平成30 (2018) 年度の人間学分野の卒業論文発表会(口頭試問)を下記のように行います。
発表者は以下の通り、準備と発表を行ってください。
付記
追記
日時 2019年1月25日(金)16:30〜18:30 *延長の場合あり
場所 新潟大学 五十嵐キャンパス
人文社会科学系棟 B棟2階 第一会議室
高畑菜子(新潟大学大学院)
阿部ふく子(新潟大学)
長田蔵人(明治大学)
「コモン・センスの哲学と批判哲学」
*入場無料、事前予約不要。お気軽にご参加ください。
◎ プロフィール:
高畑菜子(たかはた・なこ)新潟大学現代社会文化研究科博士後期課程学生。専門は、カント倫理学。主要業績としては、「カント倫理学成立史における「判定」と「執行」」(東北哲学会、2017年)他。
阿部ふく子(あべ・ふくこ)新潟大学人文学部准教授。東北大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。専門は近代ドイツ哲学、哲学教育。主要業績として、『思弁の律動――〈新たな啓蒙〉としてのヘーゲル思弁哲学』(知泉書館、2018年)、『人文学と制度』(共著、未來社、2013年)、ヴァルター・イェシュケ『ヘーゲル・ハンドブック』(共訳、知泉書館、2016年)他。
長田蔵人(おさだ・くらんど)明治大学農学部専任講師。京都大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。専門は、近代ドイツ哲学史。主要業績として、『新・カント読本』(共著、法政大学出版局、2018年)、「カントの事象性と感覚印象の理論――スコトゥス的観点からの再検討」(日本カント協会、2017年)「スコットランド啓蒙の形而上学」(日本カント協会、2015年)他。
◎ 新潟哲学思想セミナー(Niigata Philosophy Seminar:通称 NiiPhiS[ニーフィス])とは
2009年に新潟大学を中心に立ちあがった公開セミナーです。新潟における知の交流の場となるよう、毎回、精力的にご活躍の講師をお招きして、哲学・思想にまつわる諸問題に積極的に取り組んでいきます。参加費、予約等は不要です。どなたでもご自由にご参加ください。
主催:新潟哲学思想セミナー(NiiPhiS)
共催:平成29年度公益財団法人上廣倫理財団研究助成/新潟大学間主観的感性論研究推進センター/同 人文学部哲学・人間学研究会
お問い合せは宮﨑まで
→ポスターはこちら
人間学分野に所属する2020年3月卒業予定の学生(主に現3年生)は、下記の通り卒業論文研究計画書1部を提出してください。(卒業を予定していない学生は、提出する必要はありません。)
研究計画書には、下記の内容をA4用紙1枚以内で記してください。
提出された研究計画書にもとづいて来年度の卒論指導教員を決定します。決定の結果は、人間学資料室前に掲示します。不明点があれば、人間学分野教員まで問い合わせてください。
第32回新潟哲学思想セミナー(NiiPhiS)は、講師に筑波大学から佐藤嘉幸先生、龍谷大学から廣瀬純先生をお招きし、「ドゥルーズ゠ガタリと68年5月」というテーマのもと開催されました。
佐藤゠廣瀬先生のお話は、ドゥルーズ゠ガタリの『アンチ・オイディプス』『千のプラトー』「六八年五月は起こらなかった」の読解を踏まえて、68年5月とは何だったのか、ドゥルーズ゠ガタリの政治哲学を通してどのように現代日本の社会状況を読み解くことができるのか、ということを明らかにする興味深いものでした。
『アンチ・オイディプス』において、ドゥルーズ゠ガタリは服従集団と主体集団とを対比させています。服従集団では、欲望が権力に従属します。それに対して、主体集団では、権力が欲望に従属します。欲望が権力に服従しないという意味で、主体集団は分裂者的です。佐藤先生は、68年5月に自然発生的に生まれ、各地の闘争の指揮をとった講堂委員会こそ、分裂者主体集団ではないか、とおっしゃいました。
