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2010年6月 アーカイブ


2010年6月26日

第5回新潟哲学思想セミナー終了。  【イベントの記録】

 第5回の NiiPhiS では、映画「哲学への権利──国際哲学コレージュの軌跡」上映会および、本作品の監督である西山雄二さん(首都大学東京)をお迎えし、また本学人文学部より、コメンテーターとして番場俊、城戸淳、逸見龍生の諸氏(司会=宮﨑裕助)が参加することで、あわせて討論会が開かれました。大学内外から多数の方にお越しいただき、きわめて有意義な会となりました。

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 討論会では、西山さん[写真左]による本作品への趣旨について簡単にお話があった後、番場さん、城戸さん、逸見さん[写真右。西山さんに続き左から順に]から、本作品の射程を何倍にも増幅する鋭いコメントが寄せられました。

 番場さんは、ロシア文学を専門として外国語教育に携わる立場から、とくにヨーロッパ哲学から隔てられた日本においては、「哲学への権利」以上に「外国語への権利」が必要になってくるのではないか、と問いかけ、城戸さんは、実際に新潟大学で哲学教育に関わっている立場から、カントの『諸学部の争い』に即して、コレージュの試みが哲学部の役割を純化させるかたちで、日本でもかつての教養学部がもっていた可能性を引き出すのではないかという点を評価し、また、逸見さんは、18世紀フランス啓蒙思想を専門とする立場から、フランス語のphilosophieが大学の学問以前にもっていたより幅広い活動的な役割を再確認することで、学問が新自由主義的な「思考の警察」に脅かされている現状に対して、コレージュがひとつのアソシエーションとして果たしている「抵抗の場」の可能性を強調しました。

 登壇者同士の討議の後、会場からもいくつもの質問が寄せられ、予定の時刻をオーバーしてやりとりは続きましたが、刺激的な質疑応答は、瞬く間の一時間半でした。今回のセミナーのために、お越しいただいた西山さんをはじめ、コメンテーターを引き受けていただいた番場さん、逸見さん、そして会場に足を運んでいただいたすべてのみなさまに、あらためて感謝申し上げます。

[関連リンク]本イベントについての西山雄二さんの報告はこちら
【報告】新潟大学(逸見龍生、番場俊、城戸淳、宮崎裕助)公式HP映画「哲学への権利——国際哲学コレージュの軌跡」

2010年6月25日

【映画上映】哲学への権利──国際哲学コレージュの軌跡  【お知らせ】

Film%20CIPh%20Affiche%20Niitaga 第5回 新潟哲学思想セミナー [NiiPhiS]

哲学への権利
──国際哲学コレージュの軌跡


講師 西山雄二 (首都大学東京准教授)

日時 2010年6月25日()
   上映16:30~18:00/討論18:10〜
場所 新潟大学 五十嵐キャンパス 総合教育研究棟B棟2階 B253教室

哲学への権利について、人文学の未来について、 私たちはいま何を信じることができるのか。収益性や効率性が追求される現在のグローバル資本主義下において、哲学や文学、芸術などの人文学的なものの可能性を私たちはいかなる現場として構想し実践すればよいだろうか──1983年、ジャック・デリダらフランスの哲学者たちは、パリに半官半民の独創的な研究教育機関「国際哲学コレージュ」を創設した。これは、この機関をめぐる初のドキュメンタリー映画である。

第5回新潟哲学思想セミナーは、講師に西山雄二氏をお迎えし、映画『哲学への権利──国際哲学コレージュの軌跡』を上映します。西山氏は20世紀のフランス文学・思想を専門としながら、本映画を完成させ、現在世界各地で上映会を開催しつつ、また、大学論や教養論、知識人論、人文学論といった分野でも幅広く発言し、精力的に活躍されています。

今回のセミナーでは、本編上映の後、本学人文学部より、逸見龍生、番場俊、城戸淳の諸氏が参加し、西山氏を囲んで本映画を出発点とした大学・人文学・哲学・教養等々のさまざまな問題について自由に討議を行う予定です。多くのみなさまのご来場をお待ちしています。


◎ 講師プロフィール
西山雄二(にしやま・ゆうじ) 1971年愛媛県生まれ。一橋大学言語社会研究科博士課程修了。現在、首都大学東京 都市教養学部 フランス語圏文化論(仏文)准教授。著書に『異議申し立てとしての文学──モーリス・ブランショにおける孤独、友愛、共同性』(御茶の水書房、2007年)。編著に『哲学と大学』(未來社、2009年)。訳書に、エマニュエル・レヴィナス『倫理と無限』(ちくま学芸文庫、2010年)、ジャック・デリダ『条件なき大学』(月曜社、2007年)、同『名を救う──否定神学をめぐる複数の声』(共訳、未來社、2005年)、カトリーヌ・マラブー『ヘーゲルの未来──可塑性・時間性・弁証法』(未來社、2005年)など。

■ 公式HP「映画『哲学への権利──国際哲学コレージュの軌跡』

◎ 新潟哲学思想セミナー(Niigata Philosophy Seminar:通称 NiiPhiS [ニーフィス])とは
昨年、新潟大学を中心に立ちあがった新しい公開セミナーです。新潟における知の交流の場となるよう、毎回、現在活躍されている講師をお招きして、哲学・思想にまつわる諸問題に積極的に取り組んでいきます。予約等はいっさい必要ありません。どなたでもご自由にご参加ください。

主催:新潟哲学思想セミナー(世話人=宮﨑裕助・城戸 淳)
共催:新潟大学人文学部哲学・人間学研究会
お問い合せは宮﨑まで


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