情の時代のポピュリズム──情動とカリスマから考える 【お知らせ】
第36回 新潟哲学思想セミナー(NiiPhiS)
情の時代のポピュリズム
情動とカリスマから考える
柿並良佑(山形大学)
情動(の政治)について考えるとはどのようなことか?(仮)
山本 圭(立命館大学)
指導者とは何か──ポピュリストと政治的カリスマ
日時 2019年10月25日(金)17:00~19:30
場所 新潟大学 五十嵐キャンパス
総合教育研究棟B棟5階 プレゼンルーム
ポピュリズムは従来、大衆迎合主義、衆愚政治などと訳され、侮蔑的な意味で用いられてきました。しかしこんにちの民主主義の政治のもとで、特定のイデオロギーや党派、国家、民族、宗教、人種等々に還元されない多様な民衆の趨勢をすくい上げる言葉としてこの語が新たに取り沙汰されるようになっています(たとえば英国の政治学者シャンタル・ムフのいう「左派ポピュリズム」など)。
そうした新たなポピュリズムの担い手は誰でしょうか。少なくともポピュリズムは人々の情動の高まりと切り離せないようにみえます。多くの思想家がそうした情動・感情をいかに動員し組織するのかを問うてきましたが、そもそも情動はコントロール可能でしょうか。情動やポピュリズムを論じているとき、実は私たち自身がつねにそれに巻き込まれてしまう危険な「何か」に私たちは遭遇しているのではないでしょうか。
「カリスマ」と呼ばれる指導者像はそうしたもののひとつでしょう。しかしカリスマと一言でいうとき、ポピュリズムが大きな力をもつ現代政治のなかで、単純に危険なものや忌避すべきものとみなすだけで本当によいのでしょうか。「民主的カリスマ」というものを考えることができないでしょうか──
第36回新潟哲学思想セミナーは、講師に柿並良佑氏と山本圭氏をお迎えします。柿並氏は、フランス現代思想を専門とし、とりわけジャン=リュック・ナンシーの哲学を中心に、情動の政治の諸問題に取り組んでおられます。山本氏は、現代政治理論を専門とし、とりわけエルネスト・ラクラウの政治思想を中心に、現在では「左派ポピュリズム」研究の第一人者というべき論客として活躍されてます。今回のセミナーでは、ポピュリズムと呼ばれる現象が政治の場面を覆うようになった現代、情動とカリスマをキーワードにして、いかにしてポピュリズムを再定義するか、いかにして政治のそうした現在を捉え直すのか、といったことにかんしてお話しいただきます。入場無料、事前予約等不要です。多くのみなさまのご来場をお待ちしております。
◎ 講師プロフィール:柿並良佑(かきなみ・りょうすけ)1980年生まれ。山形大学人文社会科学部専任講師。専門は、現代フランス哲学。著書に『〈つながり〉の現代思想──社会的紐帯をめぐる哲学・政治・精神分析』(共著、明石書店、2018年)、『21世紀の哲学をひらく──現代思想の最前線への招待』(共著、ミネルヴァ書房、2016年)他。山本圭(やまもと・けい)1981年生まれ。立命館大学法学部准教授。専門は、政治思想史、現代政治理論。著書に『不審者のデモクラシー──ラクラウの政治思想』(岩波書店、2016年)、『〈つながり〉の現代思想──社会的紐帯をめぐる哲学・政治・精神分析』(共著、明石書店、2018年)他。
主催:新潟哲学思想セミナー
共催:新潟大学間主観的感性論研究推進センター/同 人文学部研究交流費
お問い合せは宮﨑まで