『千のプラトー』では、マイノリティ公理闘争とマイノリティ性への生成変化が主題となります。マイノリティ性への生成変化とは、平たく言うと人々がマイノリティ性になるということです。佐藤先生は、『アンチ・オイディプス』でも『千のプラトー』でも、主体集団の実現の前には必ず、利害や法権利の水準での闘争があることを強調されました。
廣瀬先生は、「六八年五月は起こらなかった」からドゥルーズの変化を読み取ります。廣瀬先生は、ドゥルーズとともに68年5月を政治的にも経済的にも安定した「よかよか社会」で起こった純粋な出来事ととらえます。ドゥルーズにとって、もはや68年5月はマイノリティを前にしたマジョリティの闘争でした。マジョリティは、自らがマジョリティであるという現状に「恥辱」を感じて、マイノリティ性へと生成変化します。それは、新たな主体性への創造的な転換なのです。
質疑応答では、生成変化するとはどのようなことであるか、グローバルな巨大資本に対するわれわれのイメージ、ドゥルーズの政治的な立場における葛藤といった事柄について活発な議論が交わされました。また、SEALDsような近年の話題に触れる場面もありました。予定していた終了時間が40分も延長になり、非常に白熱したセミナーとなりました。
最後ではありますが、今回のセミナーでご講演していただいた佐藤嘉幸先生、廣瀬純先生に感謝申し上げ、第32回新潟哲学思想セミナーの報告とさせていただきます。
[文責=新潟大学人文学部人文学科心理・人間学プログラム専攻 金田康寛]
平成30(2018)年度 人間学分野 卒業論文 中間発表会
本年度の人文学部心理・人間学主専攻プログラム人間学分野の卒業論文の中間発表会を、次の日程でおこないます。
日時 10月 10日(水) 13:00から (18:00頃終了予定)
場所 総合教育研究棟F271
卒業予定の4年生は、開始5分前までに 発表原稿を 60部 用意して出席してください。 発表時間(質疑応答を含む)として 1人15分 程度を予定しています。なお欠席する場合は事前に、指導教員および太田まで連絡するとともに、発表原稿60部を指導教員に提出してください。
構想発表会と同じく、2・3年生の参加も歓迎します。また発表会のあとに懇親会を予定していますので、是非ご参加ください。
心理・人間学主専攻プログラム人間学分野(2018.9.4掲載)
修士論文中間発表会(現代社会文化研究科 現代文化専攻 現代思想教育プログラム)
本年度の現代社会文化研究科・現代文化専攻・現代思想教育プログラムの修士論文の中間発表会を、次の日程でおこないます。
日時 10月 10日(水) 18:20-18:40
※卒業論文の中間発表会終了後に開催するため、時刻は若干変更する可能性があります。
場所 総合教育研究棟F271
学部生の参加も歓迎いたします。また発表会のあとに懇親会を予定していますので、是非ご参加ください。
講師 佐藤嘉幸(筑波大学)
廣瀬純(龍谷大学)
日時 2018年11月2日(金) 18:15~19:45
場所 新潟大学 五十嵐キャンパス
総合教育研究棟D棟1階大会議室
ちょうど半世紀前、1968年5月パリの学生運動に端を発した社会変革運動は、フランス全土、そして世界中へと波及していった。68年5月(革命)の経験は、ドゥルーズ゠ガタリの共同作業にいかなる影響を与えたのだろうか。この共同発表では、佐藤嘉幸・廣瀬純『三つの革命――ドゥルーズ゠ガタリの政治哲学』での成果を再考しながら、68年5月と、「20世紀の『資本論』」とも言われるドゥルーズ゠ガタリの『アンチ・オイディプス』(1972年)、『千のプラトー』(1980年)、そして、1984年になってはじめて書かれた論文「68年5月は起こらなかった」の関係について考えてみたい。
