可能性を模索している。──

第14回の新潟哲学思想セミナーは講師に、一昨年カントと超越論的遂行論における道徳の基礎づけについて単著を刊行された松本大理氏をお迎えします。討議倫理学への入門を経て、ヴェルマーにおける討議の「参加者の視点」の考察に焦点をあわせて、現在的な思考の最前線に挑戦するセミナーになります。多くのみなさまのご参加をお待ちしております。


◎ 講師プロフィール
松本大理(まつもと・だいり) 北海道大学文学研究科修士課程修了、ケルン大学哲学博士(2011年)。現在、山形大学地域教育文化学部講師。専門は哲学・倫理学。単著に Moralbegründung zwischen Kant und Transzendentalpragmatik. Von der transzendentalen Begründung zur Faktizität des Moralischen (Tectum Verlag, 2011)、共訳書にヴェルマー『倫理学と対話──道徳的判断をめぐるカントと討議倫理学』(法政大学出版局、2013年)。

◎ 新潟哲学思想セミナー(Niigata Philosophy Seminar:通称 NiiPhiS[ニーフィス])とは
2009年に新潟大学を中心に立ちあがった新しい公開セミナーです。新潟における知の交流の場となるよう、毎回、精力的にご活躍の講師をお招きして、哲学・思想にまつわる諸問題に積極的に取り組んでいきます。予約等はいっさい必要ありません。どなたでもご自由にご参加ください。

主催:新潟哲学思想セミナー(世話人=宮﨑裕助・城戸 淳)
共催:新潟大学人文学部哲学・人間学研究会
お問い合せは城戸まで


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2013年4月17日

第13回新潟哲学思想セミナーが開催されました  【イベントの記録】

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  第13回新潟哲学思想セミナーは、講師に本学の番場俊先生をお迎えして、「ドストエフスキー、作家の顔、小説の声」というタイトルのもと開催されました。ご講演では主に、昨年末に出版された先生の著書『ドストエフスキーと小説の問い』(水声社)の序章に沿ってお話しして頂きました。大学は春季休業期間でしたが、新潟大学の教員や学生のみならず県外からも多くの方にお越し頂き、会場は満員となりました。
 番場先生はまず導入として、今回のセミナーのタイトルにある「作家の顔」に触れ、次にドストエフスキーの脱神話化の試み、そして最後に「ドストエフスキーと小説の問い」についてお話しされました。以下、先生のご講演の中からいくつかの主題をご紹介いたします。

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2013年4月 6日

【哲学ノート】分散するカント哲学  【NiiPhiS】

 先日のNiiPhiSで番場俊氏は、みずからの解釈上のモットーとして、神話的な統一的ドストエフスキー像を樹立するのではなく、むしろ(フーコーの分散(dispersion)の概念を援用しつつ)ドストエフスキーをさまざまなコンテクストへと分散させることを強調されていた。この番場氏の方法論は、さいきん私が想いえがいている哲学研究の手法と響きあうところがあるように思われる。

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2013年4月 4日

ドストエフスキー、作家の顔、小説の声  【お知らせ】

bamba_cover 第13回 新潟哲学思想セミナー(NiiPhiS)

ドストエフスキー、
作家の顔、小説の声


講師 番場 俊(新潟大学准教授)

日時 2013年4月4日(木) 17:30~19:00
場所 新潟大学 五十嵐キャンパス
   人文社会学系棟 第一会議室(B棟2階)

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2012年7月27日

第12回新潟哲学思想セミナーが開催されました  【イベントの記録】

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 第12回セミナーでは、講師に高崎経済大学の國分功一郎先生をお迎えして、「スピノザの異物性」というテーマでお話いただきました。國分先生は大学における専門の研究のみならず、論壇や各種メディアにおいても非常に活躍されておられる気鋭の研究者であり、その注目の國分先生の講義を聴くためにさまざまな人々が集まり、会場は想像を上回るほどの聴講者で溢れました。人文学部の学生や教員だけではなく、他の学部の学生や地域の人々、県外在住の学生など多様な方々が参加してくださいました。

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2012年7月20日

スピノザの異物感  【NiiPhiS】

Spinoza 第12回 新潟哲学思想セミナー(NiiPhiS)

