2015年1月31日

第18回新潟哲学思想セミナーが開催されました  イベントの記録

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 第18回新潟哲学思想セミナーでは、講師に立命館大学の千葉雅也先生をお迎えし、「文化現象としての思弁的実在論(序説)」というテーマのもと、いわゆる「ポスト構造主義」以降広まっている「思弁的実在論」という思想についてお話しいただきました。
 2000年代後半から英国を中心に広まっているこの思想は、人間にとって事物がどう在るか、ではなく、「もの」それ自体についての在り方について語ろうとする哲学です。これまでは、我々がものを認識するとき、私からそれがどう見えているのか、というように、私の主観抜きでは語りえないとされてきました。このような相関主義の立場を批判し、我々にとっての世界ではなく、ものそれ自体における世界にアクセス可能な哲学を構想するというのが思弁的実在論です。

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2015年1月23日

文化現象としての思弁的実在論(序説)  お知らせ

ugokisugitehaikenai.jpg 第18回 新潟哲学思想セミナー(NiiPhiS)

文化現象としての思弁的実在論(序説)

講師 千葉雅也(立命館大学准教授)

日時 2015年1月23日(金) 18:15~19:45
場所 新潟大学五十嵐キャンパス
   総合教育研究棟 D-301(旧地域国際交流促進室)

 ドゥルーズやデリダらのいわゆる「ポスト構造主義」以後、2000年代後半からのヨーロッパ大陸哲学のムーブメントとして「思弁的実在論(Speculative Realism)」という思想的潮流が注目を集めつつある。『現代思想』2015年1月号ではあらためて特集が組まれ、中心人物である現代フランスの哲学者クァンタン・メイヤスーの論考「亡霊のジレンマ」が掲載されている。この「思弁的実在論」はしかし、たんに現代哲学の一トピックであるにとどまらない。それを現代世界の諸文脈に関わる特殊な文化現象として捉えるならば、はたしてどのような視点をとりうるのだろうか。この新たな思想はいったいいかなる可能性を秘めているのだろうか───

twitterphilosophy.jpg  第18回の新潟哲学思想セミナーは、講師に千葉雅也氏をお迎えします。千葉さんは、20世紀フランスの哲学者ジル・ドゥルーズを中心とした現代思想を専門としつつ、文学・芸術・精神分析の諸領域にいたるまで幅広く活躍されています。千葉さんの著書『動きすぎてはいけない』は大きな反響を呼び、表象文化論学会賞、紀伊國屋じんぶん大賞を受賞されました。今回のセミナーでは、ドゥルーズ以後の最先端の思想潮流である「思弁的実在論」の可能性についてざっくばらんにお話ししていただく予定です。多くのみなさまのご来場をお待ちしています。

◎ 講師プロフィール
千葉雅也(ちば・まさや) 1978年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。博士(学術)。現在、立命館大学大学院先端総合学術研究科准教授。専門はフランス現代思想・表象文化論。著書に『動きすぎてはいけない──ジル・ドゥルーズと生成変化の哲学』(河出書房新社、2013年)、『別のしかたで──ツイッター哲学』(河出書房新社、2014年)ほか。TwitterID: @masayachiba

◎ 新潟哲学思想セミナー(Niigata Philosophy Seminar:通称 NiiPhiS[ニーフィス])とは
2009年に新潟大学を中心に立ちあがった新しい公開セミナーです。新潟における知の交流の場となるよう、毎回、精力的にご活躍の講師をお招きして、哲学・思想にまつわる諸問題に積極的に取り組んでいきます。予約等はいっさい必要ありません。どなたでもご自由にご参加ください。

主催:新潟哲学思想セミナー(世話人=宮﨑裕助・城戸 淳)
共催:新潟大学人文学部哲学・人間学研究会

お問い合せは宮﨑まで


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2015年1月13日

卒業論文研究計画書の提出について  お知らせ

心理・人間学プログラム人間学分野の3年生(来年度末卒業予定者)へ

人間学分野に所属する来年度末卒業予定の学生は,1月13日までに卒業論文研究計画書を必ず提出するようにしてください.
この計画書は,卒業論文作成に向けた作業の第一歩となります.計画書には、下記の内容をA4用紙1~2枚を用いて的確かつ簡潔に書いてください.
提出された計画書にもとづいて来年度の卒論指導教員を決定します.指導教員の決定がなされないことには,卒業論文の単位も認められないことになりますので注意してください.

1 研究の課題(題目)
2 論文の概要と今後の研究計画
3 使用文献、参考文献

 記
提出期限 2015年1月13日(火)午後1時
提出先  宮﨑研究室(F595)  *不在のときはドアのボックスに入れてください
(2014年12月4日掲載)

2014年12月 9日

日本エドワード・サピア協会の研究発表会に参加して  言語学

 今年度も国内外の様々な学会に参加しました.10月に慶應義塾大学湘南藤沢キャンパスにて開かれた「日本エドワード・サピア協会第29回研究発表会」も,その1つです.サピアの名前を冠したこの学会は,日本において30年近い歴史を持っています.

