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「間主観的感性論研究推進センター」講演会
日時 2016年9月28日(水)18:00~20:00
場所 新潟大学 五十嵐キャンパス 総合教育研究棟 D-301
入場無料、事前予約不要
主催:新潟大学人文社会・教育科学系附置「間主観的感性論研究推進センター」
共催:新潟大学人文学部哲学・人間学研究会
問い合わせ先 栗原隆:E-mail:kurihara@human.niigata-u.ac.jp
どなたでもご自由にお出でください。
新潟大学人文社会・教育科学系附置「間主観的感性論研究推進センター」
問い合わせ先 栗原隆:E-mail:
第22回新潟哲学思想セミナーでは、講師に岡山大学の岡本源太先生をお招きし、「ジョルダーノ・ブルーノを読むジョン・トーランド――汎神論の発明」というテーマで開かれました。
アイルランドの自由思想家であるトーランドがルネサンスの哲学者であるブルーノからどのような影響を受け、汎神論を発明するにいたったのかについて、ブルーノとトーランドの思想を比較しながら、お話をしていただきました。トーランドは意見の多様性を推奨し、中立無差別の立場について述べていたそうです。また、世界や宇宙を有限なものとして捉えるのではなく、無限に広がる世界として捉えるという考え方はトーランドの哲学の核心といえます。
無限の宇宙を説明するにあたって必要になるのが、あらゆる物質に内在している「運動」という力です。この力とは、私たちが目で見ることができるような物体の移動という運動だけではなく、能動的な運動と逆の受動的な力も含まれています。あらゆる物質に内在しているこの力が限定的に起こることで、私たちが目で見ることができるような運動を引き起こすそうです。
無限の宇宙のなかで、あらゆる物質は変化し、循環しています。例えば、熱いものと冷たいものは比較すれば対立的ですが、状態が異なるだけの同じものであるともいえます。つまり、対立物は存在せず、すべて比較による相対物と考えられます。そのため、宇宙という全体のなかでは、何一つ消滅せず、内在的な力によって物質の状態が変化し、破壊や産出と呼べる現象が起きています。このような相反のなかで万物は変化し、流転によってあたかも円のように循環しています。この無限に循環する宇宙を無限の宇宙と考えます。
言い換えれば、相反するものは流転によって一致するとみなすことができます。人間が使う概念区分はすべて比較によって生じる相反的なものであり、名前はすべて恣意的なものであるといえます。そのような相反的なものは修辞学を用いて、その都度適切かどうか考えなければなりません。哲学以外においては、ブルーノは宗教を想定的なものとして捉えていきますが、トーランドは自由検討のなかで真理や正しい道を選択できるとして、プロテスタントを信仰したそうです。
今回のセミナーでは、ジョン・トーランドやジョルダーノ・ブルーノの哲学だけでなく、それらをとおして、ルネサンス哲学の考え方について知ることのできる貴重な機会となりました。
最後になりましたが、今回のセミナーでご講演いただいた岡本先生に感謝を申し上げ、第22回哲学思想セミナーの報告とさせていただきます。
[文責=新潟大学大学院現代社会文化研究科修士課程 波多野支希]
日時 2016年9月8日(木) 18:30~20:00
場所 新潟大学 五十嵐キャンパス
総合教育研究棟B棟5階プレゼンルーム
近代の黎明とされるルネサンスは、こと哲学史においてはその影響力が見えにくく、以後の近代哲学にどのように引き継がれたのか、いまだ十分に解明されていません。本発表では、ルネサンス哲学の隠れた後裔の一例として、アイルランドの自由思想家ジョン・トーランド(John Toland, 1670-1722)の哲学を取り上げます。ロックとバークリのあいだにあって、ライプニッツやベールやクラークとの論争を通して、みずからの哲学を「汎神論」として鍛え上げていったトーランドは、1698年にルネサンスの哲学者ジョルダーノ・ブルーノ(Giordano Bruno, 1548-1600)の一連の著作を入手して以来、つねにそれを座右に置き、多数の書き込みと、部分的ながら英語訳を残しています。トーランドはブルーノからなにを受け取ったのか――ルネサンス自然主義から近世自由思想への継承の内実を探ります。
第22回新潟哲学思想セミナーは、講師に岡本源太氏をお迎えします。岡本氏は哲学者ジョルダーノ・ブルーノを中心とするルネサンス期西洋哲学を専門とされています。ブルーノが美術史家アビ・ヴァールブルクや小説家ジェイムズ・ジョイスへ与えた影響をはじめ、ルネサンス以降のヨーロッパにおける哲学と芸術の今日的な展開を現代思想や現代芸術を手がかりに研究されています。今回のセミナーでは、アイルランドの自由思想家ジョン・トーランドの哲学から、ブルーノの哲学の反響と残存を読み解くといった内容で講演していただきます。多くのみなさまのご来場をお待ちしております。
◎ 講師プロフィール:岡本源太(おかもと・げんた)1981年生まれ。岡山大学文学部准教授。京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程修了。博士(人間・環境学)。専門は、ルネサンス期西洋および現代の哲学思想と芸術理論。著書に『ジョルダーノ・ブルーノの哲学――生の多様性へ』(月曜社、2012年)、『『明るい部屋』の秘密――ロラン・バルトと写真の彼方へ』(共著、青弓社、2008年)、訳書に、ジョルジョ・アガンベン『事物のしるし――方法について』(共訳、筑摩書房、2011年)他。
◎ 新潟哲学思想セミナー(Niigata Philosophy Seminar:通称 NiiPhiS[ニーフィス])とは
2009年に新潟大学を中心に立ちあがった公開セミナーです。新潟における知の交流の場となるよう、毎回、精力的にご活躍の講師をお招きして、哲学・思想にまつわる諸問題に積極的に取り組んでいきます。参加費、予約等は不要です。どなたでもご自由にご参加ください。
主催:新潟哲学思想セミナー(世話人=宮﨑裕助・古田徹也)
共催:新潟大学人文学部哲学・人間学研究会
お問い合せは宮﨑まで