2013年3月15日

【新刊】井山先生の著書『パラドックスの科学論』刊行!  お知らせ

978-4-7885-1327-3.jpg   井山 弘幸 著

  パラドックスの科学論
  科学的推論と発見はいかになされるか

  
  新曜社
  46判・312頁
  税込定価 2940円
  ISBN978-4-7885-1327-3
  2013年3月15日発行
  出版社紹介ページ

 【本書の紹介文】
 パラドックスとは何か、その魅力はどこにあるのでしょう。
「一見、不合理であったり矛盾したりしていながら、よく考えると真理である事柄。逆説」と辞書にはあります。「アキレスと亀」の話などが有名ですね。パラドックスはあらゆる分野に現われますが、特に科学の分野には多く、科学的発見が世間の常識を覆すことでなされることが多いからでしょう。
 本書は、科学の歴史に現われてきた多くのパラドックスを、ユーモアをまじえて詳述します。「アキレスと亀」の卓抜な解釈から始めて、サイズの話、「量る」ことのパラドックス(「たましい」や「幸せ」を量る)、ニセ科学、セレンディピティー論(発見のパラドックス)、そしてサンデル先生の白熱教室でおなじみの「路面電車問題」などまで、さまざまなパラドックスを取り上げ、意想外の思考が展開されます。パラドックスの魅力を満喫させてくれる第一級の読み物・テキストです。

続きを読む "【新刊】井山先生の著書『パラドックスの科学論』刊行!" »

2013年3月14日

【卒業論文】関連性理論における推論のはたらき  卒論・修論の紹介

【概要】渋木航「関連性理論における推論のはたらき」

 私たちは普段、ことばを用いて意思を伝達し、他者とコミュニケーションをとっている。その具体的な形式は多種多様で、それこそ無数の形式が用いられているにも関わらず、大抵の場合私たちの伝達は成功し、時折失敗する。私たちの伝達はいかにして成功へと導かれ、またいかなる場合において失敗するのだろう。
 伝達が成功あるいは失敗するということは、話し手の言語表現の解釈に聞き手が成功あるいは失敗するということであるとも言えるだろう。そこで、本論文では発話解釈のしくみに注目し、発話解釈において推論が重要な役割を果たすとしている関連性理論の考え方を手掛かりに、発話が解釈される仕組みや、解釈が失敗する要因を発話解釈における推論のはたらきに注目して分析した。
 関連性理論では発話解釈を、関連性の原則に基づいた、コード解釈と演繹的推論の相互作用によるものだとしている。発話のコード解読によって引き出した論理形式に推論を加えることで表意を派生し、その表意や既存の想定を前提とした推論によって推意を引き出す。この発話解釈においては推論のはたらきが必要不可欠なものとして位置づけられている。
 この理論を手掛かりに、発話解釈に聞き手が成功した場合と失敗した場合について、具体例を通して分析を行った。発話の解釈は推論によって表意と推意が算定されるが、ここでいう推論とは、前提とする想定次第で帰結も変化するという性質のものである。したがって、あらゆる発話は文脈次第で様々な想定を伝達しうるが、関連性の原則に基づいて正しい文脈が選ばれ、推論が行われさえすれば、関連性を満たす解釈が可能である。そしてこのとき、解釈は成功しうる。
 一方、発話解釈に失敗する場合については、誤解の場合と解釈が停止した場合を区別して考察した。両者の違いは、推論による表意算定の結果、聞き手自身が妥当だと思える表意に行きあたったかどうかということである。しかし、両者で起きている問題やその要因にあまり差異はなく、解釈失敗の要因は、適切な文脈が選べなかったために表意を算定する推論に問題が生じたことであると考えられる。
 また、多様な言語表現の一例として、非字義的表現を含む発話にも注目した。慣用句や諺は、それらが使われている発話の中の他の要素と類似性をもっている場合がある。例えば、「水を得た魚のよう」という慣用句が「水泳選手」のような要素を含む発話の中で使われている場合である。このとき、その発話表現は言語の解釈的用法の一種である慣習的メタファーと同様、慣用句や諺の辞書的意味を強い推意として伝達するが、それに加えて、当該の非字義的表現が持つ周辺的イメージの一部もまた強い推意として伝達すると考えられる。この周辺的イメージは、前提推意を引き出す過程で、当該の非字義的発話表現に用いられている要素の百科事典的知識にアクセスすることで引き出されると考えられる。慣用句や諺と発話に含まれる他の要素との類似性が高い場合に、それらを前提推意として推論が行われ、辞書的意味とは別の強い推意がさらに引き出される。これはおそらく発話の関連性に貢献するものである。また、このような非字義的発話表現が字義的な表現よりも効果的なものとして感じられるのは、少ない発話で多くの思考を伝達する経済的な伝達表現であり、解釈に成功した場合、より大きな関連性を得やすいためである。創造的メタファーは一つの発話で弱い推意の束を伝達するが、慣習的なメタファーや慣用句、諺も、引き合いに出された要素の百科事典的イメージを強い推意と同時に伝達していると考えられる。

