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2018年7月 アーカイブ


2018年7月19日

第31回新潟哲学思想セミナーが開催されました。  【NiiPhiS】

第31回新潟哲学思想セミナー(NiiPhiS)は、講師に慶應義塾大学から山内志朗先生をお招きし、「〈その後の〉普遍論争」というテーマのもと開催されました。

IMG_1150.JPG中世における最大の論争である「普遍論争」は、唯名論、概念論そして実在論という三分類図式で捉えるのが通例でしたが、これまでの研究でそれが不適切であるという理解が浸透してきています。しかしながら、そうなると、どのように普遍論争を理解すべきかということが問題となります。山内先生は、『普遍論争』(哲学書房、1992年)において普遍論争を扱ってから、多様な観点から普遍論争に取り組んできたが、その過程では中核にたどり着けずさまざまな問題に直面したとおっしゃっていました。そのなかで、本セミナーでは、『普遍論争』の出版背景の秘話を導入とし、『普遍論争』の〈その後〉の話と、ドゥンス・スコトゥスとオッカムの対比という普遍論争の中心部分が、〈その後〉どのように展開していったかについて話してくださいました。そして「存在概念」に関連したイスラム哲学、オッカムなどに拘らざるを得なかった理由と、その結果報告もなされました。

IMG_1153.JPG普遍論争での三分類図式が不適切であるという見解は浸透しているものの、そもそも「実在論」と「唯名論」の対立軸も曖昧であり、概念の分類だけが一人歩きしています。ここで確実なのは、普遍が事物の中に客観的に実在すると主張する人も、普遍は名のみのものでしかないと主張する人も存在しなかったということであるのです。つまり、普遍論争においては「実在論」VS「唯名論」という二大対立さえ消え失せてしまうのであり、複数個に区別されうるのです。ここで山内先生は、普遍論争は普遍についての論争でなかった、というねじれを示唆しています。しかし、互いを区別し判然とさせるためには、ある種のメルクマールが必要になります。山内先生は、そこで最大のポイントとなるのが「形相性」と「形相的区別」であると主張されます。つまり、形相性と形相的区別が、普遍論争を読み解くカギとなるのです。

IMG_1154.JPG今回の山内先生の講演を通じて、これまでの普遍論争の構造が大きく破壊され、普遍論争によって包まれていた中世哲学というベールがはがされていく感覚をもちました。哲学史のなかでも複雑で難解な中世哲学という分野を理解するうえで、新たな道標となる講演であり、中世哲学をより深く学ぶ必要性を感じるよい機会となりました。そして、山内先生の著書『普遍論争-近代の源流としての』(平凡社、2008年)は、研究蓄積が十分とは言い難い「普遍論争」について論じられている貴重な邦訳文献であると同時に、附録としての「中世哲学人名小辞典」によって多くの知識を与えてくれる入門書と言えます。私自身再読する必要性を感じていますし、皆様にも一読をお勧めします。

最後ではありますが、今回のセミナーでご講演していただいた山内志朗先生に感謝申し上げ、第31回新潟哲学思想セミナーの報告とさせていただきます。

 

[文責=新潟大学現代社会文化研究科修士課程 鈴木大次郎]