 私のゼミや授業でも,サピアを取り上げることがあります.サピアという言語学者の名は,「サピア・ウォーフの仮説」により知られている部分が大きいと言えます.しかし実際には,サピアの関心は,北米原住民諸語の記述,言語類型論,歴史言語学,言語と文化など,広範にわたっています.少々難しい部分もありますが,『言語―ことばの研究序説 』(1998年,岩波文庫)などを手にとって見てみてください.サピアの考えは,現在でも決して色褪せたものではありません.

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第17回言語学ゼミ夏合宿  言語学

 「言語学ゼミ」では,2014年9月25日から26日にかけて合宿を行いました.参加者は学生5名と教員1名(江畑)の計6名でした.今回は寺泊や弥彦などを訪れつつ,言語学を含めいろいろなトピックについて語り合いました.

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寺泊から見た日本海

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弥彦神社です

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大吉出ました!!!(見えるかな?) 「学問:安心して勉学せよ」だそうです.良かった

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本殿の前で集合写真

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弥彦から見た日本海

2014年12月 5日

国際シンポジウム「ハイデガー、テオーリアと翻訳の使命」が開催されました  イベントの記録

去る11月26日アメリカ合衆国ニューヨーク州立大学バッファロー校のロドルフ・ガシェ氏を基調講演者にお迎えし、「ハイデガー、テオーリアと翻訳の使命」と題して国際シンポジウムが開催された。これは、新潟⼤大学⼈人⽂文社会・教育科学系附置「間主観的感性論研究推進センター」の主催で行なわれたものである。

最初の登壇者は本学人文学部より、栗原隆氏が「心の深処と知性の竪坑──ヘーゲル『精神哲学』の改訂を視野に入れて」と題して発表した。栗原氏の発表は、デリダを契機に、ヘーゲルの『精神哲学』に現れる「竪坑」の形象に着眼し、記憶と心の根本構造を解明するものとして、ヘーゲルが依拠していたとされるシャルル・ボネの心理学の著作にこの形象の源泉を突き止め、その隠された射程を浮き彫りにした。

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次に、西南学院大学から西山達也氏が登壇し、「世界像の時代における翻訳者の課題──ハイデガーにおけるリズム概念の翻訳をめぐって」という題で発表した。表象的思考から逃れ去るものを真理のもとに見守る思考のありかたをハイデガーは「省察(Besinnung)」と呼び、来たるべき時代の思索の課題とした。本発表では、ハイデガーによる「リズム」概念の翻訳をめぐる諸問題を精査することにより、翻訳の理論(テオーリア)と実践(プラクシス)を通していかにしてハイデガーはこの思索の課題を遂行しようとしていたのかが追究された。

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最後に、ロドルフ・ガシェ氏の基調講演が「いまだ来たるべきものを見張ること」と題して行なわれた。本講演は、ハイデガーの1953年の講演「科学と省察」をもとに「科学とは現実的なものの理論である」と述べた一文から出発して、その「理論」の含意と射程を探ろうとする試みである。ガシェ氏は、ハイデガーのテクストの周到な精読を通じて、古代ギリシアにさかのぼるテオレインの諸要素を解明するとともに、それがいかに近代的な意味での理論と異なるものなのか、のみならず、それを(ハイデガーのように)古代ギリシアに遡源しようとするのではなく、それとは別の来たるべき「省察」としてのテオーリアの可能性を、ハイデガーのテクストそのものの微細な動きを読み抜くことを通じて新たに開拓しようとするのである。

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質疑応答はガシェ氏を中心に終始活発に行われ、予定の時間を一時間オーバーしてくり広げられた。ガシェ氏が遂行的に用いている「active」という用語系の含意、「a world」と「the world」の用法の違い、翻訳を通した「表象」概念の思想史的な展開を問うもの、ハイデガーの技術論との関連等々、さまざまな論点に及び、討議からは、まさに来たるべき哲学の使命として思考と翻訳とが交錯する要所がいくつも素描されたように思われる。

今回ガシェ氏のテクストの翻訳に串田純一氏、会場での通訳に吉国浩哉氏、ダリン・テネフ氏のお世話になった。あらためて感謝を。また、九州から足を運んでいただいた西山達也氏、そして基調講演のためにはるばるアメリカからお越し下ったロドルフ・ガシェ氏に、刺激的な討議の場を与えていただいたことに関し、いま一度厚く御礼を申し上げる次第である。

2014年11月 2日

ハイデガー、テオーリアと翻訳の使命  お知らせ

国際シンポジウム
ハイデガー、テオーリアと翻訳の使命
Heidegger, or the Task of Theoria and Translation

■ 日時:2014年11月26日(水)13:00~18:00(入場無料、事前予約不要、通訳付)
■ 会場:新潟大学駅南キャンパス「ときめいと」(025-248-8141)
    新潟駅連接「プラーカ1」2F