ス ピ ノ ザ の 異 物 感

講師 國分 功一郎(高崎経済大学准教授)

日時 2012年7月20日(金) 18:10~19:40
場所 新潟大学 五十嵐キャンパス
   総合教育研究棟 A棟1階 大会議室

『スピノザの方法』  17世紀オランダ、アムステルダムのユダヤ人として生を受けながらユダヤ共同体から異端として破門され、世俗の栄誉から身を退き、レンズ磨きによって生計を立てていた孤高の哲学者スピノザ(1632--1677)。スピノザの孤独は、その生き方のみならず、哲学そのものを表している。「これほど哲学者と呼ばれるに値する哲学者もいなかったが、またこれほど罵られ憎悪された哲学者もいなかった」(ドゥルーズ)。なぜ近代的な思考にとってスピノザは「奇妙なもの」として際立ってしまうのか。スピノザ哲学の「異物感」とはいったいどのようなものなのか──

『暇と退屈の倫理学』  第12回の新潟哲学思想セミナーは、講師に國分功一郎先生をお迎えします。國分さんは、昨年博士論文(東京大学)をもとにした著書『スピノザの方法』(みすず書房)、『暇と退屈の倫理学』(朝日出版社)を続けて上梓され、専門の研究のみならず、論壇や各種メディアにおいても今たいへん注目を集めている気鋭の哲学研究者です。今回のセミナーでは、國分さん独自の観点から、ご専門であるスピノザ哲学についての入門講義をしていただきます。多くのみなさまのご来場をお待ちしています。


◎ 講師プロフィール
國分功一郎(こくぶん・こういちろう)1974年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。高崎経済大学経済学部准教授。専門は、17世紀哲学・フランス現代思想。著書に『スピノザの方法』(みすず書房、2011年)、『暇と退屈の倫理学』(朝日出版社、2011年)。TwitterID: @lethal_notion

◎ 新潟哲学思想セミナー(Niigata Philosophy Seminar:通称 NiiPhiS[ニーフィス])とは
2009年に新潟大学を中心に立ちあがった新しい公開セミナーです。新潟における知の交流の場となるよう、毎回、精力的にご活躍の講師をお招きして、哲学・思想にまつわる諸問題に積極的に取り組んでいきます。予約等はいっさい必要ありません。どなたでもご自由にご参加ください。

主催:新潟哲学思想セミナー(世話人=宮﨑裕助・城戸 淳)
共催:新潟大学人文学部(研究プロジェクト支援経費)/同哲学・人間学研究会

お問い合せは宮﨑まで


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2012年3月20日

第11回新潟哲学思想セミナーが開催されました  【NiiPhiS】

NiiPhiS 11

[文責=新潟大学大学院現代社会文化研究科修士課程 高畑 菜子]

第11回新潟哲学思想セミナーは講師に吉田治代先生をお迎えし、「ブロッホ、アメリカ、多元的宇宙」のタイトルのもとで開催されました(参加者25名)。

ご講演では、ブロッホにおける多元的宇宙(Multiversum)という独特の多元主義のヴィジョンについて、とくにブロッホとアメリカとの関わりに焦点を当ててお話しいただきました。吉田先生は、多元的宇宙の概念はアメリカの哲学者ウィリアム・ジェイムズに由来しており、アメリカとの関連は非常に重要なテーマであるとして、従来の研究ではほとんど言及されることのなかったアメリカ思想のブロッホへの影響を辿ることこそ、ブロッホのいう多元的宇宙のヴィジョンへと到達する道であると指摘されます。

吉田治代氏

吉田先生によれば、ブロッホにおけるアメリカ思想のポジティヴな受容がいつ行なわれたのかを遡ってみると、第一次世界大戦の時代に行き当たり、スイス亡命時代にブロッホが集中的にアメリカの問題に取り組んでいたことが見出されます。しかし、ブロッホはアメリカが参戦を決めた1917年に急遽アメリカ思想を取りこんだというわけではなく、戦前からすでに興味をもっていたと考えられるそうです。というのも、20世紀初頭のドイツでは、新たな思想運動である「プラグマティズム」への関心が高まっていたからです。

