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イベントの記録 アーカイブ


2010年9月22日

「言語学読書合宿」の歴史  【イベントの記録】

 人間学コースでは、福田先生、山崎先生のゼミ生を中心に、言語学分野に関心をもつ学部生、卒業生、大学院生たちが参加して、毎年「言語学読書合宿」を開催しています。
 今年で13回目を数え、津川温泉にて活発なゼミが開かれました。

○第13回 「言語学読書合宿」
日程:平成22年9月11日(土)~9月13日(月)
場所:津川温泉「清川高原保養センター」
課題図書:荒川洋平『日本語という外国語』講談社現代新書
参加者:15名

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以下は、これまでの合宿の記録です。

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2010年7月12日

第6回新潟哲学思想セミナーが開催されました  【イベントの記録】

6th.NiiPhiS

第6回のNiiPhiSでは、講師に小田部胤久先生をお招きし、 「カール・レーヴィットと「二階建て」の日本──間文化性への一つの寄与」という表題でお話しいただきました。参加者は、新潟大学の学生・教員を中心に、学外からの方も含めて30名近くとなりました。

東北大学での教師時代、アメリカ時代、晩年というレーヴィットの遍歴に沿って、日本の近代化、東洋と西洋、古いヨーロッパと新しいヨーロッパといった問題に関する彼の思考が跡づけられました。

小田部胤久氏

東北大学時代のレーヴィットは、近代化を目指した日本が西洋の思考を受容しようとしたことについて、それは「真の習得」とはみなしえないと断じます。真の習得のためには、異質なものの異質さを認めたうえでそれを自己化すること(他者の自己化)が必要なのに、日本(東洋)にはこのような態度が欠けているというのです。

表題にもある「二階建ての日本」という有名な言葉は、西洋的なものが、日本的なものとは別の階にあるかのように日本化されないままに上積みされているという矛盾的な状況を表わしています。

しかしレーヴィットはのちに、こうした見方を西洋自身にも向けました。つまり、西洋の思考はそもそもギリシア異教とキリスト教という二重性をもつ。そのうえ近代科学技術による変化も被ることで成立したのです。さらにアメリカについては、アメリカはヨーロッパの古代・中世という異質な伝統からいかに学ぶことができるのか、という問題があります。

今回の小田部先生のお話を通じて、他者の自己化という問題が、現代の日本の学生である私にとっても依然として重要な問題であることがわかりました。とくに私自身、西洋哲学を専攻しているため、その点をいっそう痛感した次第です。小田部先生、どうもありがとうございました。

[文責=新潟大学大学院現代社会文化研究科修士課程・福島健太]

2010年6月26日

第5回新潟哲学思想セミナー終了。  【イベントの記録】

 第5回の NiiPhiS では、映画「哲学への権利──国際哲学コレージュの軌跡」上映会および、本作品の監督である西山雄二さん(首都大学東京)をお迎えし、また本学人文学部より、コメンテーターとして番場俊、城戸淳、逸見龍生の諸氏(司会=宮﨑裕助)が参加することで、あわせて討論会が開かれました。大学内外から多数の方にお越しいただき、きわめて有意義な会となりました。

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 討論会では、西山さん[写真左]による本作品への趣旨について簡単にお話があった後、番場さん、城戸さん、逸見さん[写真右。西山さんに続き左から順に]から、本作品の射程を何倍にも増幅する鋭いコメントが寄せられました。

 番場さんは、ロシア文学を専門として外国語教育に携わる立場から、とくにヨーロッパ哲学から隔てられた日本においては、「哲学への権利」以上に「外国語への権利」が必要になってくるのではないか、と問いかけ、城戸さんは、実際に新潟大学で哲学教育に関わっている立場から、カントの『諸学部の争い』に即して、コレージュの試みが哲学部の役割を純化させるかたちで、日本でもかつての教養学部がもっていた可能性を引き出すのではないかという点を評価し、また、逸見さんは、18世紀フランス啓蒙思想を専門とする立場から、フランス語のphilosophieが大学の学問以前にもっていたより幅広い活動的な役割を再確認することで、学問が新自由主義的な「思考の警察」に脅かされている現状に対して、コレージュがひとつのアソシエーションとして果たしている「抵抗の場」の可能性を強調しました。