13:00-14:00
栗原 隆(新潟大学)/Takashi Kurihara (Niigata Univerität)
Tiefe der Seele und Schacht der Intelligenz -- Mit Rücksicht auf Hegels Revision der „Philosophie des Geistes"(心の深処と知性の竪坑──ヘーゲル『精神哲学』の改訂を視野に入れて)

14:00-15:00
西山達也(西南学院大学)/Tatsuya Nishiyama (Seinan Gakuin University)
La tâche du traducteur dans le temps des conceptions de monde (Heidegger)(世界像の時代における翻訳者の課題(ハイデガー))

15:00-16:30 Keynote Lecture
Rodolphe Gasché (SUNY at Buffaro)
Watching over What is Still to Come

ロドルフ・ガシェ(ニューヨーク州立大学バッファロー校)
いまだ来たるべきままのものを見張ること

16:45-18:00 共同討議

主催:新潟大学人文社会・教育科学系附置「間主観的感性論研究推進センター」
共催:科学研究費補助金(基盤研究C)「遺稿調査にもとづくジャック・デリダの脱構築思想の生成史の解明」
お問い合せは、人文学部・宮﨑まで


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2014年10月14日

卒論中間発表会お疲れ様でした  イベントの記録

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2014年10月13日

卒業論文 中間発表会  お知らせ

平成26(2014)年度 人間学 卒業論文 中間発表会

本年度の人文学部 心理・人間学プログラム 人間学分野 の卒業論文の中間発表会を、次の日程でおこないます。

日時 10月 13日(月)午後 2時から
場所 総合教育研究棟 F374(F棟3階)

卒業予定の4年生諸君は、発表用のレジュメを30部用意して出席してください。
ひとり発表10分、質疑応答5〜10分程度を予定しています。

・2・3年生の参加も歓迎します。とくに3年生は来年度にむけた準備になりますので、ふるって参加してください。
・出席できない4年生は、必ず卒論担当教員に事前に承諾を得たうえで個別に指導を受けてください。
・発表会のあとに、コンパを予定しています。是非参加ください。

人間学履修コース(2014.9.29 掲載)

2014年9月27日

国際シンポジウム "Philosophie des Geistes und Psychologie um 1800"  お知らせ

国際シンポジウム
"Philosophie des Geistes und Psychologie um 1800"

1800年頃のドイツ思想界は、ドイツ観念論の時代である。だが最近になって、歴史に埋もれていた往時の学術文献が電子データとして公開されるようになった新資料を検証すると、顧みられてこなかった膨大な数の「経験的心理学」や「人間学」が、ドイツ観念論にも大きな影響を与えていたことが明らかになってきた。思想史的な掘り起こしの第一人者のZiche氏を迎え、思想史の伏流を明かすシンポジウムである。

■ 日時:2014年 9月27日(土)〜28日(日)
■ 会場:新潟大学駅南キャンパス「ときめいと」(025-248-8141)
    新潟駅連接「プラーカ1」2F

■プログラム──9月27日(土)

 【研究発表】

12:15~12:35
田中 純夫「ハイデッガーとエリウゲナ」

 【シンポジウム】

12:45~13:35
山口沙絵子(東京大学大学院人文社会系研究科)
Die Unverständlichkeit der philosophischen Texte bei F. Schlegel, Fichte, und Kant

13:45~14:45
栗原 隆(新潟大学人文学部教授)
Tiefe der Seele und Schacht der Intelligenz──Mit Rücksicht auf Hegels Revision der "Philosophie des Geistes"

14:50~15:50
武田 利勝(九州大学人文科学研究院准教授)
Wie kann die Schönheit beschrieben werden?──K. Ph. Moritz und Lavater vor dem Apollo im Belvedere

16:00~18:30
Paul Ziche(ユトレヒト大学教授)
Neue Vermögen des Geistes──Empirische und psychologische Studien zu den menschlichen Erkenntnisvermögen im 1800

■プログラム──9月28日(日)

 【講演】

10:30~11:30
尾崎 彰宏(東北大学大学院文学研究科教授)
「カーレル・ファン・マンデル『北方画家列伝』について」

11:40~13:10
岩城 見一(京都大学名誉教授、国立京都近代美術館・前館長)
「ボアスレ兄弟について」

■ 共催:日本シェリング協会、新潟大学人文社会・教育科学系附置「間主観的感性論研究推進センター」
■ 本シンポジウムは、科学費補助金(基盤研究(A))「共感から良心に亘る『共通感覚』の存立機制の解明、並びにその発現様式についての研究」(研究代表者:栗原 隆)の研究プログラムの一環として開催するものです。
学生・教職員、一般市民の皆さまに公開されておりますので、興味とご関心のおありの方は、ご自由においで下さい。

問い合わせ先:人文学部・栗原隆:E-mail:kurihara@human.niigata-u.ac.jp

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