ドイツにおけるプラグマティズム受容は、ハンス・ヨアスによれば不幸な誤解の歴史とでもいうべきものであり、フランクフルト学派と同様、ブロッホもまたこの不幸な歴史にその名を残しています。『希望の原理』においてブロッホは、プラグマティズムをマルクス主義とは相いれない精神的に劣ったものと見なし、アメリカ資本主義と結びつけつつ批判しています。

フランクフルト学派の陰鬱なアメリカ観にも通じる、この「マルクス主義者ブロッホ」の「アンチ・アメリカニズム」は広く知られていますが、それだけに1910年代のブロッホにおけるアメリカ思想のポジティヴな受容は注目すべきものだと、吉田先生は指摘されます。従来、社会主義革命への希望と考えられてきたブロッホの希望の哲学、可能性の哲学のもう一つの起源をここに見ることが可能なのではないか、と問いかけられました。

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2012年2月23日

ブロッホ、アメリカ、多元的宇宙  【お知らせ】

NiiPhiSロゴ11 第11回 新潟哲学思想セミナー(NiiPhiS)

Ernst Bloch (1885-1977) ブ ロ ッ ホ、ア メ リ カ、多 元 的 宇 宙

講師 吉田 治代(新潟大学准教授)

日時 2012年2月23日(木) 17:00~18:30
場所 新潟大学 五十嵐キャンパス
   人文社会科学系棟 第1会議室 (B棟2階)

『ブロッホと「多元的宇宙」』

19世紀後半より、大西洋をはさんでドイツとアメリカの思想交流が活発化する。しかしドイツ思想界において、とりわけフランクフルト学派の人びとにみられるように、アメリカのプラグマティズムは、資本主義の弁護論として非難されてきた。ところがこの学派に近いとされるエルンスト・ブロッホは、プラグマティズムに対して、より開かれた態度を示していた。──

第11回の新潟哲学思想セミナーは講師に新鋭のブロッホ研究者である吉田治代氏をお迎えします。〈戦後〉を生き抜く思想、そして多元的世界を志向する思想としてブロッホを捉え、そのプラグマティズムとの親縁性を探りつつ、彼の「希望の哲学」を新たな角度から捉えなおすセミナーになります。多くのみなさまのご来場をお待ちしています。


◎ 講師プロフィール
吉田治代(よしだ・はるよ) 立教大学ドイツ文学科卒、博士(文学・立教大)。現在、新潟大学人文学部准教授。専門は近現代ドイツ思想文化史。著書に『ブロッホと「多元的宇宙」──グローバル化と戦争の世紀へのヴィジョン』(知泉書館、2011年)、共著にThomas Pekar (Hrsg.): Flucht und Rettung. Exil im japanischen Herrschaftsbereich (1933-1945), Berlin 2011など。

◎ 新潟哲学思想セミナー(Niigata Philosophy Seminar:通称 NiiPhiS[ニーフィス])とは
2009年に新潟大学を中心に立ちあがった新しい公開セミナーです。新潟における知の交流の場となるよう、毎回、精力的にご活躍の講師をお招きして、哲学・思想にまつわる諸問題に積極的に取り組んでいきます。予約等はいっさい必要ありません。どなたでもご自由にご参加ください。