→渋木航「関連性理論における推論のはたらき」全文(PDF)

2013年3月12日

[シンポジウム報告]「Über die Identität(同一性を超えて)」  イベントの記録

 去る3月2日(土)、新潟大学駅南キャンパスにて国際シンポジウム「Über die Identität(同一性を超えて)」が開催されました。今回は、ドイツ観念論研究の碩学、マンフレート・フランク氏(テュービンゲン大学)、クリストフ・ヤメ(リューネブルク大学)氏をお迎えし、企画者の栗原隆氏(新潟大学)を加えて三名の方々から、それぞれ下記の論題でご報告をいただきました。また、特定質問者として久保陽一(駒澤大学)、大河内泰樹(一橋大学)、竹峰義和(東京大学)の各氏を、通訳として満井裕子氏(実践女子大学)をお迎えしました。当日は人文学部の教員をはじめ、ドイツ哲学や文化に関心をもつ学生や、学外の方々にもお集まりいただきました。皆様ご来場ありがとうございました。

frank1.JPG kurihara1.JPG jamme1.JPG frank_jamme.JPG

論題(発表順)
■マンフレート・フランク「同一性と非同一性の同一性──『絶対的同一性体系』へと至るシェリングの道程」
■栗原 隆「連続性と同一性──シェリングの同一哲学に対する剽窃疑惑をめぐって」
■クリストフ・ヤメ「想像にとっての真理──若きヘーゲルとヘルダー」

フランク氏、ヤメ氏のドイツ語原稿(※前者のみ邦訳あり)は、日本ヘーゲル学会HP(http://hegel.jp/)からダウンロード可能です(2013年3月現在)。ヤメ氏については、ドイツ語原稿から原典引用部分を中心に訳出したレジュメがありますので、こちら[→PDF]からご覧ください。

以下に各氏による報告の概要を記しました。

続きを読む "[シンポジウム報告]「Über die Identität(同一性を超えて)」" »

2013年3月 2日

国際シンポジウム「Über die Identität(同一性を超えて)」  お知らせ

「間主観的感性論研究推進センター」主催・国際シンポジウム

Über die Identität(同一性を超えて)

■ 日時:3月2日(土)14:00~19:00
■ 会場:新潟大学駅南キャンパス「ときめいと」講義室A(025-248-8141)──新潟駅連接「プラーカ1」2F

14:00~15:00
栗原 隆(新潟大学教授)
Takashi Kurihara(Niigata Universität)
Kontinuität und Identität
「連続性と同一性」

15:00~16:30
クリストフ・ヤメ教授(リュ―ネブルク大学)
Christoph Jamme(Lüneburg Universität)
„Wahrheit für die Phantasie“― Der junge Hegel und Herder
「想像にとっての真理」──若きヘーゲルとヘルダー」

16:30~18:00
マンフレート・フランク教授(テュービンゲン大学)
Manfred Frank (Tuebingen Universität)
Identität der Identität und der Nichtidentität
「同一性と非同一性との同一性──「絶対的同一性体系」へと至るシェリングの道程」

18:00~19:00
討議 Diskussion
質問・コメント:久保陽一(駒澤大学)、大河内泰樹(一橋大学)、竹峰義和(東京大学)
Yoichi Kubo(Komazawa Uni.): Taiju Okochi(Hitotsubashi Uni.):Yoshikazu Takemine(Tokio Uni.)

使用言語:ドイツ語、英語、日本語(通訳有)
参加は無料ですので、ドイツ文化に関心がおありの方のおいでをお待ちしています。
問い合わせ先:人文学部・栗原隆:E-mail:kurihara@human.niigata-u.ac.jp

2013年2月 4日

卒業論文発表会お疲れ様でした。  イベントの記録

IMG_4610.JPG IMG_4612.JPG IMG_4616.JPG IMG_4617.JPG IMG_4622.JPG IMG_4629.JPG IMG_4633.JPG IMG_4637.JPG IMG_4645.JPG IMG_4652.JPG

2013年2月 3日

卒業論文発表会(口頭試問)【教室変更】  お知らせ

平成24(2012)年度の人間学履修コースの卒業論文発表会(口頭試問)を下記のように行います。
 
とき  平成25(2013)年2月3日(日)10:00〜
ところ 総合教育研究棟D棟3階国際センター教室F棟・G棟3階
    第1・第2・第3教室F370A・G311・G312
第4教室人間学資料室・人間学PSが控え室になります。)
(時間割はブログ及びF棟5階に掲示します。)

発表会(口頭試問)では、最初に発表者がA4で1枚(1400字程度)の卒業論文の概要を教員および傍聴者に配布し、それに基づいて5分以内で簡潔に自分の卒論について報告した後、主査・副査による口頭試問になります。
 発表者は各自で配布する概要を15枚用意してください。発表会は合計で1人あたり25分程度を予定しています。
 なお、概要は、事前に指導教員のチェックを受けてください。後日、人文学部のwebページに公開されます。
 また、この発表会は公開で実施されますので、他の学年の学生も傍聴することができます。当日はD棟の学生玄関から校舎に入ってください。

