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2009年12月 アーカイブ


2009年12月16日

自己紹介  【青柳 かおる】

青柳かおる (あおやぎ かおる)
専門はイスラーム思想史です。約900年前の思想家ガザーリー(1111年没)を中心に、アラビア語の一次資料を読みながら、古典時代のイスラーム神学・哲学・神秘主義(スーフィズム)の思想史を研究しています。ガザーリーは、最も重要な古典イスラーム思想家の一人であり、現代のイスラーム教徒にも大きな影響を与えています。
ガザーリーの主著『宗教諸学の再興』の中の「婚姻作法の書」を翻訳し、マッキー(998年没)、イブン・アラビー(1241年没)といったガザーリー前後の思想家の婚姻、女性、性に関する議論と比較しています。最近は、以上の古典研究を踏まえて、現代のイスラーム法学者のカラダーウィーの著書とも比較しています。ガザーリーの思想、とくにセクシュアリティー(性行為、生殖、婚姻、女性、ジェンダー、性愛観、生命倫理などのさまざまな性に関する問題)の議論を分析し、現代のムスリムによる性の議論、性に対する考え方と比較することにより、古典思想の現代における影響、意義を考察しています。
さらに、古典時代と現代が結び付くテーマとして、生命倫理の問題を研究しています。古今のスーフィズム文献、医学書、コーラン注釈書、法学文献、ファトワー集などの幅広い文献を渉猟し、古典時代から現代までのイスラームの生命倫理の変遷を文献学的に明らかにしたいと考えています。
おもな研究業績については以下の続きを参照してください。

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2009年12月12日

第3回新潟哲学思想セミナーが開催されました。  【イベントの記録】

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 11月27日は、講師に竹峰義和さんをお招きして、第3回新潟哲学思想セミナー「ハリウッドの精神からの全体主義の誕生 アドルノ『文化産業』論をめぐって」が開催されました。新潟大学の学生と教員を中心として、20名以上が参加いたしました。


 竹峰さんは、アドルノ研究者として一昨年著書を公刊されましたが、今回は、そのアドルノの「文化産業」論についてです。お話は、まず、アドルノの主著であり、有名な『啓蒙弁証法』で述べられているアドルノの「文化産業」論の入門的な紹介でした。竹峰さんによると、アドルノは、自然を人間に合わせた形で理解するという神話はすでに啓蒙である一方で、啓蒙は神話に退化するのであって、その退化の帰結のひとつがファシズムであると考えた。そして、アドルノは「文化産業」がファシズムと同じシステムをもっていることを問題にします。そのためアドルノは、「文化産業」が担っている大衆文化である映画などを批判することになったということです。竹峰さんのお話は、非常にわかりやすく、アドルノについてほとんど知らなかった私にも、アドルノの「文化産業」論の概略をつかむことができました。

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 竹峰さんは、こうした入門的なお話の上で、アドルノが単に大衆文化を批判しただけではなくて、実際に大衆文化によく接していたという事実や、大衆文化がただ単にファシズムと親和的であるだけでなくファシズムへの抵抗の契機になることができると考えてもいたという点についても話されました。私は、アドルノといえば大衆文化をこき下ろし、いわゆる高級芸術を擁護した人だというありがちなイメージをもっていたので、今回のお話は非常に興味深いものでした。また、アドルノの「文化産業」論は、あえて誇張として描かれたものではないかという指摘もなされました。
(文責=新潟大学現代社会文化研究科修士課程: 赤塚建太)

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