第32回新潟哲学思想セミナーは、講師に佐藤嘉幸氏と廣瀬純氏をお迎えします。佐藤氏は、フランス現代思想・社会理論を専門とされており、フーコーやドゥルーズなどのポスト構造主義以後の思想を手かがりに、権力メカニズムの現代的変容や社会変革の可能性について研究をされています。廣瀬氏は、映画論、現代思想を専門とされており、ドゥルーズの映画論である『シネマ』を中心にフランス現代思想はもちろん、イタリアのアウトノミア以降の現代社会思想など幅広く研究されています。今回のセミナーでは、1968年5月にパリで起こった学生運動を契機に全世界へと広がった社会変革運動が、ドゥルーズ゠ガタリにどのような影響を与えたのかという内容で講演していただきます。多くのみなさまのご来場をお待ちしております。
◎ 講師プロフィール:佐藤嘉幸(さとう・よしゆき)1971年生まれ。筑波大学人文社会科学研究科准教授。専門は、フランス現代思想、権力理論。主な著書は、『権力と抵抗――フーコー・ドゥルーズ・デリダ・アルチュセール』(人文書院、2008年)、『新自由主義と権力――フーコーから現在性の哲学』(人文書院、2009年)、『脱原発の哲学』(田口卓臣との共著、人文書院、2016年)。廣瀬純(ひろせ・じゅん)1971年生まれ。龍谷大学経営学部教授。専門は、映画論、現代思想。著書に、『美味しい料理の哲学』(河出書房新社、2005年)『シネキャピタル』(洛北出版、2009年)、『絶望論』(月曜社、2013年)、『アントニオ・ネグリ――革命の哲学』(青土社、2013年)、『暴力階級とは何か』(航思社、2015年)、『シネマの大義』(フィルムアート社、2018年)。
◎ 新潟哲学思想セミナー(Niigata Philosophy Seminar:通称 NiiPhiS[ニーフィス])とは
2009年に新潟大学を中心に立ちあがった公開セミナーです。新潟における知の交流の場となるよう、毎回、精力的にご活躍の講師をお招きして、哲学・思想にまつわる諸問題に積極的に取り組んでいきます。参加費、予約等は不要です。どなたでもご自由にご参加ください。
主催:新潟哲学思想セミナー
共催:新潟大学間主観的感性論研究推進センター/同 人文学部研究推進経費
お問い合せは宮﨑まで
第31回新潟哲学思想セミナー(NiiPhiS)は、講師に慶應義塾大学から山内志朗先生をお招きし、「〈その後の〉普遍論争」というテーマのもと開催されました。
中世における最大の論争である「普遍論争」は、唯名論、概念論そして実在論という三分類図式で捉えるのが通例でしたが、これまでの研究でそれが不適切であるという理解が浸透してきています。しかしながら、そうなると、どのように普遍論争を理解すべきかということが問題となります。山内先生は、『普遍論争』(哲学書房、1992年)において普遍論争を扱ってから、多様な観点から普遍論争に取り組んできたが、その過程では中核にたどり着けずさまざまな問題に直面したとおっしゃっていました。そのなかで、本セミナーでは、『普遍論争』の出版背景の秘話を導入とし、『普遍論争』の〈その後〉の話と、ドゥンス・スコトゥスとオッカムの対比という普遍論争の中心部分が、〈その後〉どのように展開していったかについて話してくださいました。そして「存在概念」に関連したイスラム哲学、オッカムなどに拘らざるを得なかった理由と、その結果報告もなされました。
普遍論争での三分類図式が不適切であるという見解は浸透しているものの、そもそも「実在論」と「唯名論」の対立軸も曖昧であり、概念の分類だけが一人歩きしています。ここで確実なのは、普遍が事物の中に客観的に実在すると主張する人も、普遍は名のみのものでしかないと主張する人も存在しなかったということであるのです。つまり、普遍論争においては「実在論」VS「唯名論」という二大対立さえ消え失せてしまうのであり、複数個に区別されうるのです。ここで山内先生は、普遍論争は普遍についての論争でなかった、というねじれを示唆しています。しかし、互いを区別し判然とさせるためには、ある種のメルクマールが必要になります。山内先生は、そこで最大のポイントとなるのが「形相性」と「形相的区別」であると主張されます。つまり、形相性と形相的区別が、普遍論争を読み解くカギとなるのです。