 登壇者同士の討議の後、会場からもいくつもの質問が寄せられ、予定の時刻をオーバーしてやりとりは続きましたが、刺激的な質疑応答は、瞬く間の一時間半でした。今回のセミナーのために、お越しいただいた西山さんをはじめ、コメンテーターを引き受けていただいた番場さん、逸見さん、そして会場に足を運んでいただいたすべてのみなさまに、あらためて感謝申し上げます。

[関連リンク]本イベントについての西山雄二さんの報告はこちら
【報告】新潟大学(逸見龍生、番場俊、城戸淳、宮崎裕助)公式HP映画「哲学への権利——国際哲学コレージュの軌跡」

2010年5月29日

加藤尚武先生来学  【イベントの記録】

 昨日は、栗原先生のお招きで、日本のヘーゲル研究の碩学にして応用倫理学の第一人者としても著名な加藤尚武先生にお越しいただきました。
 満席の講義室で二百人以上の学生を前に行われた講義題目は「エゴイズムと悪」。「就職と結婚──それが人生で最大の問題だ」というヘーゲルの言葉に始まり、現代社会の失業問題や経済成長の限界を睨みながら、アダム・スミス、オーギュスト・コント、カント、自由主義をめぐる英米倫理学の諸説等々を参照しつつ、「エゴイズムはいかにして公共の利益に貢献しうるか」を問いかけるエネルギッシュなお話は、非常に刺激的でした。加藤先生、どうもありがとうございました。

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2010年5月18日

人間学合宿 2010 の記録。   【イベントの記録】

 15,16日に卒論構想発表会を兼ねた合宿がありました。場所は鹿瀬(かのせ)です。一日目、新潟駅から鹿瀬駅に向かって移動です。のんびりとした移動でした。鹿瀬駅から宿のバスにて一晩お世話になる赤崎荘へ移動しました。風景がよくのどかで癒されました。

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 昼食の後、さっそく卒論の構想発表会。私は三番目でした。かなり緊張していました。出来についてはノーコメントでお願いします(笑)

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 夕食はとても豪華でした。温泉も気持ちよく、大変よかったです。

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 懇親会では、おととしに引き続き、読書クイズが行われました。ある本の一部から、著者と書名を当てるというものです。また、丸山君の卒論に関係して、擬態語をつくるゲームがありました。非常に難しいと同時に、さまざまなものが出されて大変おもしろかったです。その後も楽しく懇親会という名の飲み会が続きました。

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 二日目は朝食の後、山﨑先生による懇話会でした。なかなか興味深い内容で、飽きずに聞いていました。
 鹿瀬駅までは歩いて向かい、なかなかいい運動になりました。山のなかを歩いていきました。鹿瀬駅からは新潟駅まで快速あがので向かいます。新潟駅で解散し、全日程を終了です。

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 全体を通して楽しい合宿でした。また、構想発表会は勉強になりました。懇親会でのゲームや、懇話会などもあって、充実していたと思います。ぜひ来年は今年来れなかった方も来てほしいと思います。
 最後に、今回の合宿を企画し、実行してくださった先生方、本当にありがとうございました。
(文責=人間学四年:小関倫太郎)

2010年4月 5日

第4回新潟哲学思想セミナーが開催されました  【イベントの記録】

4th.NiiPhiS

第4回の NiiPhiS は、昨年12月に新潟大学に着任された青柳かおる先生を講師にお招きし、二十数名の参加者を得て、イスラームの婚姻論というテーマで開催されました。

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今回のセミナーでは、ガザーリー(イスラーム思想史上最大の思想家の一人)、イブン・アラビー(ガザーリー以降のスーフィズムを代表する思想家)、カラダーウィー(現在、アラブ諸国だけでなく世界中のムスリムに大きな影響を持っている法学者)という3人のイスラム思想家の婚姻論に焦点があてられました。

スーフィズムからみたガザーリーの婚姻論と思想的背景にある存在論との結びつきについてお話があった後、ガザーリーとイブン・アラビーの比較(スーフィズムの思想における比較)、ガザーリーとカラダーウィーの比較(古典時代と現代の比較)が行われ、イスラム思想史の発展と多様性について学ぶことができました。

(文責・新潟大学大学院現代社会文化研究科博士課程 浦上麻衣子)

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2010年3月25日

祝・卒業!  【イベントの記録】

 先日3月23日は、卒業式がありました。
朱鷺メッセにおいて全学の卒業式、人文学部の卒業祝賀会@新潟グランドホテル、そして人間学履修コースの謝恩会@よさ来い古町店での模様を振り返ります。

 卒業生のみなさん、本当におめでとうございます!