卒業論文発表会(口頭試問)終了後、恒例の懇親会(追い出しコンパ)が企画されています。別途掲示いたしますので、ぜひご参加ください。

人 間 学 履 修 コ ー ス 委 員

卒論発表会(口頭試問)時間割【教室変更】  お知らせ

2012年度人間学履修コース卒業論文発表会(口頭試問)時間割

2013年2月3日(日)
総合教育研究棟F・G棟3階F370a・G311・G312(控え室:人間学資料室/人間学PS)
PDFはこちら

1月23日(水)までに、副査の教員に卒業論文を提出してください。

F370a
10:00〜10:30 中野裕貴 ニーチェによる道徳批判についての一考察 栗原・宮﨑
10:30〜11:00 袖山香純 ヘーゲルにおけるギリシャ悲劇と自己意識について 栗原・城戸
11:00〜11:30 菅原康平 サルトルにおける人間存在の否定と無 宮﨑・城戸
11:30〜12:00 山崎恭平 ウィトゲンシュタイン『論理哲学論考』における独我論について 宮﨑・城戸
13:30〜14:00 本間ゆかり ミシェル・フーコーの考古学における作者の問題 城戸・宮﨑・栗原
14:00〜14:30 新井 眸 アーレントの大衆社会論 城戸・栗原・宮﨑

G311
10:00~10:30 天野早紀 飲食店における敬意表現について 福田・中西・青柳
10:30~11:00 川端 啓 現代日本語における人物描写の表現について 福田・青柳
11:00~11:30 小杉美樹 恋の告白談話の語用論的研究 福田・中西・栗原
11:30~12:00 小林愛美 否定的評価のスラングについて 福田・中西・青柳
13:30~14:00 高玉千裕 書き手の態度を表す言語表現の研究 福田・井山
14:00~14:30 津田千尋 会話における垣根言葉の使用について 福田・青柳・井山
14:30~15:00 渋木 航 関連性理論における推論のはたらき 福田・青柳・井山

G312
10:00~10:30 奥村紗季 アリストテレスの幸福論 城戸・井山
10:30~11:00 五十嵐章 贈与における交換と供与について 井山・宮﨑・中西
11:00~11:30 堀越美菜 カクレキリシタンの信仰体系と痛悔の祈りについて 井山・青柳
11:30~12:00 西村 晃 J.S.ミルにおける自由の意義について 栗原・井山
13:30~14:00 森 聖善 仏教における食の思想と精進料理 青柳・中西

時間割は変更になることがあります。変更の際は再掲示しますので注意してください。

2013年2月 2日

卒業論文の概要の提出について   お知らせ

人間学履修コース4年生のみなさまへ
みなさんの卒業論文の概要を人文学部のWebページに公開しますので、下記の要領にてメールで卒論要旨を提出してください。
〆切 2013年2月2日(土)17:00
宛先 yusuke @human.niigata-u.ac.jp
【迷惑メール防止のため、@マークは全角になっています】

メールの件名は、卒業論文概要・氏名 として送ってください。
形式 テキスト(.txt)、Word(.doc)、Word(.docx) のいずれかで
分量 1400~1500字程度
内容 卒業論文の概要(題目および氏名は必ず記載すること)

注意事項 
事前に卒業論文指導教員のチェックを受けてください。
写真・図版は原則として掲載しません。卒論の性格上,掲載する必要がある場合,著作権上の問題が生じないものに限ります。
過去の概要は、
http://www.human.niigata-u.ac.jp/category/education/course/#anc01-1
を参照ください。

人 間 学 履 修 コ ー ス 委 員

2013年1月10日

卒業論文研究計画書の提出について  お知らせ

心理・人間学プログラム人間学分野の3年生へ

人間学分野の来年度卒業予定の学生は、下記の要領で、卒業論文研究計画書を提出してください。
これは卒業論文に向けての作業の第一歩です。
計画書には、下記の内容をA4で1枚(~2枚)で的確かつ簡潔に書いてください。
この計画書にもとづいて来年度の卒論指導教員を決定します。

1 研究の課題(題目)
2 論文の概要と今後の研究計画
3 使用文献、参考文献

 記
提出期限 2013年1月10日(木)午後1時
提出先  城戸研究室(F577)
*不在のときはドアのボックスに入れてください。

(2012年12月11日掲載)

2012年10月15日

卒論中間発表会お疲れ様でした  イベントの記録

IMG_0601.JPG IMG_0606.JPG IMG_0607.JPG IMG_0612.JPG IMG_0617.JPG IMG_0620.JPG IMG_0629.JPG IMG_0631.JPG

アーカイブ

Powered by
Movable Type 5.2.3