オープンキャンパス初日 【イベントの記録】
以下は、本日の人間学ブースの模様です。「身体の知」を実感する「テルミン」体験コーナー、あなたの「社会性」を測る(!?)「倫理度チェック」は大好評でした。
明日も、多数のご来場をお待ちしております。
井 山 弘 幸 (いやま ひろゆき)
偉人であれ凡人であれ、自分のことを書いたものは大抵信用できない。誇大宣伝するにせよ、過少評価して卑下するにしても、リアリズムに欠いていることだけは確かである。他人からそう見られたいという願望を綴ったようなものもあるから、自己紹介を読む者は心してかからねばならない。もし私のことを誇大に書くとすると、おそらく小学校の時にオペラの脚本を書き、独りで作曲をして、その作品がNHKで放映されるくらいに早熟だったというような話をするだろう。(真に天賦の楽才があったなら、今こんなことをしているわけがない)。過少に語るならば、人間嫌いの引きこもり人間で勉強が嫌い。ゲームばかりしているダメ人間であると胸を張る(違うか?)だろう(これもまた真実ならば、今こんなことをしているわけがない)。願望を吐露するならば、アルゲリッチよりも上手にショパンのバラードを弾くことができ、世界の一切を稠密な方程式のなかに封じ込める表現能力をもち、万巻の書物を読まずにすむほど知性に恵まれ、人に会わずとも何を考えているか事前に理解でき、米粒に般若心経を書き込むことができ、小林カツ代のレシピはそのすべてを諳じていて、談志百席は三回聞いただけで覚え、寒さの夏はオロオロせずに自適し、毎日幻のリヒト珈琲を三合ほど堪能し、街の誰からも気づかれずにいる、そんな人間になりたいと思っている。客観的な情報を知りたい人は大学の教員紹介を読んでほしい。21日は、講師に熊野純彦さんをお招きして、第2回新潟哲学思想セミナー「回帰するパラドクス──第二アンチノミー証明・考」が開催されました。新潟大学の学生を中心に、20名以上の参加者によるセミナーとなりました。
今回の熊野さんのお話は、カント『純粋理性批判』の「超越論的弁証論」のなかで、これまで比較的顧みられてこなかった第二アンチノミーの議論に光を当てるものでした。昨日は、講師に早尾貴紀さんをお招きして、第1回新潟哲学思想セミナー「ディアスポラの思想は「国民国家」に何を提起するのか」が開催され、20名ちかい参加者によるセミナーとなりました。
早尾さんは、昨年刊行された『ユダヤとイスラエルのあいだ』の議論を踏まえて、アーレント、ブーバー、サイード、ボヤーリン兄弟などの思想を紹介しつつ、さらに、新たなディアスポラ主義をめぐるご自身の精力的なお仕事の一端をお話しされました。
【→『ディアスポラから世界を読む──離散を架橋するために』刊行記念シンポジウム】
大学院生やフロアの方々からは、国家の成立、大学の課題、ユダヤと「女性」性、パレスチナ・イスラエル問題の特殊性と普遍性、ディアスポラ思想の可能性などなど、多岐にわたる質問が出て、活発な討論が行なわれ、刺激的な時間を共有することができました。
新潟哲学思想セミナーは、今後とも、多彩な講師をお招きし、知の交流の場として発展させていきたいと考えています。ご支援のほど、よろしくお願い申しあげます。
福 田 一 雄 (ふくだ かずお)
言語学を担当しています。言語学には様々な研究分野や研究方法がありますが、私は特にロンドン学派の M. A. K. Halliday が1960年代に創始した選択体系機能言語学(Systemic Functional Linguistics = SFL)に関心があり、研究を続けています。この理論は言語をできる限り包括的、体系的に捉えようとする機能論的、意味論的、テクスト論的、社会記号論的アプローチです。もう一つの研究分野は語用論(Pragmatics)です。コミュニケーションにおける言語を扱う分野で、言語哲学とも深い関係があります。