2018年7月18日

講演会「シベリアの文化に触れてみる」  【江畑 冬生】

講演案内

10/27(土),鶴見大学での講演会「シベリアの文化に触れてみる」

「サハとトゥバの言語と文化」についてお話しします

2018年7月10日

人間学合宿2018  【イベントの記録】

6月30日~7月1日、佐渡市にて人間学合宿を行いました。初日、大学周辺はゲリラ豪雨に見舞われたようですが、佐渡は良い天気に恵まれました。まず、佐渡金山にて明治期以降の坑道や設備を見学しました。男子学生たちは、純金延べ棒の取り出しに苦戦していましたね。続いて長谷寺にて、座禅体験や住職の法話、寺宝見学に参加しました。境内にはたくさんのウサギが放し飼いされていました。座禅中、なんと住職の懐から子ウサギが出てきました。ウサギが気になって座禅どころではなく、皆煩悩を抑えることの難しさを味わったのではないでしょうか。その後、尾畑酒造で佐渡の地酒を堪能し、妙宣寺、大膳神社を訪れました。
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宿泊先の「きらく」では、佐渡らしい豊富な海の幸やおけさ柿のシャーベットが振る舞われました。浴場から一望できる加茂湖は、夕日に照らされて綺麗でしたね。夕食後は、恒例のレクリエーションが行われ、優勝したグループには先生方からの景品が贈呈されました。その後の宴会では、各々自己紹介や人間学らしい談義に花を咲かせ、親睦を深めることができました。
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二日目も絶好の合宿日和でした。行程は、西三川ゴールドパークにて砂金採り、たらい舟体験、そして宿根木の街歩きと続きました。最後までなかなか砂金が採れず、やっと1、2個採れたという人がいる一方で、多い人では5個以上も採れたようです。宿根木では険しい岩礁から成る地形に興奮し、童心に返って海岸を散策しました。また北前船の寄港地と発展してきた迷路のような町並を巡り、ノスタルジックな想いに駆られました。深夜まで続いた宴会の所為か、帰りのバスやフェリーの中では、皆ぐったりして疲れ切っていました。
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今回佐渡を合宿先に選んだのは、異例の試みだったようです。ですが、佐渡やフェリーは初めてという学生が多く、また豊富な体験ができ、とても有意義な時間を過ごすことができました。来年度以降も、こうして人間学一同の親睦が深められることを祈っております。

 

新潟大学人文学部人文学科 心理・人間学主専攻プログラム(人間学分野)4年 住吉竜一]

2018年7月19日

〈その後〉の普遍論争  【NiiPhiS】

第31回 新潟哲学思想セミナー(NiiPhiS)
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〈その後〉の普遍論争

講師 山内志朗(慶應義塾大学教授)  


日時 2018年7月19日(木) 18:15~19:45
場所 新潟大学 五十嵐キャンパス
   総合教育研究棟D棟1階大会議室

中世哲学を分類する「普遍論争」については、様々に論じられてきた。普遍は事物か、名のみのものか、概念か、という分類が不適切であるという理解は浸透したが、ではどのように普遍論争を理解すべきかとなると、なかなか判然としない。

話題提供者である私も、1992年に『普遍論争』(哲学書房)を著して以来、様々な形で普遍論争に関わり、そしていまだに中核部分にはたどり着いていない状況である。『普遍論争』の〈その後〉の話と、ドゥンス・スコトゥスとオッカムの対比という普遍論争の中心部分が、〈その後〉どのように展開していったかを交えながら話していきたい


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第31回新潟哲学思想セミナーは、講師に山内志朗氏をお迎えします。山内氏は、中世後期から近世初頭にかけての哲学を専門とされており、なかでも人間の有限性という観点から情念論や身体論を中心に研究をされています。また、最近の大脳生理学の研究を踏まえて、倫理学の枠組みのなかで情念を考え直すといった研究にも取り組まれています。今回のセミナーでは、1992年に初版が出版されて以降、広く読まれている『普遍論争──近代の源流としての』の〈その後〉について講演していただきます。多くのみなさまのご来場をお待ちしております。 


◎ 講師プロフィール:山内志朗(やまうち・しろう)1957年生まれ。慶應義塾大学文学部教授。専門は中世哲学。現代の視点で中世を見るのではなく、当時の人々の視点から見直すというスタンスで研究をしている。主な著書は普遍論争──近代の源流としての(平凡社、2008年)、存在の一義性を求めて──ドゥンス・スコトゥスと13世紀のの革命(岩波書店、2011年)。専門書以外にも、『ぎりぎり合格への論文マニュアル』(平凡社新書、2001年)、『目的なき人生を生きる』(角川新書、2018年)など多くの著書がある。


◎ 新潟哲学思想セミナー(Niigata Philosophy Seminar:通称 NiiPhiS[ニーフィス])とは 
2009年に新潟大学を中心に立ちあがった公開セミナーです。新潟における知の交流の場となるよう、毎回、精力的にご活躍の講師をお招きして、哲学・思想にまつわる諸問題に積極的に取り組んでいきます。参加費、予約等は不要です。どなたでもご自由にご参加ください。

主催:新潟哲学思想セミナー
共催:新潟大学間主観的感性論研究推進センター

お問い合せは宮﨑まで
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→ポスターはこちら

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