第5回新潟哲学思想セミナー終了。 【イベントの記録】
討論会では、西山さん[写真左]による本作品への趣旨について簡単にお話があった後、番場さん、城戸さん、逸見さん[写真右。西山さんに続き左から順に]から、本作品の射程を何倍にも増幅する鋭いコメントが寄せられました。
番場さんは、ロシア文学を専門として外国語教育に携わる立場から、とくにヨーロッパ哲学から隔てられた日本においては、「哲学への権利」以上に「外国語への権利」が必要になってくるのではないか、と問いかけ、城戸さんは、実際に新潟大学で哲学教育に関わっている立場から、カントの『諸学部の争い』に即して、コレージュの試みが哲学部の役割を純化させるかたちで、日本でもかつての教養学部がもっていた可能性を引き出すのではないかという点を評価し、また、逸見さんは、18世紀フランス啓蒙思想を専門とする立場から、フランス語のphilosophieが大学の学問以前にもっていたより幅広い活動的な役割を再確認することで、学問が新自由主義的な「思考の警察」に脅かされている現状に対して、コレージュがひとつのアソシエーションとして果たしている「抵抗の場」の可能性を強調しました。
登壇者同士の討議の後、会場からもいくつもの質問が寄せられ、予定の時刻をオーバーしてやりとりは続きましたが、刺激的な質疑応答は、瞬く間の一時間半でした。今回のセミナーのために、お越しいただいた西山さんをはじめ、コメンテーターを引き受けていただいた番場さん、逸見さん、そして会場に足を運んでいただいたすべてのみなさまに、あらためて感謝申し上げます。
[関連リンク]本イベントについての西山雄二さんの報告はこちら
【報告】新潟大学(逸見龍生、番場俊、城戸淳、宮崎裕助)公式HP映画「哲学への権利——国際哲学コレージュの軌跡」