今回の山内先生の講演を通じて、これまでの普遍論争の構造が大きく破壊され、普遍論争によって包まれていた中世哲学というベールがはがされていく感覚をもちました。哲学史のなかでも複雑で難解な中世哲学という分野を理解するうえで、新たな道標となる講演であり、中世哲学をより深く学ぶ必要性を感じるよい機会となりました。そして、山内先生の著書『普遍論争-近代の源流としての』(平凡社、2008年)は、研究蓄積が十分とは言い難い「普遍論争」について論じられている貴重な邦訳文献であると同時に、附録としての「中世哲学人名小辞典」によって多くの知識を与えてくれる入門書と言えます。私自身再読する必要性を感じていますし、皆様にも一読をお勧めします。
最後ではありますが、今回のセミナーでご講演していただいた山内志朗先生に感謝申し上げ、第31回新潟哲学思想セミナーの報告とさせていただきます。
[文責=新潟大学現代社会文化研究科修士課程 鈴木大次郎]
講師 山内志朗(慶應義塾大学教授)
日時 2018年7月19日(木) 18:15~19:45
場所 新潟大学 五十嵐キャンパス
総合教育研究棟D棟1階大会議室
中世哲学を分類する「普遍論争」については、様々に論じられてきた。普遍は事物か、名のみのものか、概念か、という分類が不適切であるという理解は浸透したが、ではどのように普遍論争を理解すべきかとなると、なかなか判然としない。
話題提供者である私も、1992年に『普遍論争』(哲学書房)を著して以来、様々な形で普遍論争に関わり、そしていまだに中核部分にはたどり着いていない状況である。『普遍論争』の〈その後〉の話と、ドゥンス・スコトゥスとオッカムの対比という普遍論争の中心部分が、〈その後〉どのように展開していったかを交えながら話していきたい。
第31回新潟哲学思想セミナーは、講師に山内志朗氏をお迎えします。山内氏は、中世後期から近世初頭にかけての哲学を専門とされており、なかでも人間の有限性という観点から情念論や身体論を中心に研究をされています。また、最近の大脳生理学の研究を踏まえて、倫理学の枠組みのなかで情念を考え直すといった研究にも取り組まれています。今回のセミナーでは、1992年に初版が出版されて以降、広く読まれている『普遍論争──近代の源流としての』の〈その後〉について講演していただきます。多くのみなさまのご来場をお待ちしております。
◎ 講師プロフィール:山内志朗(やまうち・しろう)1957年生まれ。慶應義塾大学文学部教授。専門は中世哲学。現代の視点で中世を見るのではなく、当時の人々の視点から見直すというスタンスで研究をしている。主な著書は『普遍論争──近代の源流としての』(平凡社、2008年)、『存在の一義性を求めて──ドゥンス・スコトゥスと13世紀の〈知〉の革命』(岩波書店、2011年)。専門書以外にも、『ぎりぎり合格への論文マニュアル』(平凡社新書、2001年)、『目的なき人生を生きる』(角川新書、2018年)など多くの著書がある。
◎ 新潟哲学思想セミナー(Niigata Philosophy Seminar:通称 NiiPhiS[ニーフィス])とは
2009年に新潟大学を中心に立ちあがった公開セミナーです。新潟における知の交流の場となるよう、毎回、精力的にご活躍の講師をお招きして、哲学・思想にまつわる諸問題に積極的に取り組んでいきます。参加費、予約等は不要です。どなたでもご自由にご参加ください。
主催:新潟哲学思想セミナー
共催:新潟大学間主観的感性論研究推進センター
お問い合せは宮﨑まで