主催:新潟哲学思想セミナー(世話人=宮﨑裕助・城戸 淳)
共催:新潟大学人文学部哲学・人間学研究会
お問い合せは城戸まで


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2011年12月 5日

第10回新潟哲学思想セミナーが開催されました  【イベントの記録】

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 第10回セミナーでは、講師に筑波大学の佐藤嘉幸先生をお迎えして、「規律的統治から新自由主義的統治へ──後期フーコーと権力の諸問題」というテーマでお話いただきました。
 日本だけではなく、世界各国で(とくに先進国において)抱えている財政問題を解決すべく、いまや多くの世界では従来の政治体系である福祉国家型国家から新自由主義型国家へと移行されてきている。このような福祉国家的統治から新自由主義的統治への移行によって、どのように権力構造は変わるのだろうかというまさに現代が直面している問題、しかも避けては通れないような重大な問題が今回のテーマでした。
 会場には多くの学生や教員、地元の方々の参加があり、質疑応答では、時間いっぱいまでさまざまな議論が飛び交いました。会場にいらっしゃった城戸先生をはじめ、市民の方からの質問にも、佐藤先生は丁寧に、わかりやすく、ラジカルに回答されたので、私たち学生にとっても論点が見えやすく、質疑応答の内容も理解しやすく感じられました。
IMG_2863.JPG  議論の熱が冷めないまま、予定時刻を過ぎてしまったのですが、会場を移し、恒例の懇親会において──ある意味、この懇親会によって、この追補的な会によって、むしろこの講義の理解がはじめて深まるのではないかと毎回個人的に感じているのですが──、今度は学生を中心に佐藤先生にさまざまな質問をさせていただきました。佐藤先生は学生の質問に対しても、親身に、丁寧に、わかりやすく答えてくださいました。懇親会もおおいに盛り上がり、大変有意義で、貴重な時間となりました。
 以下では、講義と質疑応答の要点を紹介したいと思います。

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2011年11月25日

規律的統治から新自由主義的統治へ──後期フーコーと権力の諸問題  【お知らせ】

foucault.jpg 第10回 新潟哲学思想セミナー [NiiPhiS]

規律的統治から新自由主義的統治へ
──後期フーコーと権力の諸問題


講師 佐藤嘉幸(筑波大学専任講師)

日時 2011年11月25日(金) 18:10~19:40
場所 新潟大学五十嵐キャンパス
  総合教育研究棟D-301(旧地域国際交流促進室)

4409040995.jpg  フランスの思想家ミシェル・フーコー(1926-84)は、主著『監獄の誕生』において、社会に毛細管状に張り巡らされた権力の諸装置(学校、軍隊、病院、工場、監獄など)の分析を通じて、個々人の身体的実践へと介入し、個々人に「規範」を内面化させるような近代社会の統治的政治の実態を明らかにした。こうした規律的統治が、20世紀では福祉国家の統治であったとすれば、そのような統治は、1970年代に次第に破綻していく。福祉国家に代わって、1980年代以降に前景化してきたのが新自由主義の統治である。現代にまで影響を及ぼしているその統治形態とはしかし、いったいどのような特徴をもつのだろうか──

 第10回の新潟哲学思想セミナーは講師に佐藤嘉幸先生をお迎えします。佐藤さんは、2008年にパリ大に提出した博士論文をもとに著書『権力と抵抗』、また立て続けに一昨年にも『新自由主義と権力』を上梓し、フランス現代思想の前線を開拓し続けている新進気鋭の思想史研究者です。フーコーは「権力」というテーマを軸に、哲学や思想のみならず、政治学、法学、社会学、歴史学などの幅広い分野にいまもなお影響を及ぼし続けているもっとも著名な20世紀の思想家といっても過言ではありません。今回佐藤さんには、後期フーコー思想への入門セミナーとして、フーコーのアクチュアリティを分かりやすくお話いただく予定です。多くのみなさまのご来場をお待ちしています。

◎ 講師プロフィール
佐藤嘉幸(さとう・よしゆき)1971年生まれ。京都大学大学院経済学研究科博士課程修了後、パリ第10大学大学院にて博士号(哲学)取得。現在、筑波大学人文社会科学研究科専任講師。専門は、哲学、思想史。とりわけ構造主義以後の権力理論。著書に『権力と抵抗──フーコー・ドゥルーズ・デリダ・アルチュセール』(人文書院、2008年)、『新自由主義と権力──フーコーから現在性の哲学へ』(人文書院、2009年)。訳書に『ミシェル・フーコー思考集成IX』(共訳、筑摩書房、2001年)。ジュディス・バトラー『自分自身を説明すること』(共訳、月曜社、2008年)。

◎ 新潟哲学思想セミナー(Niigata Philosophy Seminar:通称 NiiPhiS[ニーフィス])とは
一昨年、新潟大学を中心に立ちあがった新しい公開セミナーです。新潟における知の交流の場となるよう、毎回、精力的にご活躍の講師をお招きして、哲学・思想にまつわる諸問題に積極的に取り組んでいきます。予約等はいっさい必要ありません。どなたでもご自由にご参加ください。

主催:新潟哲学思想セミナー(世話人=宮﨑裕助・城戸 淳)
共催:新潟大学人文学部哲学・人間学研究会

お問い合せは宮﨑まで


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