朱鷺メッセの卒業式会場の様子です。
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学位記の授与は履修コースごとに行われます。
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祝賀会場にて。みんなで乾杯!
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最後に履修コース全体で記念撮影。
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場所を移し、今度は卒業生主催の謝恩会です。幹事の方、ありがとうございました。
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卒業生の挨拶、先生からの贈る言葉に続き、最後は、お世話になった先生方に、卒業生からの花束の贈呈で締め括りました。
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 卒業生のみなさん、4月からはそれぞれ環境が大きく変り、慌ただしい日々が待っていることと思います。そんなときでも少し立ち止まり、ときには人間学コースでみんなと学んだことを思い出してみてください。そして気が向いたらいつでもまた研究室をお訪ねください。教員一同、みなさんと元気で再会できるのを楽しみにしています。

 あらためて、ご卒業おめでとうございました。

2010年3月 9日

シンポジウム終了。  【イベントの記録】

 昨日は国際シンポジウム「ヘーゲルにおける世界と精神」が開催されました。

 F・シュレーゲルとシェリングによる超越論的観念論がヘーゲル弁証法の解釈学へと展開した壮大な軌跡を辿り直した栗原先生の講演、初期ヘーゲルにおける「論理学と形而上学」の複雑な相互依存関係を明晰に解明した久保先生の講演に続き、ドイツはリューネブルク大からお越しいただいたクリストフ・ヤメ先生の講演は、ヘーゲル『精神現象学』第7章「芸術宗教」の叙述を再検討することで、後期の『美学講義』等では明らかではなかった、ヘーゲルによる「芸術の起源」の考察を探るものでした。

 いずれの講演に対しても独・英・日による多言語の活発な討論が行われ、あっという間の5時間でした。みなさん、お疲れさまでした。昨年に引き続き、久保先生、通訳の満井先生、そしてなにより遠方よりお越しいただいたヤメ先生、どうもありがとうございました。以下は昨日の模様です。

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2010年2月14日

卒業論文発表会&卒業生追コン終了。  【イベントの記録】

 去る12日は、大学四年間の集大成となる卒業論文発表会がありました。
 無事発表を終えた四年生のみなさん、本当にお疲れ様でした。
 卒論の達成感をいつまでも忘れることなく、これによって得た経験と自信とを糧に、これからの人生を切り拓いてゆかれることを願っています。
 写真は発表会&追コン&二次会の様子です。

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2009年12月12日

第3回新潟哲学思想セミナーが開催されました。  【イベントの記録】

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 11月27日は、講師に竹峰義和さんをお招きして、第3回新潟哲学思想セミナー「ハリウッドの精神からの全体主義の誕生 アドルノ『文化産業』論をめぐって」が開催されました。新潟大学の学生と教員を中心として、20名以上が参加いたしました。


 竹峰さんは、アドルノ研究者として一昨年著書を公刊されましたが、今回は、そのアドルノの「文化産業」論についてです。お話は、まず、アドルノの主著であり、有名な『啓蒙弁証法』で述べられているアドルノの「文化産業」論の入門的な紹介でした。竹峰さんによると、アドルノは、自然を人間に合わせた形で理解するという神話はすでに啓蒙である一方で、啓蒙は神話に退化するのであって、その退化の帰結のひとつがファシズムであると考えた。そして、アドルノは「文化産業」がファシズムと同じシステムをもっていることを問題にします。そのためアドルノは、「文化産業」が担っている大衆文化である映画などを批判することになったということです。竹峰さんのお話は、非常にわかりやすく、アドルノについてほとんど知らなかった私にも、アドルノの「文化産業」論の概略をつかむことができました。

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 竹峰さんは、こうした入門的なお話の上で、アドルノが単に大衆文化を批判しただけではなくて、実際に大衆文化によく接していたという事実や、大衆文化がただ単にファシズムと親和的であるだけでなくファシズムへの抵抗の契機になることができると考えてもいたという点についても話されました。私は、アドルノといえば大衆文化をこき下ろし、いわゆる高級芸術を擁護した人だというありがちなイメージをもっていたので、今回のお話は非常に興味深いものでした。また、アドルノの「文化産業」論は、あえて誇張として描かれたものではないかという指摘もなされました。
(文責=新潟大学現代社会文化研究科修士課程: 赤塚建太)